荒木飛呂彦のイラストがCell誌の表紙を飾る
数年前の話ですが、『Cell』誌の表紙を日本のマンガが飾っていたとは知りませんでした。これはなんだかとてもうれしい。今回はChem-Stationの化学者さんたちのブログ『化学者のつぶやき』からご寄稿いただきました。
荒木飛呂彦のイラストがCell誌の表紙を飾る
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生物学の米専門誌『Cell』の表紙を『ジョジョの奇妙な冒険』などで知られる漫画家、荒木飛呂彦さんが描いた。7日付同誌に論文を出した瀬藤光利・自然科学研究機構生理学研究所准教授らの成果をイメージしたもので、日本の漫画が著名な学術誌の表紙を飾った。
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『asahi.com』 2007/09/07 「人気漫画「ジョジョ」の荒木さん 米生物学誌の表紙描く」より引用
http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY200709070042.html
化学とはやや分野が離れますが、話題性抜群なニュースが飛び込んできました。何を隠そう、筆者は大のジョジョファンなのです。 これは……取り上げなければならないッッ!!
『Cell』(セル)誌は、科学系最高峰といわれる『Nature』(ネイチャー)『Science』(サイエンス)に匹敵するほどの超一流生物学専門誌です。バイオテクノロジーの世界では、それぞれの頭文字をとって「CNSに何報出しているか?」が簡単な研究者の評価基準にされるほどです。表紙を飾る研究は、編集者が「今号最も注目に価する研究はコレだ!」と選ぶわけですから、権威ある雑誌の表紙に選ばれることは、まさに研究者冥利(みょうり)に尽きることといえるでしょう。
学術誌の表紙には、実験データとして撮られた写真のうちキレイなものや、研究内容に関連したCGが採用されることが一般的です。CGに関しては科学グラフィック作成のプロ(化学領域では例えばサイエンスグラフィック社など)に依頼して描いてもらうこともありますが、多くの研究者はツテもお金も乏しいため、ヘタなりに自分で表紙を描いたり……(涙)。
さて、そこにきて荒木飛呂彦の表紙です!! 学術誌に漫画家の描いた表紙が採用されるのは異例中の異例。インパクト抜群です。
瀬藤准教授の研究が素晴らしいからこそこのような表紙が採用された、というのは勿論(もちろん)でしょう。とはいえ学術誌は全世界の研究者が読むものですし、編集サイドもその辺りはちゃんと配慮して表紙を選んでいるはずです。つまりは、日本産の漫画が世界中の人を惹(ひ)きつけるパワーを持っている、ということの証ともいえるのではないでしょうか。事実、ひとたび外国に足を伸ばせば、日本産の漫画・アニメは異常なまでの人気を誇っていることが分かるはずです(日本で過ごしていると実感がわきませんが)。
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子供たちの理科離れが問題になる昨今ですが、この”Japan Cool!”のArtとScienceのコラボレーションが、科学に興味を持つ子供たちが増えてくれるきっかけにもなってもらえれば幸いです。
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『JSTプレスリリース』 2009/09/07 「脳内の壊し屋タンパク質を発見(脳梗塞(こうそく)や精神神経疾患の治療に期待)」より引用
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20070907/
エキセントリック過ぎるとも捉(とら)えられかねないやり方ですが、こういう風に「閉鎖的になりがちな学術世界から外へアピールすること」も積極的に行っていかねばならない時代になりつつあるのでしょう。筆者などは、
「こ、こういうアピールの仕方もあったのかッ!!俺(おれ)達に出来ないことを平然とやってのける!そこにシビれるッ!あこがれるゥ!!」
と感嘆した後、このようなやり方を考えもしなかった自分の頭の固さ・発想力の乏しさにむしろヘコみました。ツテを頼ったという話ですが、これを可能とするのは果たしてどんな途方もないツテなんだ?というのがとりあえず一番知りたいトコですかね個人的には。
執筆: この記事はChem-Stationの化学者さんたちのブログ『化学者のつぶやき』より寄稿いただきました。
文責: ガジェット通信
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