華麗なる駄話の記憶——ウォーホルとバロウズの対談集
ウィリアム・バロウズとアンディ・ウォーホル。20世紀のポップ・カルチャーに多大な影響を与えた2人の対談集『バオルズ/ウォーホルテープ』が、このたび〈SPACE SHOWER BOOKS〉より刊行された。
ポップ・アート、そしてNYアート・シーンのドン、アンディ・ウォーホル、そしてビートニク文学の象徴、ウィリアム・バロウズ。20世紀以降の、音楽を含めて、ポップ・カルチャーにさまざまな面で影響を与えた2人の対談集だ。アンディのポップアート、そしてバロウズのカット&ペーストな手法も思えばちょっと近いのか、まぁ、ともかくある種、革命的なコンセプトで20世紀後半から現在に至るまで、さまざまなカルチャーの風景を変えてしまったという意味では似ていないこともないふたり。
著書は1970年代〜1980年代のニューヨークのアンダーグラウンド・シーンにて、NYパンク・ロック〜ノーウェイヴ、ウォーホルのファクトリー周辺にいた作家/カメラマン。これまでにバロウズの対談集『ウィリアム・バロウズと夕食を―バンカーからの報告』やキース・リチャーズの伝記『キース・リチャーズ―伝説にならなかった男』、またはウォーホル、デボラ・ハリーやヴィルヴェット・アンダーグラウンド、ルー・リードなどに関する本なども執筆している。
本作は前述の『ウィリアム・バロウズと夕食を―バンカーからの報告』にも収録された対談時の取材テープなどを含む(一応、かぶりなしの模様)、作者司会のバロウズとウォーホルの4つの対談を軸に構成されている。そこにはなんとローリング・ストーンズのミック・ジャガーがゲストでてきたりと、ある種歴史的な邂逅もあるんですが、これがまた、司会のせいか、なにかとわりとユルめで、ふたりのキャラクターが逆になんとなく想像できてしまう、駄話の数々が中心といったところ。とくに、その時代のアート・シーンを語ったり、なんてこともあまりなくユルユルと続いて行く、そんな本になっております。もちろん、そんな駄話もいいのですが、本著の大きなもうひとつの魅力はその写真でしょう。例えば上記の3人の談笑風景などは、まさに写真の存在だけで歴史的価値ありでしょう。そちらもわりとキメではなく、リラックスした彼らの表情が垣間みれますな。
ちなみに今年はバロウズ生誕100周年の年、そして、翻訳はバロウズ関連の邦訳といえばこの人、山形浩生。切れ味するどい解説もぜひとも。
(河村祐介)
・SPACE SHOWER BOOKSの公式紹介ページ
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