地デジ放送の新たな視聴形態を提案するデジタルライフ推進協会が設立

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アイ・オー・データ機器とデジオン、メルコホールディングスの3社は、地上デジタル放送や音楽といったデジタルコンテンツの新たな視聴形態を“デジタルライフ”と位置づけ、その普及促進と啓発を行うデジタルライフ推進協会を2月1日付けで設立。社団法人の事業目的や設立趣旨などについて説明する記者発表会を開催しました。

アイ・オー・データ機器と、『バッファロー』ブランドを展開するメルコホールディングスは、いずれも地デジ対応のテレビキャプチャーやチューナーなどでテレビ関連製品に参入したパソコン周辺機器メーカー。デジオンは、ホームネットワークやDRM(デジタル著作権管理)ソフトなどを自社ブランドで開発・販売するソフトウェアメーカーです。今後3社は、ホームネットワークとパソコン(PC)を中心としたデジタルコンテンツ視聴を推進していくと見られますが、具体的な活動内容については触れずじまい。背景には、既存の家電メーカーや業界団体が進めるデジタルコンテンツ利用に不満を持ちつつも、それらと連携して動かざるを得ないPC周辺機器メーカーの事情が見え隠れします。

記者発表では、“デジタルライフ”のイメージとして「ネットワーク対応ハードディスクに地デジ番組などのデジタルコンテンツを保存して、様々な機器で視聴する」「アナログテレビを地デジチューナーで地デジ対応にする」などのコンテンツ視聴を例示。こうした新しい視聴形態の提案と意見表明、機器や使い方に関する啓発活動、コンテンツ利用に伴う基準や規格、ガイドラインの提案などが事業内容という説明がありました。既存の家電メーカーや業界団体とは敵対するのではなく、連携していくとのこと。

その一方、質疑応答では現状に対する辛らつな発言も見られました。

「現在の規定は根本として、デジタルコンテンツはDVDやブルーレイに焼いて機器へ持っていくことになっている。ネットワークの利用を重視していない」(代表理事のメルコホールディングス代表取締役社長・牧誠氏)

「デジタル用キャプチャーボードが売れない。アナログ時代に(ユーザーが)できたことができなくなっていることが原因」(牧氏)

「エコポイントの効果でテレビは売れているが、ネットにつながっているテレビは10台に1台との調査結果もある。ユーザーから見た(ネット利用に関する)情報提供がおろそかになっているのではないか」(理事のアイ・オー・データ機器代表取締役社長・細野昭雄氏)

「B-CASカードの普及に関する各施策は成功していないと思っている。進める側もうまくいっていると思っていないのでは」(細野氏)

同協会はこうした現状の課題に、ユーザーの利便性を考慮してデジタルコンテンツの新しい利用を提案していくとのこと。ホームサーバーに地デジ番組を保存する以前に、ユーザーは「今使っているPCでどうやって地デジを見られるのか」から調べなければならないのが現状。家電メーカー製の機器だけでなく、PCからの視聴やネットワーク経由での視聴など、ユーザーが様々な手段でデジタルコンテンツを利用できる環境の実現に向けて、今後の同協会がどんなアクションを起こせるのか、注目していきたいと思います。

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宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます

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