やっくん事故死で書類送検、なぜ?

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桜塚やっくん、山口県警から自動車運転過失傷害の容疑で書類送検

やっくん事故死で書類送検、なぜ?

先日、タレントの桜塚やっくんが、山口県警から自動車運転過失傷害の容疑で書類送検されたという報道がありました。昨年10月に、中国自動車道で運転者として事故を起こし、同乗者に怪我をさせたという容疑のようです。しかし、やっくんは、まさにこの時の事故で、車から降りて高速道路上に出たところを後続車にはねられ不幸にも死亡しているはずです。既に亡くなっているのに、なぜ、やっくんは書類送検されたのでしょうか。亡くなった人を容疑者にするなんて、あるいは、死亡しているのに書類送検して何の意味があるのか、と疑問に思う人もいるかもしれません。今回は、この点について解説します。

そもそも、書類送検というのは、意外にも実際に法律で使われている言葉ではありません。「警察が、容疑者を逮捕など身柄拘束はせずに、事件の捜査書類や証拠だけを検察官に送る場合」を指して使われています。つまり、書類だけを送検するという意味です。今回の場合も、やっくんは事故で亡くなっていますので、当然、逮捕などはされません。そこで、「書類(だけの)送検」になります。同じような例は、記憶に新しいところでは、尼崎連続変死事件の角田美代子容疑者のケースがありました。

容疑者死亡のまま書類送検された事件の結末は?

では、なぜ、やっくんは亡くなっているのに、わざわざ書類送検されなければならないのでしょうか。

実は、刑事訴訟法という法律には、警察は、事件の捜査をした以上は、その容疑者が既に死亡しているかどうかにかかわらず、軽微な事件などでない限り、速やかに書類送検をしなければいけないと書かれてあります(法246条)。そのため、山口県警が行った書類送検は、この法律に従った当然の処理で、今回のような重大事故の場合には、警察も「今回は、やっくんが亡くなっているから、書類送検はしないでおこう」ということはできません。容疑者とされる人が死亡していたとしても、あくまで、事件の処分を最終的に決めるのは、警察ではなく検察官とされているのです。

今回のように、容疑者死亡のまま書類送検、つまり検察官に事件が送られた場合には、その後どうなるのかというと、答えとしては、容疑者が死亡している以上、裁判をすることはできませんから、検察官は、当然に不起訴処分を行うことになります。

やっくんに判決が下されたり、罰金刑が科されることはありません。

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