炎上を引き起こす「失言」の予防策
失言をする人は、本人が失言だと自覚していない
森喜朗元首相の浅田真央選手についての発言や、NHK籾井勝人会長の就任会見での発言など、公人の失言が相次いで世間をにぎわせています。失言をする人に共通している最大の特徴は「本人が失言だと自覚していない」こと。加えて、「自分自身の立場がわかっていない」ことです。
誰が聞いても「それを言ってはダメでしょう」という発言であるにもかかわらず、本人は「まったくわかっていない」という、世間とズレた感覚自体がそもそも問題なのです。その鈍さも、普通の人なら失笑を買うぐらいで済むのですが、影響の大きい人であればあるほど、そういうわけにはいきません。
影響力が大きい人の「ここだけの話」は通用しない
記者会見や講演などの公の場で、しかるべき立場の人間として発言する場合、いくら「私的発言」と断ったとしても、その発言は責任を伴います。また、「そういう趣旨で発言したのではない」「全文を読んでみてほしい」と、失言だったことを率直に認めたがらない傾向もありますが、対応が後手に回ることで傷を大きくしてしまいます。
政治家がオフレコとして話したことが翌日の新聞の紙面を飾るように、公人の「ここだけの話」は通用しません。発言の一部を切り取って報道されたことで辞任などに追い込まれる公人も少なくないのです。
真意が伝わっていなかったとしても「伝わったことがすべて」。ビジネスでも日常的なコミュニケーションでも、自分が伝えたように伝わるとは限りません。そして、いったん発言してしまったことは取り消すことができないのです。だからこそ、誤解なく伝わるように言葉の端々まで細心の注意を払う必要があります。
聞き手本位で伝える内容を練り、シンプルな言葉で話す
まずは、話す前に自分の中で確認しましょう。「自分はどのような立場・役割で発言をすべきで、配慮すべき点は何か」「今、相手が自分に聞きたい話や、世の中に関心や共感を持って受け入れられる話は何か」といったことを踏まえ、発言のスタンスや方向性や言葉の表現を吟味します。その際、自分本位ではなく、聞き手本位に考えることを忘れないでください。
失言を繰り返す人は、「自分の話を聞かせてやろう」「感心させてやろう」というスタンスで話していることが多いのです。聞き手の感覚から離れ、上から目線で話している人が、ちょっとしたサービスのつもりでウケ狙いの発言をしようとするから、知らずに地雷を踏んでしまうのです。
ある政治記者に聞いた話では「小泉元首相は見出しがつけやすかった」そうです。短く印象的なフレーズで言い切るので、そのまま新聞の見出しに使える。そうすると誤解もなく、伝えたいことがズバリ伝わるわけです。何を伝えるべきなのか十分に戦略を練ったら、シンプルな言葉で話すのが誤解を招かないコツと言えます。
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