ジャズの新たな波に乗り遅れるな!――『Jazz The New Chapter』再び
ジャズの新たな流れ――ロバート・グラスパー以降とも言える流れを中心に紹介し、今春発売され、脚光を浴びたムック『Jazz The New Chapter』の第2弾が早くも発売された。
J・ディラを中心としたヒップホップやR&Bのトラック・メイカーをひとつの大きな影響源としたジャズの流れは、ロバート・グラスパーのヒットを筆頭に、それこそLAビートの中心地、フライング・ロータスの〈Brainfeeder〉などのリリース・アーティストなど、大きな流れとなっている。この流れを捉えたムックが『Jazz The New Chapter』だ。
この流れは、いわゆる1990年代型のクラブ・ジャズ・ムーヴメントとはまた違った形で、ダンス・ミュージックにおけるジャズと、生演奏のプレイヤーを中心にしたジャズ、さらにはリスナー側にしてもジャズ〜ダンス〜ロックと、さまざまな音楽ファンを横断してひとつのムーヴメントを作っていると言えるだろう。その現れとして、この夏のフェスや巨大イベントをみただけでも、フライング・ロータスの〈Brainfeeder〉や、〈Summer Sonic〉にロバート・グラスパーが出演するなど、ここ半年で一気に勢いをつけた『Jazz The New Chapter』的な動きは目立ってきている。そんな絶好のタイミングでの『Jazz The New Chapter』の続編である。
今回の第2弾の特徴は2本の柱として現れている。まずは前半、これはまさに第1弾のアップードとも言える内容。第1弾の刊行からこれまでに来日したロバート・グラスパー本人、グレゴリー・ポーター、ホセ・ジェイムズといった、まさにグラスパー周辺、そしてフライング・ロータス&サンダーキャット、テイラー・マクファーリンといったLAビート・ミュージック周辺のインタヴューを慣行し、第1弾でのさまざな評論の穴埋め&再発見を行っていること。また同様に、ここ半年ほどでリリースされた関連音源に関してのディスク・ガイドが掲載されている。
第2弾の特徴はもうひとつの柱「Re:ECM」的な動きをフィーチャーした後半だ。ヨーロッパにおいてジャズ〜クラシック〜現代音楽〜電子音楽を横断する老舗レーベル〈ECM〉。〈ECM〉のドン、マンフレート・アイヒャーの最新インタヴューを中心に、新たな世代との結びつきによる刺激的な流れをフィーチャー。この流れは、いわゆるブラック・ポップの最新形とも言える、前半の流れとは趣の違ったヨーロッパ的な、ブラック・ミュージックと少々距離のあるジャズといったところだろうか。バンド〜エレクトロニクス〜ワールド・ミュージックなどを巡る、いま刺激的なアヴァン・ミュージックの世界を“ジャズ“をキーワードに横断する動きと言ってもいいかもしれない。
OTOTOYプロデューサーの高橋健太郎も、NYの才媛、ベッカ・スティーヴンスを中心に、現在のジャズ・ヴォーカリストたちに対する4Pの論考も寄せております。
ちなみにOTOTOYでの取り扱い楽曲、〈Brainfeeder〉音源をはじめ多数紹介されております! ぜひとも、どのような流れになっていて、どこが聴き所なのか? を本作で探ってみてはいかがだろうか?
(河村)
・シンコーミュージックの『Jazz The New Chapter 2』公式ページ
http://www.shinko-music.co.jp/main/ProductDetail.do?pid=1640462
・テイラー・マクファーリンの『Early RIser』はOTOTOYでも配信中
http://ototoy.jp/_/default/p/42190
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