伊勢志摩高付加価値プロジェクト、令和8年度の取組開始。海女や漁師の営みを未来へ

伊勢志摩観光コンベンション機構は、伊勢志摩及び周辺地域における高付加価値なインバウンド誘客と持続的な観光地づくりを目指す「iseshima connect プロジェクト」について、令和8年度の取組を開始した。
同プロジェクトは観光庁の「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり事業」のモデル観光地として、一次産業と連携した先進的な観光地づくりを推進するものである。
体験深める仕組みづくりへ!実証フェーズが始動
「iseshima connect プロジェクト」は、伊勢志摩の歴史、自然、文化、そして人々の営みを一つのストーリーとして再編集し、インバウンド観光客が地域の価値をより深く体験できる仕組みを構築することで、持続可能な観光地づくりを目指すプロジェクトである。令和7年度に発足し、今年度で2年目を迎える。
観光庁のモデル観光地として選定されてから4年目となる令和8年度は、これまでの調査・仕組みづくりから、地域を巻き込んだ実証・自走化のフェーズへと移行する。実証フェーズの初年度として、「インバウンド誘致の加速化」と「自走化に向けた地域経営主体の設計」を推進していく。
地域課題への挑戦とこれまでの歩み
現在の伊勢志摩では、海女や漁師といった一次産業の担い手の高齢化や自然環境の変化が深刻な課題となっている。地域の観光資源を支えてきた生業や文化の継承が危ぶまれているのだ。
象徴的な存在である海女の数は、2022年には514人と、50年間で約6分の1まで減少。漁獲量も、2024年時点の調査で2019年と比較して伊勢えびが半減、あわびやさざえは約4分の1まで落ち込んでいる。このような状況を受け、同プロジェクトでは、単なる観光客誘致や観光消費の拡大にとどまらず、地域住民や自治体、地元企業、異種業の事業者と連携。観光を起点とした地域経済の活性化や新たな雇用の創出、事業者間の新たな連携し、地域経済の活性に寄与する持続可能な観光地づくりを推進している。
特に、海女や漁師といった一次産業の担い手が自然や文化、生業の価値を伝える機会を創出。令和7年度には、アメリカでのプロモーションで海女が、シンガポールでは漁師がプレゼンテーションを行った。また、未利用魚・低利用魚を活用して地域経済の好循環を生み出す実証など、全国的にも例の少ない先進的な取組も実施している。
令和8年度の推進事業について
今年度は、データに基づく仮説検証と、地域事業者との継続的な関係構築を両輪で進め、持続可能な観光地づくりのモデル構築を目指す。
推進事業のポイントは、ブランド設計(ブランディング映像・ウェブ改修)、コンテンツのさらなる磨き上げ(漁業者連携の体験コンテンツ造成等)、観光地づくり機運の創出(観光地づくり研究会の立ち上げ等)、タクシー事業者高度化支援・プロフェッショナルガイド育成事業の推進、アメリカ・シンガポール等での海外プロモーション、地域経営主体の立ち上げに向けた具体的な調整・交渉。これらの取り組みの詳細は、今後順次リリースを通じて紹介される。
伊勢志摩観光コンベンション機構からのメッセージ
選定から4年目となる令和8年度の取り組みは、これまでの3年間で調べ、描き、設計してきたことを現場で実際に動かし、確かめる「実証フェーズの初年度」と位置づけている。プロジェクトでは一貫して「数」だけでなく「質」を大切にしているという。何人が訪れたかだけでなく、どれだけ深く伊勢志摩を知って帰ってもらえたか。今年度の施策は、いずれもその問いに答えるためのものである。
その一つが、伊勢志摩の滞在価値を言葉と映像で表現するブランディング。また、地域の経営者が集う研究会やゼミナールは、この地の文脈を自らの言葉で語れる人を地域の中に増やすための場となる。
伊勢志摩観光コンベンション機構 専務理事・須崎充博氏は「私たちが守りたいのは風景だけではなく、その営みも含まれます。伊勢志摩が世界中の方々の憧れの地となり、世界に誇れる観光地としての地位を確立すること。そしてそれが地域経済の好循環と持続可能な発展につながることが、私たち機構の使命であると考えております。関係各位のご理解とご協力を賜りながら、実現に向けて邁進してまいります。(一部抜粋)」と、今後の展望を述べた。
地域の象徴である海女や漁師の営みを守りながら、世界へその価値を届ける試み。実証フェーズへと踏み出した「iseshima connect プロジェクト」が、持続可能な地方観光の新たなモデルを築くのか、今後の動向に注目したい。
iseshima connect プロジェクト公式HP:https://traveliseshima.com
(Kanako Aida)
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