SCREEN modeインタビュー 声優・サウンドプロデューサーのユニット結成秘話
SCREEN modeのお二人 左:勇-YOU-さん|右:雅友さん
7月23日(水)、2枚目のシングルとなるTVアニメ『LOVE STAGE!!』OPテーマ『LφVEST』をリリースする、雅友さんと勇-YOU-さんの2人組男性ユニット・SCREEN mode。
ギターの雅友さんは、田村ゆかりさんをはじめ多数のアーティストのヒット曲を手がけるサウンドプロデューサー・太田雅友であり、ボーカルの勇-YOU-さんは、洋画の吹き替えをメインに、絶賛放送中のTVアニメ『ハイキュー!!』の田中龍之介なども演じる声優・林勇でもある。
2013年11月、TVアニメ『ぎんぎつね』のEDテーマ『月光STORY』でのデビューから、アニソン界の新星ユニットとして注目を集めてきたお二人に、SCREEN modeのこれまでとこれから、そしてアニソンシーンに思うことについてうかがった。
このチャンスを絶対に活かしたいと思った
──雅友さんはサウンドプロデューサー、勇-YOU-さんは声優として、それぞれ活動されてきたと思うのですが、新たにSCREEN modeというユニットを結成したのには、どんなきっかけがあったのでしょうか?
雅友 これまでいろんなアーティストの楽曲をつくってきましたが、僕自身から発信する何かをやりたいとぼんやり考えていたんです。去年の夏ぐらいにランティスのプロデューサーとお話する機会があって、そんなことを伝えると、「じゃあ何かやってみよう」と言ってくれて。
その頃ランティスでは、TVアニメ『ぎんぎつね』のタイアップ曲を歌う男性声優を探している時期で、そこで良い人が見つかれば組んでできるかもしれないね、という話になったんです。
──誰かをプロデュースするのではなく、自身がプレイヤーになることを想定されていたんですね。
雅友 そうです。ただ、いきなり僕が歌ってもあまり商品価値がないと思ったので(笑)、説得力のあるボーカリストと組みたいというのもありました。
それからオーディションを始めたんですけど、なかなか「この人!」というのが見つからなくて。そうこうしているうちに、これ以上引っ張ったら間に合わない! みたいなところまできてしまったんです。
そんな時に、作曲家の友人に「良い人がいる」と紹介してもらったのが、勇-YOU-でした。もう大至急デモテープやら資料やらを送ってもらって。「あー! ここにいた!」という感じで決まりました。
──では、それまでお互いに面識はなかったのですか?
勇-YOU- 全くなかったですね。
──初めて対面された時の第一印象はいかがでしたか?
勇-YOU- そうですね……なんだか顔のつくりが似ているなと思いました。
──顔のつくり、ですか(笑)。
勇-YOU- よく言われるんですよ! 雅友さんは否定するんですけど(笑)。
──雅友さんは、勇-YOU-さんの印象はいかがでしたか?
雅友 「あ、なんかスターが来ちゃったな」って感じでしたね。
勇-YOU- 絶対思ってない(笑)!
雅友 その時はそこまで思っていないですけど(笑)、この人がスターになるんだなと思いました。
──どんなところにスター性を感じられたのですか?
雅友 会う前にデモは聴いていたので、歌が上手いことはわかっていたんですが、歌っている姿は見ていなかったんですね。でも、実際に見てみると、もう「なんでもやります!」みたいなアグレッシブさがあったんです。
勇-YOU- 元々、長いこと音楽で何かやりたいと思っていて、その矢先のSCREEN modeというチャンスだったので、失うものは何もないと思って臨んでいましたね。
雅友 「このチャンスを絶対に活かしたい」ってことはすごく言っていたよね。この歌唱力と、そのやる気があれば、あとは周りが頑張ればスターになれるんじゃないかと、そう思いました。
ポップでわかりやすいものを、きちんと伝えていく
──1stシングルに続き、2ndシングル「LφVEST」も、『LOVE STAGE!!』というTVアニメの主題歌ということで、アニソンシーンからスタートしていくことになりましたが、最近のアニソンシーンはどのようにご覧になっていますか?
雅友 ここ1年ぐらいはそうでもないんですが、少し前まで、複雑なものが多かった気がします。簡単に口ずさめるような曲や、カラオケで全員がぱっと盛り上がれるような曲が少なかった。
カラオケ行くと、前の方の履歴が見れると思うんですけど、だいたい1990年代から2000年代前半の曲が多いんですよね。たぶん、その後から難しい曲が増えてきたんだと思うんですけど。
──アニソンランキングで言えば、「残酷な天使のテーゼ」(1995年)のような古き良きアニソン、みたいな曲が強いですよね。
勇-YOU- すごいですよね。今でもすぐに歌詞・メロディがぱっと浮かんできますし。
雅友 そんな風に、みんながすっと思い出す曲が少ないんですよね。そうすると、90年代ごろ流行っていたキャッチーな曲が浮かんできて、じゃあこれ歌おうか、ということになるんだと思うんです。だから最近の音楽って難しいんですよね。
もちろん、高い歌唱力をもったボーカリストにしか歌えないような楽曲があってもいいと思います。ただ、SCREEN modeにも勇-YOU-というボーカリストがいますが、彼の歌唱力をひけらかすのではなく、ポップでわかりやすいものをきちんと伝えていくってことをやっていきたいですね。
勇-YOU- シンプル・イズ・ベストというか。
雅友 そこにまた戻したいというのはありますね。
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コピーもアップロードもできない「ライブ」を大事にしたい
──ちょうど去年の夏から結成のお話が進んでいたということは、そろそろ活動から1年ほど経ちますか?
雅友 そうか、気づけば1年ですね!
勇-YOU- あっという間でしたね。体感では、まだ半年ぐらいな気がします。
──この1年間で、どんなことが一番印象に残っていますか?
勇-YOU- 僕は4月のニコニコ超会議3ですね。
雅友 あれね。「超音楽祭」っていうライブイベントに出させていただいたんです。
──どういったところが印象深かったのでしょうか?
勇-YOU- あれだけたくさんの人の前で歌うのは初めてだったんですが、思いの外、自分は冷静になれて、雅友さんとすごく良いものが出せたという実感が強かったライブだったなと。
たぶん、今までのSCREEN modeのベストパフォーマンスだったんじゃないかなとも思うんです。
──最近はアニソンでもライブイベントが多いと思うのですが、やっぱりライブは意識されていますか?
雅友 ライブはかなり重視したいと思っています。SCREEN mode以前のプロデュースワークでも、ライブで盛り上がれる、ライブ重視の楽曲づくりには力を入れていました。
いま、ライブで盛り上がれるというのは本当に大事なことだと思うんです。これだけインターネットが便利になって、YouTubeで色々聴けるようになっても、ライブだけは、正確にはコピーできないしアップロードもできないので。そういう体験を皆さんと共有したいというのが一番大きいです。
──そこでしか聴けない、体験できないものをファンの方と共有したい、と。
雅友 さらにもう一つ付け加えるとすれば、SCREEN modeに関して言えば、CDには勇-YOU-の歌が入りきれていないというのがあって。
声量がすごくあるので、マイクも最新型に新調したりして、それでやっとという感じなのですが、そこまでハイエンドのマイクじゃないと録音できないくらい表現力があるんです。
でも、それでも録りこぼしている部分があるので、ぜひライブで、生で感じてもらいたいなと思います。
「林勇」という存在の情報量が増えた
──その勇-YOU-さんの表現力というのは、やはり声優というキャリアが活きているのでしょうか?
勇-YOU- 演じるように歌う、表現をつけて歌うという点では、声の仕事が活かされている感覚はありますね。プラスになっていることばかりな気がします。
雅友 その逆、歌が声優の仕事に活きることってあるの?
勇-YOU- どうだろう……根本的に表現するということは変わらないから、イコールといえばイコールなところがあると思うんですが。
でもたまに、譜面なしでキャラクターの歌を歌って欲しいと言われた時に、即座に対応できるのは、歌をやっていて良かったと思いますね。予算がある作品では、譜面におこして仮歌入れて収録して、っていうことができるんですけど。
「予算がかからなくて、しゃべりも歌もできるやつ誰だ? 林だ!」という流れでお仕事をいただくことはたまにあります。
雅友 SCREEN modeが始まったことによって、林勇といえば歌をやっているという認知が広まって、「林勇」という存在の情報量が増えたんだと思いますね。
勇-YOU- ありがたいですね。
この間おもしろかったのは、TVアニメ『ハイキュー!!』で僕は坊主頭の田中龍之介という役をやらせていただいているんですが、Twitterで田中について、「あの丸坊主まじ歌うめえ」とか言われたりしていて(笑)。
──それは褒め言葉ですよね(笑)。
勇-YOU- だといいんですけどね(笑)。キャラクター的には意外性があったようで。僕としては、丸坊主が歌上手くちゃダメなのかよ! って感じです(笑)。
人を元気にできるのがアニソン
──結成から今まで約1年が経ちましたが、これからの1年は、SCREEN modeとしてどのようなビジョンをお持ちですか?
雅友 とりあえずは、より多くの人に僕達の存在を知ってもらうことが重要な段階だとは思っています。CDもどんどんリリースしてレパートリーを増やして、僕らを見に来てくれたお客さんを感動させるライブができるようになっていきたいです。
──やっぱり明確にライブを意識されているんですね。
雅友 そうですね。ただ、SCREEN modeをやっていく上で、僕らの音楽を聴いた人が少しでも楽しくなったり、癒やされたり、気分転換になったり、そういう音楽をやりたいと思っていて、その延長線上にライブがある、ということだと思います。
勇-YOU- 先日、ランティス祭りキャラバンイベントというので、色んなアーティストの方と一緒にミニライブをさせていただいたんですが、最後、そこで遠藤正明さんが「人を元気にできるのがアニソンなんで」っていうお話をされていたのがすごく心に残っているんです。
色々と難しく考えないで、単純に、その場にいるみんなが盛り上がれたり、日々の生活の中でちょっとした元気の源になったり、音楽には絶対そういう力があると思うので。
ランティスには、そういった活動をしている先輩がたくさんいるので、今後も、そんな先輩方の背中を見ながら、一緒に盛り上げていきたいなと思います。
SCREEN mode // SCREEN mode
アーティスト
サウンドプロデューサー・雅友(太田雅友)と、声優として活躍する勇-YOU-(林勇)によるユニット。SCREEN modeというユニット名は、音の「SCREEN=映像」を、さまざまな「mode」に変化させながらリスナーの心に焼き付けていきたい、という思いから名付けられた。
関連商品
SCREEN mode
発売 : 2014年7月23日
価格 : 1,300円(税抜)
発売元 : ランティス
販売元 : バンダイビジュアル
イベント情報
SCREEN mode ワンマンライブ 開催決定!日時2014年11月3日(月・祝) open 17:00 / start 18:00会場渋谷CLUB CRAWLチケット2,500円(税込・ドリンク代別)
・7月19日(土)チケット発売開始
・お問い合わせ:インフォメーションダイヤル 03-5793-8878(平日13:00〜18:00)
ウェブサイト: http://kai-you.net
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