ロンギヌスの槍をマジメに再現!現代刀匠たちが本気出している『ヱヴァンゲリヲンと日本刀展』
言わずと知れた『ヱヴァンゲリヲン』に登場する武器や、世界観からインスピレーションを受けた刀剣類を一挙に観ることができる『ヱヴァンゲリヲンと日本刀展』。2012年7月に備前長船刀剣博物館で披露されて好評だったこともあり、日本各地を巡回することが決定。2013年7月3日から9月16日までは、大阪歴史博物館で開催されています。
展示では、18点もの刀・鉾・槍や兜といった新作をはじめ、平安時代から幕末までの刀姿の変遷や刀装具も観ることができるので、歴史とSFアニメの世界がミックスされた不思議な空間となっています。
まず目を引くのは、プラグスーツを模した脇指・短刀。綾波レイ、式波・アスカ・ラングレー、真希波・マリ・イラストリアスはポスターなどで艶やかな着物姿を見せていますが、そこで描かれている得物をほんとうに作っちゃています。どれも号や銘もある本格派。特に弐号機仕様の短刀『式波・プラグスーツ』は、鮮やかな赤の鞘と鈍い光を放つ刃のコントラストに惹きつけられます。
今回の目玉の一つであるロンギヌスの槍は全長332センチ、重さ22200グラムというスケールの大きさ! 刀匠・三上貞直氏と金属造形作家・橋本庄市氏の手による作品で、複数種の金属を重ねたダマスカス鋼を鋳造しているとのこと。
並べて展示してある平面図も迫力があります。まずは1/3のスケールで製作し、その後試行錯誤を経て展示されているサイズでの鋳造になりました。
複数の紋様が出るのが特徴のダマスカス鋼は、螺旋になっている箇所がよく見れます。刀匠によれば、それが「日本刀の生命力の現われ」だとか。
これが月から高速で飛来してくるところを想像すると…。『ヱヴァ』好きならずとも、じっくりと観るに堪えるだけの槍といえそうです。
原作ファンにとっては、プログレッシブナイフも見逃せません。初号機用のものは柄と刃を固定する部分など鋭角なデザインで再現度が高い一刀。
弐号機用のナイフは、現代的な柄の質感とステンレス製のナイフにはない刃紋の美しさを堪能することができます。
『ヱヴァ』のストーリーで重要な役割を果たすセカンドインパクトと原因となった隕石をモチーフにした刀も二本出品されています。このうち、隕鉄から作られたという脇指は黒光りをして一際異彩を放っていました。
弐号機用に開発された両手持ちの大太刀を再現した『ビゼンオサフネ』は、研ぎの準備だけで一日を要し、白黒をくっきりとさせたという入魂の一刀です。柄の部分も、本来日本刀ではないひし形を巻くのに苦心したとのこと。ミニチュアサイズの豆太刀も合わせて鑑賞できます。
物販コーナーでは、『ヱヴァ』アイテムが約500点揃っているだけでなくTシャツなど全日本刀匠会のグッズも販売。木刀もあるのがらしいところでしょうか。もちろん展示の図録もあるので、記念にゲットしたいところ。
葛城ミサト役でおなじみの三石琴乃が担当した音声ガイドの貸し出しや、オリジナルプレートの銘切りなどもあり、『ヱヴァ』と日本刀の美の両方を楽しめる『ヱヴァンゲリヲンと日本刀展』。
大阪の後は岐阜・関鍛治伝承館を経て東京 ・上野の森美術館への開催も予定されているので、遠方で足を運べないという人は巡回を首を長くして待ってみて下さい。
大阪歴史博物館 エヴァンゲリヲンと日本刀展
http://www.mus-his.city.osaka.jp/news/2013/evangelion.html
乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。
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