賃貸契約者の家賃は2005年度以降の最高額、居住中に家賃の値上げを要請された割合は2割弱
リクルートが賃貸住宅にかかわる2つの調査結果を公表した。それぞれの調査対象は、賃貸住宅契約者と賃貸居住者とで異なるのだが、どちらにも最近の家賃高騰の影響がうかがえる結果が出た。賃貸住宅の市場はいまどうなっているのか? 詳しく見ていこう。
【今週の住活トピック】
「首都圏賃貸契約者動向調査(2025年度)」および「賃貸住宅の居住実態・ニーズ調査(2026年)」を公表/リクルート
2025年度契約者の家賃は2005年度以降で最高額の約9万7000円
まず、首都圏で賃貸住宅を契約した人を調査対象とした結果を見ていこう。リクルートの「首都圏賃貸契約者動向調査(2025年度)」は、2025年度(2025年4月1日~2026年3月31日入居)に賃貸物件を契約した人の実態を全国で調査し、そのなかから首都圏を集計して公表したもの。
その調査結果を見ると、首都圏での家賃は平均9万6908円で、前年度から834円増とわずかに上昇した。世帯別に平均家賃を見ると、ひとり世帯では7万7954円、2人世帯では11万1849円、ファミリー世帯では12万1129円だった。
※集計方法の変更により、本報告書に掲載する2019年度~2024年度の数値は、各年度の調査報告書の公表値と異なる。
※集計方法の変更により、本報告書に掲載する2019年度~2024年度の数値は、各年度の調査報告書の公表値と異なる(出典:リクルート「首都圏賃貸契約者動向調査(2025年度)」)
家賃上昇の要因として指摘されているのは、購入する場合に住宅価格の高騰が続いていることだ。一般世帯には手が届きにくくなっており、購入を断念して賃貸を探す人が増えている。賃貸住宅の需要が拡大したことが、家賃の上昇につながっているわけだ。
実際に、この調査で「賃貸住宅を契約する前に購入や建築を検討したか」と聞いた結果では、「購入や建築を検討した」割合は21.3%となり、5人に1人はマイホームの取得も考えていたことがうかがえる。
世帯別に見ると、ファミリー世帯で「購入や建築を検討した」割合が32.7%で、ひとり世帯の18.9%や2人世帯の18.2%よりもかなり高くなっている。また、「世帯年収が600万円以上で購入や建築を検討した割合が高くなる傾向にある」という。マイホーム適齢期に当たるファミリー層などの一部で、取得をあきらめて賃貸に切り替える動きがあったと考えられるだろう。
出典:リクルート「首都圏賃貸契約者動向調査(2025年度)」
17.2%が「家賃の値上げに関するお知らせが届いた」と回答
次に、すでに賃貸住宅に居住している人を対象とした、リクルートの調査結果を見ていこう。直近半年~5年以内に現在の賃貸住宅に住み始めた人(2026年4月末まで退去予定がない)の実態を全国で調査した「賃貸住宅の居住実態・ニーズ調査(2026年)」だ。
賃貸契約者の調査で募集時の家賃が上昇しているという結果があったが、居住者に対しても同様に家賃の値上げがあったのではないだろうか? 「現在お住まいの賃貸住宅について、大家さんや管理会社から家賃の値上げに関するお知らせが届いたことはありますか。届いたことがある方は、交渉したかどうか、受け入れたかどうかを合わせてお答えください」と聞いた結果を見ていこう。
「家賃の値上げに関するお知らせが届いた」割合は17.2%。前年の12.6%と比べると4.6ポイント増加した。エリア別に見ても、全エリアで前年より増加しており、「家賃の値上げは全国的な動きとなっている」という。
さらに、半年や1年以内に更新をした人のほうが値上げ要請の割合が高い傾向も見て取れる。家賃の値上げ要請は直近のほうが多いようだ。またリクルートでは、「築年数が浅い物件や、犬/猫飼育者での割合は全体よりも高い傾向にある」という結果も報告している。築浅やペット可などは賃貸を探す際にニーズの高い条件なので、大家側が強気になっていると考えられるだろう。
また、「交渉せず受け入れ」「交渉したが提示額で受け入れ」の割合が高いことから、値上げ要請のお知らせが届いた結果、おおむねの人は値上げされた額を受け入れている様子も見て取れる。
出典:リクルート「賃貸住宅の居住実態・ニーズ調査(2026年)」
では、値上げはどの程度の金額だったのだろう? 「最終的に合意した値上げ額、あるいは断った値上げ要請額はいくらくらいでしたか」と聞いた結果を見よう。
平均値上げ額は、家賃帯によっても差があり、家賃10万円未満では3000円台、10~20万円未満では5000円台といったところだ。
出典:リクルート「賃貸住宅の居住実態・ニーズ調査(2026年)」
一方、値上げをきっかけに退去を決めたという人もいる。前に居住していた賃貸で家賃値上げの連絡があった人のうち、7.6%が「値上げには納得できず、それをきっかけに引越し(退去)をした」と回答している。
10人に1人は賃貸物件を見学せずに契約!?
では、再び「首都圏賃貸契約者動向調査(2025年度)」の結果に戻ろう。
「現在の住まいを決めるまでに見学した物件数」について質問したところ、「0件(見学していない)」と回答した人の割合は9.9%。設問の見学には、現地での見学だけでなく、オンラインでの見学も含んでいるので、10人に1人は全く見学せずに賃貸物件を決めたということになる。
出典:リクルート「首都圏賃貸契約者動向調査(2025年度)」
なかでも「ひとり暮らし」(14.1%)で見学せずに決めている人が多い。遠方から進学や就職で引越す場合、住まいを探す期間が限られ、早く決めなければならない状況に追い込まれることもあるだろう。それでも、日々生活する住まいであるからには、現地に行って駅からの道のりや周辺環境、住まいの空間や設備機器の状態など、手や足、目や耳を使って確認することが大切だ。
なお、「住まい探しの際に見学した物件数」は、見学しなかった人を除くと、平均で2.7件。世帯タイプ別ではあまり差がなかった。少なくとも2~3件は見学したいところだ。
さて、賃貸住宅の家賃が上昇しているいま、より慎重に住まい選びをしたいものだ。賃貸なら持ち家に比べ気軽に引越しをすることもできるが、初期費用もかなりかかるので、納得できる住まいを選びたい。そのためには、そこでの暮らしをイメージしてしっかりと確認してほしい。
●関連リンク
リクルート「首都圏賃貸契約者動向調査(2025年度)」
リクルート「賃貸住宅の居住実態・ニーズ調査(2026年)」
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