睡眠不足は伝染する?

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だれかがアクビをすると、なぜか自分もアクビがでてしまうということはありますが、睡眠不足も伝染するようだという研究結果がでているようです。一緒に遊ぶことが増えるからかもしれませんが、なかなかおもしろいですね。今回はscience_qさんのブログ『サイエンスあれこれ』からご寄稿いただきました。

睡眠不足は伝染する?
科学雑誌『Science』の出版元としても知られている、『アメリカ科学振興協会(AAAS)』の年次大会が、2月18-22日の間、アメリカ・サンディエゴで開催されていました。そこで発表されたいくつかの研究結果が、AAASのニュースサイトである『ScienceNOW』に掲載されていました。その中から、今回、睡眠不足の人の周りにいると、自分も睡眠不足になってしまう、すなわち睡眠不足は伝染する?かもしれないという研究結果*1を紹介します。
*1:『ScienceNOW』「Lack of Sleep Is Contagious」by Michael Torrice on February 21, 2010
http://news.sciencemag.org/sciencenow/2010/02/lack-of-sleep-is-contagious.html

実験では、7学年から12学年(日本でいう中学1年生から高校3年生)までの学生 8000人の交友関係を調べ、そのネットワークの中心に、最も睡眠時間の短い少年を置いたところ、その周りにできた彼の友達の輪は、彼に近い友達ほど、睡眠不足に陥っている率が高いことを発見しました。そして、この傾向は、4世代、つまり彼の友達の友達の友達の友達にまで及んでいたというのです。

一見、単に「類が友を呼んだ」(睡眠不足の傾向がある若者が集まった)結果ともとれますが、ネットワーク上の距離と影響の強さがここまで相関しているという事は、単純にそうとも言い切れないかもしれません。なぜなら、お互い睡眠不足だと知って、友情がより深まるとは考えにくいからです。

今回の研究の発表者である、カリフォルニア州立大学サンディエゴ校の政治学者James Fowler博士は、人間の社会的なつながりが、その人の行動や感情に与える影響に興味をもち、これまでにも、肥満、喫煙習慣、さらには幸福度までもが、人と人のつながりを介して、社会に広がっていくことを示してきました。

これらは、ある程度、その広がった理由、例えば、友人に食べることや吸うことを薦められたからとか、友人を見て自分もあんな風にかっこよくタバコを吸ったり、幸せな人生を送りたいと思ったからとか、を推測することが可能です。しかし、今回の研究によって明らかになった、睡眠不足の伝染は、そこに何ら人の意思の積極的介入がない(睡眠不足をわざわざ薦める人はいないし、そうなりたいと思う人もいない)にも関わらず伝染したということで、ちょっと不思議な現象ですね。睡眠不足でいつも眠そうな人を見ているだけで、自分も睡眠不足になるということがあるんですかねぇ。

執筆: この記事はscience_qさんのブログ『サイエンスあれこれ』からご寄稿いただきました。

文責: ガジェット通信

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