長期金利低下で、住宅ローンの低金利も続く。その仕組みとは?

長期金利低下で、住宅ローンの低金利も続く。その仕組みとは?

【今週の住活トピック】
最新の「国債金利情報」/財務省
http://www.mof.go.jp/jgbs/reference/interest_rate/jgbcm.htm

日本の長期金利が下がり続けている。その影響は当然住宅ローンにも及ぶ。長期金利の低下は、銀行などの金融機関が融資する住宅ローンの金利を押し下げるからだ。最近の金利の動向について、考えてみよう。長期金利が下がっている理由とは?

日本の長期金利の指標となるのが、「新発10年物国債利回り」。新規に発行する償還期間10年の国債が、債券市場で取引される際の利回りのこと。取引量や流動性が高く、国が発行する債券なので信用度が高いのが特徴で、市場の動向を知るうえで重要な指標となっている。

国債の利回りは、債券市場の需要と供給のバランスで変動する。買い手が少なければ債権価格が下がり、利回りは上昇する。逆に買い手が増えれば利回りは低下する。ところが、アベノミクスの「金融緩和」で、昨年から日本銀行が大量に国債を買い入れている。最近では国債が品薄になっている状態で、利回りは下がってきている。

長期金利は、こうした金融政策や経済環境、海外の金利動向などのさまざまな影響を受けて変動するが、基本的には、景気が良くなって物価が上がる局面になれば、金利も上昇すると言われている。

長期金利は、金融機関が企業向けの融資や個人向けの住宅ローンなどの金利を決める目安になる。長期金利が下がれば、企業の設備投資や個人の住宅購入が活発化して、経済に好影響を与えるという構図だ。

長期金利低下で、住宅ローンの低金利も続く。その仕組みとは?

【図1】下がり続ける10年物国債利回り(2014年1月~8月の推移)/出典:「国債金利情報」財務省住宅ローンの金利がどの金利タイプも低金利な理由は?

では、住宅ローンの金利はどうなっているのだろう?

住宅ローンには、変動型、固定期間選択型、全期間固定型の金利タイプがある。半年ごとに金利が変わる変動型の金利は、短期金利に連動する。一方、「フラット35」(※1)に代表される全期間固定型の金利は、長期金利に連動する。フラット35の金利は、長期金利と連動して下がり続けており、9月(※2)には史上最低金利をさらに更新した。

※1:住宅金融支援機構と民間金融機関が提携する35年などの長期間で金利を固定するローン
※2:返済期間21年以上35年以下の融資率9割以下のタイプで最低金利が1.66%になった(金融機関によって金利は異なる)

固定期間選択型は、当初の一定期間だけ金利を固定するもので、当初期間が2年、3年など短いものは変動型に近いが、当初期間が10年以上などは長期固定型に近くなる。10年の固定期間選択型では、三菱東京UFJ銀行やソニー銀行などで9月に金利を引き下げて(※3)、各行で過去最低を更新した。

※3:三菱東京UFJ銀行では、借りはじめの金利を特に引き下げるタイプの10年固定で1.2%に、ソニー銀行では自己資金10%以上の10年固定で1.188%になった(いずれも新規融資で最大の金利引き下げを適用された場合)

住宅ローンの金利は、市場の長期金利の低下の影響だけでなく、民間金融機関同士の融資客獲得が激化して、低金利競争が起こっている。主力の変動型の金利は多くが金利引き下げ後0.775%を維持しているが、8月には、みずほ銀行が2年固定を期間限定(8月~10月までに申し込み)で大幅に引き下げるプラン(※4)を投入した。これに対抗して低金利なプランを投入する金融機関も相次いだ。いまでは、どの金利タイプを選んでも極めて低金利な状況になっている。

※4:当初2年特に金利を引き下げるタイプの2年固定で0.55%、さらにローンの50%以上を31~35年の全期間固定型(2.0%)と組み合わせる場合に限り0.35%にするなど(いずれも新規融資で最大の金利引き下げを適用された場合の9月金利)

住宅ローンの低金利競争は金融機関の収益を悪化させるので、消耗戦に入ったと言われるほど。とはいえ、借りる側から見れば、どの金利タイプでも超低金利なローンを選べるという好環境にある。ただし、それぞれのローンに細かい条件が付いているので、しっかりと確認しよう。
元記事URL http://suumo.jp/journal/2014/09/03/68491/

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