「東京都知事選 候補者ネット討論」全文書き起こし(5/8) 首都直下地震に備えた防災対策
東京都知事選(1月23日告示、2月9日投開票)に立候補をしている宇都宮健児氏、田母神俊雄氏、舛添要一氏、細川護熙氏(届け出順)の4候補者が登壇する「東京都知事選挙 候補者ネット討論」が2014年2月1日夜、都内でおこなわれた。
・[ニコニコ生放送]「首都直下地震に備えた防災対策」から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv167270721?po=newsgetnews&ref=news#1:00:17
・[ニコニコニュース](4/8) 少子高齢化に伴う社会保障の充実
http://news.nicovideo.jp/watch/nw935913
討論では、各候補者からの「オープニングメッセージ」に始まり、「2020年、東京オリンピック・パラリンピックへの対応」「原発活用の是非を含めたエネルギー政策」「少子高齢化に伴う社会保障の充実」「首都直下地震に備えた防災対策」の4テーマが採り上げられ、討論の後半ではニコニコ生放送の視聴者によるアンケートによって「東京都尖閣諸島寄付金」「景気と雇用」の2テーマが決定された。今回の都知事選において、4候補者が一堂に会した討論の生放送は初めて。
なお、この討論は、グリー株式会社、株式会社サイバーエージェント、Twitter Japan株式会社、株式会社ドワンゴ、ヤフー株式会社、Ustream Asia株式会社、LINE株式会社(50音順)のネット事業者7社が取り組んでいるネット選挙応援企画 「わっしょい!ネット選挙」が協力。各社が展開するサービス(Ameba、BLOGOS、GREE、niconico、Twitter、Ustream、Yahoo!みんなの政治)において、生放送配信、ニュース記事配信、ユーザーへの告知、討論テーマの募集等がおこなわれた。
このニュースでは、討論の内容のうち、「首都直下地震に備えた防災対策」を全文書き起こして紹介する。
■首都直下地震に備えた防災対策
司会・角谷浩一(以下、角谷):さて、次のテーマです。次のテーマはですね、この、さまざまなテーマとリンクしていると言っていいかもしれません。「首都直下地震に備えた防災対策」の問題です。東京都だけでなく、一都三県、または関東地方というふうな規模でも考えなきゃいけないことなのかもしれません。
この問題、細川さんからお願いします。
細川護熙氏(以下、細川):これは原発の問題、脱原発の問題とも大きく絡む話ですけれども。今、地域防災計画というものを東京都のほうで、職員の方々が大変いいものを作っておられるので、そういうものを、しっかりとメリハリを付けて、スピードを上げて、実施をしていくということにつきると思います。
そのなかに、たとえば、水と緑の回廊とかですね。もちろん、不燃化対策とか、帰宅困難者の対策ですとか、木造住宅密集地域の問題とか、いろんなことが書かれておりますが。私は、水と緑の回廊みたいな話もですね、これは環境とも結びついた、非常に江戸時代、東京は「水の都」と言われて素晴らしい景観があったということですが、そういうことにも配慮して、景観と防災というものがあわせ備わった、素晴らしい魅力のある首都ができていくならば、これは本当に素晴らしいことだなあと。
ぜひ、そういう観点でこの地域防災計画というものをしっかり進めていくことが大事なんじゃないかと思っています。
角谷:はい、宇都宮さん。
宇都宮健児氏(以下、宇都宮):首都直下型地震。政府の防災会議でも発表がありましたけれども、だいたいマグニチュード7クラスの直下型地震が30年以内に70%の確率で発生すると予想されておりますので、この直下型地震に対して都民の命を守る対策が急務になっていると思っております。
ただ石原都政、猪瀬都政のなかでは、防災があまり力入れられなかったんじゃないかと。石原さんが知事になったときは、防災予算は1兆だったんですが、今6千億くらいになっています。
そして本当は耐震工事、あるいは木造の不燃化工事が重要なんですけど、今はメイン、延焼を防ぐための道路の周縁地域の都民の建物だけが助成の対象になって、それ以外は、都民自身が自分の手で耐震工事、不燃化工事やりなさい、ということになっています。だけど、それならお金のない人はできないわけです。
ですから私はそれは都が助成金を出して、耐震工事、不燃化工事を進めて、都民の命を守るべきだと考えています。静岡県は助成金を出していますから。静岡県の耐震工事、不燃化工事の進捗率と比較して、20分の1くらいしか進んでいないんですね。
それからもうひとつ、やっぱり東京湾のコンビナート地帯の震災対策が重要だと思っています。東京湾には、5千基以上のガソリンタンク、それからガスタンク、劇物タンクがあります。これ火災が発生したら、大惨事になります。また、東京湾には12カ所の火力発電所がありますから、火災が発生して燃料が運ばれなければ、東京、首都圏に電気が送電されません。
したがって、東京湾の安全対策のためにはお隣の神奈川県、それから千葉県とも話し合って、協議しながら耐震化工事、安全化をすすめていく必要がある。で、これに対しては国も巻き込んでいく必要があると思っています。ご承知のとおり、気仙沼、仙台、千葉で火災が発生しておりますので、こういう対策も、同時に重要な対策だと思っております。
角谷:はい、ありがとうございます。では、田母神さん、お願いします。
田母神俊雄氏(以下、田母神):私はやっぱり東京の耐震化を強化しなきゃいけないということで、公共事業をどんどんやっていかなければならないというふうに思います。また、木造住宅が大変多い環状7号線は、防火対策も施していかねばいけないと思います。
そのためにわたしは、私はこの耐震化工事をやる個人とか企業に対して減税をする、ということを考えています。4月に消費税が上がりますので、1兆円規模の減税を実施していきたいというふうに考えております。あわせて1兆円規模の公共事業をやって、約2兆円の景気刺激策をやる、ということを実施していきたいと思っています。これによって景気が維持されると同時に、公共事業だけでなく、耐震化が強化されるというふうに思います
そして一方でですね、もうひとつは、万が一、災害が起きたときの災害救助の体制が、諸外国に比べて遅れているんです。何が遅れているかというと、即時に動ける体制ができていないんです。今、大臣室とか政府で言えば、集まってくると、各大臣が、「さて今回はどんな組織で救助しようか」という相談から始まるわけです。これではもう遅れているわけですね。
だから、「緊急事態、災害です」という発令があったと同時にですね、警察、消防、国の機関である自衛隊とか、あるいは建設会社、土木会社、運送会社とかが即時に動けるという、この「即応」の体制を作っておく必要があると思います。そういう体制を作る上でも、私は私の自衛隊における経験が相当、役立つんじゃないかと思うんですけれども。電線の地中化なんかも進めてですね、災害に強い街を作ると同時に、いざ災害が起きたときにはすぐに救助できるという体制を作っておくことが大事だというふうに思います。
角谷:はい。では舛添さん。
舛添要一氏(以下、舛添):あの関東大震災のときもそうですが、火災が非常に怖いですね。木造密集地域、そういう地域で火が出たら、ほとんどもうアウト。先般、有楽町駅の近くで火災が起こりまして、5時間も新幹線止まった。東京のど真ん中で。あれ本当に道が狭くてですね、消防車何十台も来たんですけれども、消火活動できないと。
だから今の状況では、消防車は入れないし、来る前に火が広がる。だから、町内会で本当にその防火のためのバケツリレーやる訓練とか、そういう「自助」もやらないといけないけど、やはり木造密集地域、しっかりやる。
それから、たとえば江東区なんて本当に水面下になりますから、そうするとこれは水門とか堤防の耐震化もやっていかないといけない。今、一生懸命、学校含めて耐震化を進めていますから、こういうこともやっていかないといけない。
それから、できればですね、防災マニュアルのようなものを、簡潔のものを各家庭に常備薬のように置いておく。これは私が長いこと生活したスイスにそういうものを置いてあるんですけれども。最低5人家族ならばミネラルウォーター何本、お米何キロ、これだけ置いておいてくださいよと。そしてこれを、定期的に更新していく。
災害は忘れたころにやってくるという。みなさん、3.11……、9.11、失礼しました、9.11、失礼、3.11ですね。3.11をお忘れじゃないですかっていうこと。もう忘れてきている。ですからそういう意味で、過去の災害の経験を活かして、もちろん学校で防災教育、一定程度やっているんですけれども、もっと防災教育を強化する必要があるというふうに思っています。
いずれにしても、自助、共助、控除っていう仕組みのなかで、危機管理体制をしっかりやる。それはやっぱり東京都が中心になって都民の生活を守る。これが必要だと思っています。
角谷:はい。細川さん。
細川:不燃化とか耐震化、これはもちろんやっていかなきゃならないんですけれども、割にコストかけないですぐ取り組めるのは、拠点的なビルとか、あるいは大型のモールとかでもいいんですが、そういうところに帰宅困難者のために、いろいろ発電機を備えたり、あるいは水とか食料を備えておく。そういうことは、こないだの事故のときでも、たとえば六本木の大きなビルなんかは、そういうものを備えていたために、随分、帰宅困難者の拠り所になりました。
ですから、そういうものをあちこちに作るようにすると。発電機でもなんでも置いてもらうようにするということが、さしあたり、手近な方法として私は非常に効果的なんじゃないかと思っています。
角谷:はい。じゃあ舛添さん。
舛添:今、帰宅困難者の問題でましたけれども、本当に3.11のときは、車で埋まって全然動かなくなかった。私は先ほどオリンピック、パラリンピックの問題に関連して「自転車の活用」っていうことを申し上げました。これ、自転車専用道路がさーっと通っていれば、自転車っていうのは小さな道でもいけますから、そういう意味でも、これはしっかりやりたい。
それで確かに、高層ビルとかしっかりした建物に、帰宅困難者がそこに寝泊まりできるように、それは企業含めてみんなでやりますけど、やっぱりね、「自分の家族がどうなんだろう?」ってみんな気になりますよ。「できれば自宅に帰りたい」っていう、その気持ちもある。もちろん、携帯電話のシステムで、これちゃんとやれるように今どんどんどんどん、IT発展していますけれども。だけど、やっぱり自転車の活用は、帰宅困難者対策としても十分ありうるというように思っていますから。
1つの政策っていうのは、それだけに役立つんじゃなくて、様々な面で役立つということも申し上げておきたいと思います。
角谷:はい。じゃあ宇都宮さん。
宇都宮:帰宅困難者対策については、やっぱり民間の高層ビルなんかと連携を取りながら、避難所としていつも使えるような体制を作ることは必要じゃないかと思います。
それから、火災が発生する原因というのを調べると、ほとんど電気関係のトラブルから発生しているらしいんですね。そうすると、地震が起こったときに、すぐ電気を遮断する耐震ブレーカーを設置すると、火災の発生率を大幅に削減することができる、ということなんで。各家庭に耐震ブレーカーを各家庭に設置させる。それを都が助成する、ということも必要かなと思っております。
それから、中学校や高校等が避難所になることが多いので、そういう都立の小学校中学校高校大学等には、ソーラーシステムで、屋根でですね、磁力で発電できるようなシステムを作っておくと、地震のときに電気が停電しても、そこだけは助かるということができるんじゃないかと思います。
角谷:田母神さんいきますか?
田母神:今、東京では、緊急時の水とか食料とか220万人分だったかと思いますが、備蓄されているかと思うんですが、実際に帰宅困難者がどれだけ起こるかというと、700万人くらいは起こるんじゃないかということですので。これをそれぞれの地域に配備して、確保しておくということが必要であるかな、というふうに思います。
先ほど言いました、緊急時どういう組織で救助にあたるかということが決まっているとですね、これ各町内会みたいなところでも訓練が行われますし、大規模な場合は東京都が全体になってやると思いますけれども。そういったシステムができることによってですね、昔の青年団、消防団みたいなものも立ち上がることになって、地域共同体が強化されて、「ふるさと東京」みたいな街ができ上がることも、この災害救助体制を作ることによって、できるんではないかと思います。
角谷:ありがとうございます。防災の問題は、それぞれのみなさんのほうから、アイデアも、それから家庭でできること、都でできること、それからもっと広域で考えるべきこと。さまざまなアイデアが出てきたと思います。これも、それぞれのアプローチのしかたが、今後、都政を担う方がさまざまなアイデアを全部吸収してもらう、ということも期待したいと思います。
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