あなたの年収アップを阻む「3つの壁」とは?―プロが教えている賢いキャリア設計法(1)

あなたの年収アップを阻む「3つの壁」とは?―プロが教えている賢いキャリア設計法(1)

 一時代前と比べても、「キャリアアップ」という概念は社会に浸透し、働きがいや高い年収を求めて転職することが当たり前になりました。それに伴い、20代、30代の若さで数千万円の年収を得て、社会で活躍する人たちも増えています。

 今、働いている人たちにとって、キャリア設計をすることは必須。でも、どうすればいいのか分からないという人は少なくないでしょう。

 『戦略コンサルタント、外資系エグゼクティブ、起業家が実践した ビジネスエリートへのキャリア戦略』(ダイヤモンド社/刊)は、キャリアコンサルタントとして、マッキンゼーやBCGをはじめとするコンサルティングファームや投資ファンド、事業会社の経営幹部、起業家へのべ1000人超のキャリアチェンジを支援してきた渡辺秀和さんが明かした、「キャリア設計の教科書」ともいえる一冊です。

 では、私たちは「キャリア」をどう考えるべきなのか。新刊JPでは4回にわたってこの本を追いかけていきます。第一回目は、転職のきっかけとなりやすい「年収アップ」について考えていきましょう。

■今いるフィールドだけで年収アップを考えない

 「年収をもっと上げたい!」という想いから、キャリアアップを目指している人は多いでしょう。渡辺さんは収入アップを考えたときに、ガムシャラに頑張る前に「年収の壁」の存在を知り、それを越える手立てを考えることが先決だといいます。

 「年収の壁」には3つの大きな壁があります。まず1つ目は「階層の壁」。ここで隔てられるのは、資本家・経営者・従業員という3つのフィールド。年収が高い順に資本家、経営者、従業員に並びます。

 会社員として働いている人は、普段、従業員のフィールドしか見えません。でも、今の日本企業に勤めているサラリーマンが年収2000万円もらっている人は全国にどのくらいいるでしょうか。役員ではない一般の社員ならば、ほとんどいないはず。ある特定の業種のほんの一握りの人です。しかし、オーナー経営者となると話は変わります。ごく身近にいる中小企業経営者やビルのオーナーなどは、年収が2000万円を超えていてもおかしくはありません。

 従業員を雇って会社を運営するのが経営者。その経営者を高い年収で雇って会社全体から挙がる大きなリターンを得ているのが資本家という構造です。要は年収500万円の従業員を年収5000万円の経営者が雇い、その経営者を年収5億円の資本家が雇うという仕組みなのです。もし、あなたが従業員として頑張ろうとしても、誰もが認めるような花形社員ではない限り、し烈な競争を勝ち抜くことは困難であるはず。そのときに、自分で起業し、事業を軌道に乗せるなどの選択肢が出てくるのです。

■外資なら英語は必須 でも国内なら英語を“捨てる”のもあり
 ほかにも「壁」はあります。

 2つ目の壁は「外資の壁」。30歳の外資系証券会社の営業マンがなんと年収4000万円ももらっている…なんていう景気のいい話を聞いたことはないでしょうか。これが日本企業ならばだいたい800万円〜1000万円台前半くらい。ここに大きな年収差があるようです。これは証券会社に限った話ではなく、コンサルティングファームも、製造業も同じことがいえます。その年収差には、付加価値を生んでいる人にどれだけ傾斜して配分するのかという発想の差やグローバル展開することによる高収益化など、様々な要因があります。必ずしもすべての外資系企業が日系企業より年収が高いというわけではないようですが、同じ業界の同じ仕事で比較したとき、概ねこのような傾向があるということを知っておいた方がよいでしょう。

 また、国内と外資、いずれにせよ、英語力をつけることはビジネスシーンで活躍する上で重要なスキルになると考えられがちです。もちろん、外資系へのキャリアアップを望んでいる人は、英語力は必須。しかし、そうでない人であれば、中途半端に英語を勉強してもキャリア上あまり意味はないと渡辺さんは指摘します。

 海外のビジネスシーンで求められる英語力は想像以上に「ハイレベル」です。そのレベルに辿りつくのが困難であれば、英語を捨てて他の分野に時間を投入する考え方も大切。渡辺さん自身も、どうしても苦手だった英語学習を早い段階から放棄し、経営に必要なスキルを身につけるようにシフトチェンジしたそうです。そして、もしその決断がなければ、起業への道は閉ざされていたかもしれないと語っています。時間は有限ですから、配分には気をつけるべきでしょう。

 3つ目の壁は「業界の壁」。渡辺さんは、ほとんど同じスキルセットで同じ業務を行うのにも、業界によって年収がだいぶ異なると指摘します。例えば、社内の情報システム担当者の場合、日系の大手金融機関は30歳で年収800万円〜1000万円程度。それが同じ日系の大手メーカーの社内情報システム部門では、年収600万円程度になり、業界によって年収に大きな差があることは明らかです。こうした「壁」の存在を知ることで、どのような方向に努力すればいいのかが分かってくるのです。

 まずは、私たちの年収アップにはこれらの「壁」があるということ、そして、この「壁」の存在を加味した上で自分のキャリアをつくっていくことが大事になります。努力の方向を間違えてしまっては、年収も上がりません。

 次回は「ハブ・キャリア」についてご紹介します。あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、これからのキャリアチェンジにおいて重要な考え方になるものです。
(新刊JP編集部)


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