読書の価値(メカAG)
今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
読書の価値(メカAG)
「社会人になって読書習慣がないなんてありえない。自己形成に読書力は必須。」 2014年05月10日 『ウェブ1丁目図書館』
http://shirousagi.hatenablog.jp/entry/dokushoryoku/
俺も書いてみる。読書で得られるものは2種類あると思うのだよね。1つは著者があれこれ考えた成果物を得ること。極端にいえば「結論」だけ読めばOKというもの。ネットに流通しているのもこの手の情報が多い。分厚い本を長々と読まなくても、結論だけネットに書いてあったりするし、便利ではある。
もう1つは、著者がどのようにしてその結論に辿り着いたかを知ること。いわば著者の思考をトレースしていく作業。それには著者が紆余曲折を経て最終地点に辿り着いた様子をできるだけそのまま記述している方がいい。最初の方のなん章かで考えたことを、つぎのなん章かで、最初の考えは間違いだったと否定していたりする本。
情報を得るためならこの手の本は効率が悪い。「なんだ、間違いとわかっている説を延々と読まされてたのかよ」と思わず言いたくなったりする。最初の頃この手の本が嫌いだったんだよね。なんで最終的な正しい説だけを説明してくれないんだ、と。
でもこうした本こそ、問題に対してどうアプローチして行ったらいいか学べる本だと思う。答えをどう追い詰めていけばいいのか?
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次の段階として、同じテーマで反対のことが書いてある本を読む。すると1冊めの本で「なるほど」と納得したことと逆のことが書いてあるわけで、2冊の本の結論が違うのはなぜだ?となる。2冊の本の著者が使っているアプローチの違い、それがどう結論に影響しているか、一方で見落とされている部分、一方で著者が少々主観的に強弁している部分、それを他方の著者はどう処理しているか?
そういうことがわかってくると、他人(本の著者)のデッドコピーでない自分独自のアプローチ方法が確立してくる。これは他人との議論にも応用できる。結論の違いがどういう時に生じるかがわかってくるので、自分と意見が違う人間の考えが、ある程度推測できるようになる。「ああ、きっとあの部分の重み付けが俺と逆なんだな」と。
こうしたことは本でなく生身の人間からも学べるし、学ぶ機会があるなら断然そっちの方がいいのだが、やっぱリアルで会える人間というのは限られているからね…。しかも馬鹿が多いし(笑)。その点、本を書く人間はそれなりに賢い人間だから、その思考方法を学ぶのは効率がいい。
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ネットの意見とか見てると、複雑なことを思考する方法がわからない人が多い。矛盾するような情報をどう整理していけばいいか。これは本人の能力というよりも、一度も処理方法を学んでいないためだと思う。学んでもできない人も多いだろうけど。
なので勢い「俺はこの人の主張を信じる!」みたいな、思考を放棄した主張が多い。信じるしかない部分もあるけれど、合理的になにが妥当か導き出せる部分がかなり残されている。そういう人は諦めが早すぎ。
執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2014年05月14日時点のものです。
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