蚊よけ効果の発見で特許、既知の薬品になぜ?
用途の発見は、新たな市場を切り開く
デング熱に関連して特許関係で興味深い記事がありました。大阪の大幸薬品が「除菌・消臭スプレーの成分として使われている液体」に、蚊に刺されにくくなる効果があることを発見し、特許を取得したというものです。大幸薬品の株価はこれで一時ストップ高になりました。
実は、日本では、既に知られた薬品等の物質であっても、新しい用途を見つけると特許になるのです。一見すると「既知の物質に特許を与えるのはおかしい」と思われるかもしれませんが、用途の発見というのは、新たな市場を切り開くものです。それによって産業が活性化することもあり、日本ではこれに特許を付与しています。
特許取得の機会は、身近にゴロゴロ転がっている?
さて、新規物質を合成するというのはそれなりに大変なことですが、既存の物質に新たな用途を見出すのは、比較的小さな企業や別分野の企業でも可能です。例えば、町工場やレストラン等で除菌・消臭スプレーを普段使っていたとしましょう。そのオーナーが、こういうスプレーを使うと蚊が寄ってこないな、と気づいていたら、実は大きな発見のチャンスだったわけです。
もちろん、単に除菌・消臭スプレーを使えば蚊が来ないというだけの内容では特許にするのは難しいと言えます。基本的には、きちんと実験をし、どの成分(の組み合わせ)が有効成分なのかを見極め、本当に蚊が寄ってこないのかを客観的にデータとして示す必要があります。実際に製品化する際には、有効成分の濃度や安全性も考慮しなければなりません。しかし、実験等を請け負う機関はありますし、ある程度、目途が立てば衛生製品のメーカーと共同開発したり、そういうアイデアを売ってしまったりすることも可能です。
特許取得の機会は、身近にゴロゴロ転がっているのかもしれません。
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