道徳、「特別の教科」へ格上げの意義

道徳を「特別の教科」に格上げすることで大筋合意

道徳、「特別の教科」へ格上げの意義

中央教育審議会の専門部会は、現在、小中学校で週1時間程度行われている「道徳の時間」を「特別の教科」に格上げすることで大筋合意しました。また、国語や算数などの教科と同様に、体系的に学ぶ側面があるため、検定教科書の導入を求めました。ただし、数値による評価はなじまないとして、「特別の教科」と位置づけたようです。

これを受け、文部科学省では、早ければ18年度から実施する見通しとなっています。

頻発する「いじめ」対策の一つとして道徳を教科として位置づけ

もともと道徳の教科化は、道徳が学校教育の現場に位置づけられた1958年以降、懸念となり続けてきました。反対意見はあるものの、GHQによって廃止された「修身」に代わるものとして、道徳を「教科」とすることが悲願とされてきたのです。

6年前の第1次安倍内閣の下では、中教審が「道徳教育は子どもたちの心の内面を育てるもので、検定教科書を使うことや成績をつけることにはなじまない」と判断しました。今回、再浮上した理由は、安倍総理肝いりの教育再生実行会議が、頻発する「いじめ」対策の一つとして道徳教育を教科として位置づけることを盛り込んだためです。

学校が家庭と連携し、道徳教育を充実させる意義は大きい

検定教科書を使うことになると、従来のように教師が子どもたちの様子を見て、独自の教材や必要な副読本を選ぶことに制限が加わり、多様な考えを教えることができなくなるのではないかと心配する声もあります。 しかしながら教科書があれば、教師個々の工夫に頼っていた部分が強化され、授業の中身を構想することに集中できます。授業を展開する力量を付けるなど、多忙な教師の指導力向上にもつながるでしょう。さらに、各教科書会社の教材の研究工夫が進むことも期待されます。

核家族化が進む中、「叱る」ことができず、「ほめる」ことも苦手な親が多く、家庭の教育力低下が心配されています。学校が家庭と連携し、道徳教育を充実させる意義は大きいと思われます。「悪いものは悪い」と教え、思いやりの心や勇気をはぐくむ教育は、決して押しつけなどではありません。

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