子どもを守れ 地域で取り組む防犯対策

注目され始めた「環境設計による犯罪予防」

子どもを守れ 地域で取り組む防犯対策

防犯とは、文字通り、犯罪を未然に防ぐことを指しますが、近年、「防ぐ方法(考え方と手法)」に変化が生じています。従来は、刑法の厳罰化と社会的排除という形で犯罪を企む者を抑制してきましたが、この方法では必ず次の犯罪被害者が生まれてしまうことから、犯罪を企む者の犯意を削ぎ、機会を与えないといった手法で犯罪行為そのものが起きないようにする考え方が注目されるようになってきました。

それが、物的な環境を適切に整備・管理(維持)し、効果的に利用すれば、犯罪機会を減らすことができるという「Crime Prevention Through Environmental Design/環境設計による犯罪予防」です。頭文字をとって「CPTED(セプテッド)」と呼ばれます。

子どもたちが被害者となる事件が相次ぐ今、地域で子どもを守ろうという機運はこの一環ともいえるでしょう。

登下校時の見守りや引率は継続すべき。途絶えることは大きな危機

では、子どもたちを取り囲む環境(設備)を整備して犯罪から守るには、具体的にどうすれば良いのでしょうか。まず、子どもたちを守るのは、第一に「家庭」であることを忘れないでください。家庭での防犯教育としては「これはダメ!」といった結論だけではなく「なぜ?」を根気よく説明してあげてください。そして、「こんな時はどうする?」と、子ども自身に考えさせることが最も有効な防犯教育です。

次に、地域でできる防犯対策としては、登下校時の見守りや引率など、保護者や町内会などの協力による活動です。すでに実践されている地域も少なくないと思われますが、継続することが安全・安心につながります。その継続が途絶えることは危機です。なぜなら、犯罪を企てる者はよく観察し、その機会をうかがっているからです。

このほか各地で実施されている事例としては、防犯ボランティアによるパトロールや、愛犬家による「わんわんパトロール隊(愛犬の散歩時に地域のパトロールを兼ねる)」という活動もあります。

行政や警察との連携するには、まず私たち自身が行動する

そして、東京都をはじめ、各地の自治体で取り組まれているのが、通学路への防犯カメラの設置です。また、警察による取り組みとしては、登下校時のパトロール強化、不審者や声かけ情報のメール配信などが挙げられ、同時に、防犯ボランティアの活動支援を盛んに行っています。

では、私たちが行政や警察など公の機関と連携するには、どのようにすれば良いのでしょうか。私たち自身が、公の機関が実施する取り組みや活動に参画して協力や支援を要請してください。まず、自分自身が行動しなければ何も始まりません。

テレビやラジオをはじめとするメディアから得られる犯罪情報が凶悪化していることで不安は深まる一方です。しかし、不安が深まれば深まるほど自主性が削がれ、疑心暗鬼になり被害に遭いやすくなると考えています。日頃から客観的な目を養い、情報の解釈(感じ方)は人それぞれであることから、地域で話し合うことが重要です。そして、話し合うだけではなく、必要に応じて行動することが子どもたちを守る具体的な対策となります。一人一人の行動が、社会全体を安全にしていくことを改めて感じる必要があるでしょう。

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