「オリンピック」は商標登録できる?

「オリンピック」や「五輪マーク」の商標登録について

「オリンピック」は商標登録できる?

2020年の夏季オリンピック開催地に東京が決まりました。知的財産権の視点で気になるのが、「オリンピック」や五輪関係の商標出願です。商標法全体を読んでも「オリンピック」や「五輪マーク」への言及はありません。ちなみに、国旗、菊花紋章、国際連合のマークや赤十字のマーク・名称については明文規定で商標登録ができないことになっています。

「オリンピック」や「五輪マーク」については商標法4条1項6号が適用になります。

<<次に掲げる商標については・・・商標登録を受けることができない。・・・・

六  国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であつて営利を目的としないもの又は公益に関する事業であつて営利を目的としないものを表示する標章であつて著名なものと同一又は類似の商標 >>

この「国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であつて営利を目的としないもの又は公益に関する事業であつて営利を目的としないものを表示する標章」に、オリンピック、IOC、JOCなどが含まれると「商標審査基準」に規定されています。商標の審査は、文字通り「商標審査基準」に従って行われます。「オリンピック」という文字や「五輪マーク」は「オリンピック、IOC、JOCを表示する標章であつて著名なもの」に該当するため登録されません(※)。

「○○オリンピック」や「五輪××」は登録できる可能性

ただ、あくまでも、そうしたものと「同一又は類似の商標」が登録されないのであって、「オリンピック」という文字を含む全てが登録できないわけではありません。

実際、「日本数学オリンピック」や「Talent Olympic」(ロゴ)という登録例もあります。今後、「○○オリンピック」や「五輪××」といった商標出願が増えるかもしれません。もちろん、こういうものは早い者勝ちです。もし、興味があれば早めに出願することをオススメします。

(※)この規定は昭和34年改正の商標法において導入されたものであり、旧法(大正10年法)下では4条1項6号に対応する規定はありませんでした。このため、古い時代に登録された「オリンピック」という文字の登録商標は存在します。たとえば、美津濃株式会社が大正7年に商標登録を受けた「OLYMPIC」という登録商標はまだ生きています。また、IOC等が商標権者である五輪マークの登録や「オリンピック」関連の商標登録も存在します。

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