まるでSFの透視能力?!壁越しでもモーショントラッキング可能な新システム
SF映画の中では、壁の向こうを透視する超能力者が登場する。しかし、そんな奇想天外な能力は、まさにSFだけのもの……と思っているかもしれない。
Massachusetts Institute of Technology(MIT)のComputer Science and Artificial intelligence Laboratory (CSAIL)に所属する研究開発チームWireless Centreでは、「Multi-Person Motion Tracking」の研究開発をおこなっている。電気工学、コンピューター科学の教授Dina Katabi氏を中心とするチームでは、ワイヤレスシグナルを用いて、人々の動きをモニターするシステムを開発中だ。
人が壁や閉じたドアの向こうにいたとしても、動きを追跡することができるという、まるで透視能力のような技術である。さらに、人の鼓動や呼吸をモニターすることができ、しかも計測のためにわざわざ専用ツールにタッチしたりする必要もないのだという。
システムでは、低出力のWiFiシグナルを送り、対象から跳ね返ってくる反射を利用して、動きを追跡する。毎秒ごとに、人の胸部が上に上がったり下がったりといったような、わずかな動きをも検知。そこから鼓動の状態を検出する精度は99%にも及ぶという。
またシステムでは、最大4人まで、各人の動きを区別することができ、たとえ壁越しであろうとシグナルが送られてくる。
既存のワイヤレスシステムはあったものの、かさばる上、高価なレーダー技術が必要になるため、主に軍隊が使用するものだった。この新システムは持ち運び可能で、しかも低出力なため、一般の人々が幅広く利用できるだろう。
このシステムではモーショントラッキングのために、特に専用のウェアラブルを身につける必要がないのも大きなメリット。研究チームではさらに、ジェスチャーや物体のシルエット、さらには感情をも認識し、モニターするような機能の搭載も検討中だという。もしこれが実現すれば、動きだけでなく、人の気分までもモニターできるシステムが完成するというわけだ。
「Multi-Person Motion Tracking」システムは、家族の健康追跡ツールとして用いたり、向こうの部屋で寝ている赤ちゃんの様子をモニターしたりといった、日常生活で役立てられるだけでなく、災害時の人命救助や、警察機関が犯罪者の取り締まりをおこなうことなどにも活躍しそうだ。
他にもゲームに導入すれば、これまでのようにモーションコンソールやカメラの前に立つ必要はなくなり、スクリーンの固定位置に縛られることなく、自由な場所で体験型ゲームを遊べるようになるかもしれない。SFのような世界が、現実のものとなる日も近いかも?
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