『渇き。』のアニメシーンを手掛けた大平晋也(『ピンポン THE ANIMATION』)&STUDIO4℃ 起用のきっかけは逆オファー

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第3回宝島社『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した深町秋生さんの「果てしなき渇き」(宝島社刊)を、『告白』の中島哲也監督が映画化。元刑事のロクデナシ親父・藤島が、成績優秀、容姿端麗、学園のカリスマでもある失踪した女子高生の娘・加奈子を探すうちに、娘の本当の姿が明らかになるという衝撃の物語が現在公開中。賛否両論の大ヒットとなっています。

本作では、原作ではヒップホップが流れていたクラブのシーンに、でんぱ組inc.のアイドルソングが使われていたり、本編全体を通じて大胆な画面の切り替わりが使われていたりと、中島監督らしい演出が魅力の一つ。そして、何といっても物語の重要なシーンにアニメーションが使用されている所が、筆者個人的にはとても刺激的でした。アニメシーンが印象に残っている方も多いのではないでしょうか?

このアニメーションシーンを担当したのがアニメーター、アニメーション監督の大平晋也さん。STUDIO4℃、Production I.G、スタジオジブリ等の劇場作品に参加。最近では『ピンポン THE ANIMATION』のオープニングアニメーション絵コンテ・演出・作画監督・原画を務め、普段連続アニメを観ない層からもアツい支持を受けていました。

『渇き。』への大平さんやSTUDIO4℃の参加について、どの様なきっかけや監督からのオーダーがあったのか興味津々だった筆者。早速、配給会社であるギャガさんに問い合わせをし、STUDIO4℃のアニメーションプロデューサーである田中栄子さんに回答をもらう事が出来たのでご紹介します!

※すべての画像を見たい方は(https://getnews.jp/archives/624383)をご覧ください。

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Q:『渇き。』のアニメーション部分を担当する事になったきっかけ。

STUDIO4℃の作品の監督を依頼したところ、逆にアニメーションをお願いされました!!

Q:中島監督からはどの様なオーダーがありましたか?

「好きに作ってください。」と、口で言いながら、細かいイメージがラフ絵コンテにありました。

Q:原作(または脚本)を読んで感じた事、「この部分をアニメにするのか」といった驚きはあったのかどうか。

心象風景として肝になるイメージなので、一体どんなアニメーションを期待されているのか!!とビビりました。

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Q:アニメーションで描く人物には、ボク役の清水尋也さんという役者さんがいらっしゃいますが、実在の人物をアニメにする難しさといった事はありましたか?

顔もキュートで、裸体も肋骨もとがっていて特徴的でしたが、水中のゆがみがあるので、キャラを似せられたのは大平さんの天才のなせる技です。

Q:映画冒頭部分のアニメーションと、後半のアニメーション、全く異なる表情をしていますが、意識した部分を教えてください。

天国と地獄、羊水の中(至福)と奈落。深く深く落ちてゆく中で、恍惚な微笑が上手く出せたと思います。

Q:完成した映画を観た率直な感想を教えてください。

恐ろしい。中島監督はなんて残酷なんだ。ここまで人物を掘り下げて描ききるなんて!

STUDIO4℃の作品の監督を依頼したら逆に映画のアニメーション部分を依頼され、自由にしていいと言いながら口を出してきたなんて、なんとも中島監督らしいフリーダムなエピソード。水中のゆがみがある中、実在の俳優さんに似せるという「天才のなせる技」には激しく納得です。

もう映画をご覧になった方は思い出しつつ、これからご覧になる方は、ぜひ大平晋也さんとSTUDIO4℃の技術で実現したアニメーションシーンに注目してみてくださいね。

【関連記事】小説家・深町秋生×映画ブログ「破壊屋」が映画『渇き。』の魅力を語る! 「ヒロインは薬のメタファー」
https://getnews.jp/archives/609051 [リンク]

『渇き。』ストーリー

元刑事のロクデナシ親父・藤島(役所広司)に離婚した元妻から連絡が入った。成績優秀なうえ、容姿端麗、学園のカリスマでもある女子高生の娘・加奈子(小松菜奈)が失踪したという。自分のせいで全てを失った男が、再び“家族”を取り戻すべく、姿を消した娘の行方を追うことに。娘の交友関係をたどって行く先々で、語られる「知らない加奈子像」に戸惑う藤島。想像を超えて肥大し、踏み入れるほどに見失う娘の正体。やがて藤島の激情は、果てしない暴走をはじめる。

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(C)2014「渇き。」製作委員会

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藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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