交渉の功罪
できるだけ良いところに安く住みたい。引越しの際はついそんなことを思って値切ってしまいます。でもやりすぎはいけないのですね。今回は共同ブログ『不動産屋たちのココだけのハナシ』からご寄稿いただきました。
交渉の功罪
お部屋を決める際に「もう少し家賃が下がれば……」とか「礼金が少なくなりませんか」と言った交渉事は決して珍しく有りません。少しでも条件を良くしたいと願うのはだれでも同じです。
ただ、この「交渉」も場合によっては「悲劇」を生むことが有ります。
立場を変えて管理会社、あるいはオーナー側からの目線になって見て下さい。
昨今の不景気を反映させて、これまでより賃料にせよ初期費用にせよ、かなり思い切って好条件にしたと言うのに「もっとマケテ」と言われて良い気分になるはずがありません。
(これだったら喜んでくれるかな)って思っている大家さんにダメ出ししてるようなものですから。
仮に譲歩を勝ち取ったとして、その禍根は残ってしまいます。もしかしたら入居後に何か有った場合「あの人は安くさせられた人だ」と言うレッテルが大家さんから貼(は)られてしまえば、対応もそれなりに変ってくる事も有り得ます。
また「この家賃ではギリギリなので、せめてもうちょっと……」と言う戦術で賃料の値引き交渉を行うケースも有りますよね。私もよく使う手段ですが(笑)。
ある時、物件を気に入った女性から「もう少し(家賃が)下がりませんか?」と、聞かれたのです。実はその女性、ご予算よりかなり安めの物件を気に入ったのですが「もう一声」を狙(ねら)ってのチャレンジだったのですね。そこで私が大家さんに「ご予算をちょっと上回っていて、少しでも下げていただければ『申込んでも良い』って仰っているのですが」と、打診しますと「そんなにギリギリの方でしたら、むしろこの先が心配ですので、お断りして下さい」と切り返されまして・・・。むしろ「言うのはタダ」などと安易に交渉したことがアダになったエピソードです。
ここで改めて思うのですが。
近隣の賃貸相場から見て、明らかに高いゾーンの物件であれば我々も必死になって条件の交渉に臨みます。ですが、既に現状を踏まえ、借主のために優しい条件にリセットした物件をさらに「下げろ」はちょっと違うかと思います。
では、お客様から見て、その物件の賃料設定などが既に市場の相場を鑑みて安くなっているのか、それともそれらを何ら考慮せずそのままの賃料設定なのか、それを何処で見極めるか、は非常に難しい作業ですよね。
ネット上で毎日チェックでもしてない限り、ある物件の条件(家賃などの)推移など知る由も有りません。
ではどうしたら良いか。ある程度の「相場観」をお持ちでしたらともかく、それはもう業者を信用するしかない……と思います。
本当に借り手のことを思っての物件であれば私も「もうこれ以上は無理です」とハッキリお伝えします。
かつてこのブログでも書きましたが、ある物件を大家さんと相談し、借り手のことを考えて思い切り値下げしたことが有りました。
そしてその物件を気に入った男性が、申し込みたいと言う際に「もっと下がりませんか?」と言い出したのですね。
その条件がどれだけの事を考慮して安くなったのかを伝えても彼はこう言ったのです。「でも、まだボクのために下げてもらっていないじゃないですか」と・・・。つまり自分のためにもっと頑張れという言い分だったのですが。
私は彼の申し出を断りました。
彼は舌打ちをして出て行きましたが、後悔はしておりません。むしろそういった考え方の人に借りてもらわなくて良かったとさえ思っております。
常日頃(つねひごろ)は目の前のお客様の見方になりたいと願っておりますが、それでも大家さんの情を踏みにじるような真似は出来ません。
交渉はその物件の経緯やある程度の節度を守った方が良いと思います。
by 「ジタバタ男」
執筆: この記事は共同ブログ『不動産屋たちのココだけのハナシ』からご寄稿いただきました。
文責: ガジェット通信
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