女性の出世意欲をかき立てる組織づくり
制度が整っても、肝心の女性社員に「その気がない」と意味がない
安部晋三首相が成長戦略の一つとして女性活躍を掲げた影響もあって、女性社員が活躍できる組織づくりを志向する会社が多くなっています。効果については賛否両論ありますが、法整備も進み、女性が働きやすいように配慮された人事施策も増えてきています。まだまだ課題はありますが、ハード面では女性が活躍できる環境づくりが進んでいると言えるでしょう。
しかし、肝心の女性社員の意識はどうでしょうか?私の感覚としては、女性社員の意識としては、環境が整いつつあることに喜びを感じながらも「自分が管理職を目指す」という選択をするまでには至っていないような印象を受けます。せっかく制度面での環境が整っていても、女性社員に管理職を目指す意欲がなければ何の意味もありません。制度を整えるだけでは、不十分なのです。
「イキイキと働く女性管理職」が実際に存在することが必要
女性社員が「管理職を目指す」ような会社にするには、社内で一人「ロールモデル」をつくることです。つまり、仕事とプライベートを両立させて「イキイキと働く女性管理職」が実際に存在することが必要なのです。そして、ロールモデルをつくるためには、制度だけではなく、個別での手厚いフォローが必要になります。
具体的には、管理職に育てたい女性社員と定期的に面談を行い、会社からの期待を伝え、本人の希望や事情に細やかに対応し、成長を全面的にサポートしていくことが求められます。社内に女性管理職がいないのであれば、おそらく社内には「女性は管理職に向かない」というような雰囲気が多かれ少なかれあるものです。そのような雰囲気の中で管理職を目指すことは、想像以上に大変なものです。能力面以上に、精神的なサポートが大切になるかと思います。
出産や育児、女性特有のライフイベントに対して個別のフォローを
加えて、女性社員には出産・育児という女性特有のライフイベントがあります。どのようにしてサポートして乗り越えるかも、女性管理職のロールモデルをつくれるかの大きな分岐点です。ここでも制度面だけではなく、手厚いフォローが必要になります。いくら育児休業が制度として存在していても、実際に長期間にわたって会社を休むことは大きなハードルです。育児休業中にメールやスカイプなどでサポートしていたとしても、会社で実際に顔を合わせていないと「疎外感」を感じる女性社員もいます。制度があるからといって画一的な対応をするのではなく、個別の状況や個性に合わせて手厚くフォローすることが大切です。
このように、女性社員が管理職を目指したくなる組織づくりをするためには、制度面の整備だけではなく、石をひとつひとつ丁寧に積み上げるような、根気強い取り組みが必要不可欠なのです。
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