【新刊レビュー】子どもの頃のあの切なさを思い出す――『素晴らしきインチキ・ガチャガチャの世界 コスモスよ永遠に』

TOP

新刊レビュー『素晴らしきインチキ・ガチャガチャの世界 コスモスよ永遠に』

書誌情報

どんな本?
コスモスという宇宙は終わらない――。前作『愛しのインチキ・ガチャガチャ大全』にて、80年代に少年期を過ごした人々に、苦笑と郷愁、さらには畏怖すらも呼びさましたガチャガチャメーカー「コスモス」。前作に収録しきれなかったワッキー貝山氏の無尽蔵とも言えるコレクションを1000点以上掲載するのはもちろん、多くの元コスモス社員の貴重な証言により、謎多きこのメーカーの姿を再び追う! 

読みどころ

80年代子どもカルチャーを風靡した『コスモス』のガチャガチャの景品たちの図鑑。
巻末には、“ロッチ事件”の真相など、当時を語る元『コスモス』幹部の話が掲載されている。
一見ガラクタのようにしか見えない、切ないおもちゃの数々はツッコミどころ満載。
今にして思えばくだらないものに心踊らされた、子どもの頃の思い出す本。

レビュー

オススメ度:★★★☆☆
読了時間:約2時間

筆者は平成生まれである。というわけで、『コスモス』のガチャガチャを目にしたことはまったくない。“ロッチ事件”というのも初めて聞いた。しかしながら、「似たようなセコいまがいもの、あったよなー」と、なんだか懐かしさがこみ上げてくるおもちゃの数々に、ついつい引きこまれてしまう。

いつの間にやら、「これなら当たりと思ってもいいかな……?」と選別しながら、ひとつひとつ丁寧に眺めてしまった。すべてのおもちゃに解説がつけられており、それもまた哀愁を誘って秀逸。

ガチャガチャはあまり馴染みがなかったので、祭りや行楽地でよく出ていたクジ引きのハズレや、寂れたゲームセンターの景品を思い出す。どうしたってガラクタにしかならないハズレおもちゃに、一生懸命価値を見出そうとしたあの頃。今の子どもたちは、こういったおもちゃを手にしたことがあるのだろうか。あの切なさは、大人になるための重要なスパイスだったように思う。

巻末にある“インチキ・ガチャガチャ”の世界にはまりこんだ大人たちのインタビュー記事も、何やら後ろ暗さが漂っていて興味深い。読了後は、当時のことを調べてしまった筆者であった。

詳細情報

書籍名:素晴らしきインチキ・ガチャガチャの世界 コスモスよ永遠に
著者:ワッキー貝山、池田 浩明
価格:1800円(税別)
出版社:双葉社

※表紙画像は双葉社公式ホームページより
http://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-30712-2.html[リンク]

  1. HOME
  2. 生活・趣味
  3. 【新刊レビュー】子どもの頃のあの切なさを思い出す――『素晴らしきインチキ・ガチャガチャの世界 コスモスよ永遠に』

Nagaya Ayaka

若いうちはなんでもやっとけー! とがむしゃらに生きている20代女です。 趣味は旅行と読書、創作活動、そして酒。夢中になると大変なことになるので、いつも控えめに過ごしております。

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。