【ライブレポ】Chevon、『三者山羊』でたどり着いた夢のステージ──Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊』

【ライブレポ】Chevon、『三者山羊』でたどり着いた夢のステージ──Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊』

『三者山羊』。人が3人いれば、3つの個性がある。それぞれ違うからこそおもしろく、違うからこそひとつになったときに、ひとりでは生み出せないものが生まれる。Chevonのライブを見ていると、そんな当たり前のことを、これほど強烈なかたちで証明するバンドもなかなかいないと思った。

2026年9月13日、横浜アリーナ。Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊』のファイナル公演が開催された。今年2026年4月に、メジャー1stフルアルバム『三者山羊』をリリースし、メジャーデビューを果たしたChevon。今回はその作品を携えた初の全国ワンマンツアー。5〜6月にかけて名古屋、札幌、福岡、大阪の各Zeppを2daysで巡り、そしてツアーの最終地点として用意されたのが、バンド史上初となるアリーナ単独公演、横浜アリーナだった。

チケットはすべてがソールドアウト。この日のライブは、公演直前には機材席の一部が追加販売されるほどの盛況ぶり。つまり、横浜アリーナという大きな舞台であっても、Chevonにはすでに小さすぎるのだ。それほど勢いがあるのだと開始前から感じた。

【ライブレポ】Chevon、『三者山羊』でたどり着いた夢のステージ──Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊』

【ライブレポ】Chevon、『三者山羊』でたどり着いた夢のステージ──Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊』

定刻を迎えると、場内にSEが響き渡り、谷絹 茉優(Vo)、Ktjm(Gt)、オオノタツヤ(Ba)の3人がステージへ。1曲目は、アルバム『三者山羊』のリード曲「B.O.A.T.」。この楽曲は、アリーナやスタジアム規模で鳴らすことを意識して制作された楽曲でもあるという。

その音が、いままさに横浜アリーナという巨大な空間に放たれる。Ktjmのギターが空間を切り裂き、オオノタツヤのベースがそれを強烈に支え、谷絹のヴォーカルが遥か彼方まで突き抜けていく。その姿はまさにChevonが、アリーナやスタジアムでも十分に戦えるバンドであることを証明していた。

続けざまに「DUA•RHYTHM」、「Lamipus」、「銃電中」と畳み掛け、バンドの要である谷絹の強烈な歌声が会場を貫いていく。ハイトーンから低音、シャウト、そして繊細なクリーンまで自在に行き来するその声は、広い会場になればなるほど、その異形なまでの表現力を際立たせていた。

「日々のしんどいこととか、異常な倍率の中、よく乗り越えてこのファイナルステージまでたどり着きました、お相手いたしますは、三者山羊でございます。どうぞよしなに!」という挨拶を終え、次のブロックでは、「ノックブーツ」「菫」「サクラループ」「大行侵」「Banquet」「光ってろ正義」とジャンルを横断しつつ、ライブを展開。楽曲それぞれに異なる表情があり、その一曲一曲を、3人が全身を使って叩きつけていく。

【ライブレポ】Chevon、『三者山羊』でたどり着いた夢のステージ──Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊』

Ktjmが鳴らす、一度聴いたら耳から離れないギター・リフ。オオノタツヤが叩き出す、身体の奥まで響いてくるベース・ライン。そして、その2人の音を乗りこなしながら、楽曲ごとに表情を変えていく谷絹のヴォーカル。3人の個性がぶつかり合い、絡み合い、ひとつの巨大な音楽へと変わっていく。それこそがChevonの最大の強さなのだと、改めて感じた。

中盤ブロックで、「るてん」「さよならになりました」「デイジー」「薄明光線」へと進むと、会場の空気は少しずつ変化していく。ここまで激しくフロアを揺らしていたChevonが、今度はまっすぐに言葉を届ける。

激しいダンス・チューンだけではなく、言葉のひとつひとつを大切に紡ぐことができる。それもまた、Chevonというバンドの大きな魅力だ。そして、この空気感があるからこそ、その後に訪れる爆発がさらに大きく感じられる。短い映像を挟み、「さよなら、アイリーン」へ。続いて披露されたのは、新曲「クライネ」。そして「春の亡霊」。これまで積み重ねてきた楽曲と、新しく生まれた楽曲。その両方が、この日の横浜アリーナという場所で、バンドの「イマ」を形作っていた。

【ライブレポ】Chevon、『三者山羊』でたどり着いた夢のステージ──Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊』

【ライブレポ】Chevon、『三者山羊』でたどり着いた夢のステージ──Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊』

【ライブレポ】Chevon、『三者山羊』でたどり着いた夢のステージ──Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊』

ライブ中盤、谷絹 茉優が突然、「すごい急に思い出したことがある」と切り出し、自身の過去について語り始めた。高校生、あるいは専門学生の頃、一人で歌っていたという谷絹。当時は思うように活動がうまくいかず、高校を辞め、専門学校にも通えなくなっていた時期があったという。谷絹は当時、「もう本当にダメかもしれない」と思うほど追い詰められていた。

そんな時期に、谷絹はある夢を見た。

夢の中で谷絹は、大勢の観客を前に楽しそうに歌っていた。何の曲を歌っていたのかは分からない。それでも、それがカバーではなくオリジナル曲であり、観客が大きな盛り上がりを見せていることだけは、はっきりと分かった。

そして、この日の横浜アリーナで歌っている最中、その夢を突然思い出したという。

「それって今日を見てたんじゃないかなって思うの」

【ライブレポ】Chevon、『三者山羊』でたどり着いた夢のステージ──Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊』

夢の中で見た景色をいつか現実に見るために、もう少し頑張ろうと思えた。人生で最も苦しい時期に見たその夢があったからこそ、踏みとどまることができたという。

その後、谷絹は現在のメンバーであるKtjm、オオノタツヤと出会い、Chevonを結成した。

「あの夢がなかったら、こんな景色見れてないと思った」

そして谷絹は、夢の中で見た光景と、この日の横浜アリーナの景色を重ね合わせる。

「あの頃のどうしようもない私が、今、あの辺で見てるわけ。あの時、人生をやめないで踏ん張ったのは、今日ここにいる何万何千人かわからないけど、あんたらがこの後の曲で、うちらが作ったオリジナル曲で、死ぬほど盛り上がってくれてるからだと思うんだよね」

かつて夢の中で見た「大勢の人が自分のオリジナル曲で盛り上がっている景色」。それがいま、現実になっている。

谷絹は「あそこできっと今にも火が消えそうな私が、この光景を見てると思います」と語り、会場を見渡した。

そして、「だから、こっからのセトリ、容赦なくぶち上げにしましたんで」と宣言。

【ライブレポ】Chevon、『三者山羊』でたどり着いた夢のステージ──Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊』

観客から大きな歓声が上がると、「冥冥」「六ノ輪」「Capretto」と続き、「FLASH BACK!!!!!!!!」と怒涛のキラーチューンラッシュをフロアにぶつける。宣言通り、容赦のない、激しいサウンドがアリーナを揺らす。ステージ上の3人も、客席も、音楽に突き動かされるように熱量を上げていく。

客席からは大きな声が響き渡る。これまでライブハウスという空間を埋め尽くした熱狂が、今日は横浜アリーナへと広がっていく。Chevonの音楽を求める人が増えた。その事実が、この日の光景として目の前に広がっていたのだ。

Chevonの音楽には、聴く者のなかに溜まった感情を解放する力がある。そしてそれは「ポジティブな音楽」だから人を救う、という単純なものではない。怒りも、悲しみも、孤独も、どうしようもなさも。そういったものを無理に消そうとはせず、そのまま抱えたまま音楽へ変えてしまう。だからこそ、聴いている側も、自分のなかにあるものを解放することができるのだと思った。

【ライブレポ】Chevon、『三者山羊』でたどり着いた夢のステージ──Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊』

【ライブレポ】Chevon、『三者山羊』でたどり着いた夢のステージ──Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊』

【ライブレポ】Chevon、『三者山羊』でたどり着いた夢のステージ──Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊』

終盤のMCでは、Ktjmが自身の思いを語った。Ktjmにとっても、いま目の前に広がっている横浜アリーナの光景は、現実味のないものだったという(ちなみに、Ktjmはこっちの世界を夢って呼んでいる、とのこと)。

今年はフェスのメインステージに立つ機会も増えたChevon。しかし、広大なステージに立つたびに、その景色を「現実離れしている」と感じていたという。

特に印象に残っているのが、夏の野外フェスでの出来事だった。炎天下のステージで、まつげに驚くほど大量の汗が溜まり、視界がまるでブルーム加工された夢の中のようになったという。さらに汗がイヤーモニターにも入り、音がほとんど聞こえなくなった。

「やばい、夢から覚めちゃう。条件が揃いすぎて、夢だ、夢だって。『このままもう目が覚めたら、俺また大学生に戻ってバイト行かないといけないや』って、すげえ焦った。だからこんな夢みたいな景色、皆様には感謝しかない、終わらせたくないっていう」と語ると、会場からは温かな笑顔が生まれていた。

また、横浜アリーナに1万人を超える観客を集めている自分たちを「夢の住民」と表現しながら、会場を笑いに包んだ。そんなメンバー同士の軽妙なやり取りも、この大きな会場でのライブを終わらせたくないという気持ちの表れなのかもしれない。そうした3人の純粋さが見えるのも、Chevonの魅力だ。

【ライブレポ】Chevon、『三者山羊』でたどり着いた夢のステージ──Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊』

そんな和やかなやり取りのなかから、Chevonがここまで歩んできた5年間の話へと展開していく。谷絹は結成当初を、最初に制作した楽曲は完成まで半年以上かかったと振り返る。

毎週スタジオに入り、何時間も制作を続けても、3か月ほど何も変わらない時期もあった。活動の始まりは、北海道・札幌のスタジオ「シーラカンス」。最初のライブの観客は20人ほどだったという。それが5年後、横浜アリーナには1万人を超える観客が集まっている。

そして、この日披露された「No.4」は、Chevonが最初に制作した楽曲だった。「横浜アリーナに一番連れてきたかった曲かもしれないね」と谷絹。結成当初から5年の時間をともに歩んできた楽曲が、この日、1万人を超える観客の前で鳴り響いた。

ここからライブはクライマックスへ。「セメテモノダンス」「B612」「ダンス・デカダンス」。終盤になっても、3人はまったく手を緩めない。ラストチューンは、「ダンス・デカダンス」。巨大な横浜アリーナが、Chevonのためのライブハウスになった。横浜アリーナに響き渡る観客の声は、過去の谷絹が見た夢への答えでもあったのかもしれない。

【ライブレポ】Chevon、『三者山羊』でたどり着いた夢のステージ──Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊』

しかしChevonは、ここを終着点にはしない。

「ここで終わるはずがねえぜ」「もっとでっかいとこでやろうぜ」「ここキャパ足りねえからよ」

そう語る谷絹の言葉は、横浜アリーナという大きな舞台を経てもなお、Chevonが次の景色へ向かって走り続けることを告げるものだった。

2021年に札幌で結成された3人のバンドが、わずか数年で横浜アリーナに立った。それだけでも、とんでもないことである。この異例ともいえるスピードで進み続ける姿を見ていると、「成長」という言葉だけでは足りない。3人は、ただ大きな会場を目指しているのではない。自分たちの音楽を、もっと多くの人に届けるために、必要な場所へ進んでいるだけなのだ。

横浜アリーナという巨大な場所を埋め尽くしたこの日の光景は、Chevonがここまで歩んできた道のりの答えであると同時に、これから始まる物語の序章でもあった。

この日のライブは、これからのChevonの“大行侵”の、最初の一歩。日本武道館公演2DAYSや、来年にはKアリーナ横浜をツアーファイナルとした、ホール&アリーナツアーも控えている。

3人それぞれの個性を抱えたまま、3人だからこその音を鳴らしながら、次の大きなステージへ進んでいく。Chevonの3人が見る夢は、まだまだ終わらない。

【ライブレポ】Chevon、『三者山羊』でたどり着いた夢のステージ──Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊』

取材&文 : ニシダケン
Photo by タカギユウスケ

セットリスト

Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊』
2026年9月13日 横浜アリーナ
01 B.O.A.T.
02 DUA•RHYTHM
03 Lamipus
04 銃電中
05 ノックブーツ
06 菫
07 サクラループ
08 大行侵
09 Banquet
10 光ってろ正義
11 るてん
12 さよならになりました
13 デイジー
14 薄明光線
15 さよなら、アイリーン
16 クライネ ※新曲
17 春の亡霊
18 冥冥
19 六ノ輪
20 Capretto
21 FLASH BACK!!!!!!!!
22 No.4
23 セメテモノダンス
24 B612
25 ダンス・デカダンス

番組情報

【WOWOW・Lemino放送配信情報】
Chevon 5カ月連続特集
①2026年10月17日(土) 21:00
Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊』ショートディレイ版
WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信

②2026年11月放送・配信予定
Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊』完全版

③2026年12月放送・配信予定
Chevon 奉納 Special Live in 平安神宮 完全版

④2027年1月放送・配信予定
Chevon Music Video Selection

⑤2027年2月放送・配信予定
Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊 ―日本武道館―』完全版

詳細はこちら
WOWOW:https://www.wowow.co.jp/music/chevon/
Lemino:https://lemino.docomo.ne.jp/ft/0000195/
※放送・配信日時は決まり次第ご案内いたします。
※番組編成や内容は予告なく変更される場合がありますので、ご了承ください。

ライブ情報

◾️Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊 – 日本武道館-』
2026年12月20日(日) / 21日(月) 日本武道館 ※SOLD OUT
https://www.chevon.biz/live/2026/oneman2026.html

◾️Chevon pre.『よしなに〜遊牧編〜』
https://www.chevon.biz/live/2026/nomadism.html
2026年10月14日(水) KBSホール(京都)
2026年10月24日(土) 高松 festhalle(香川)
2026年11月14日(土) BLUE LIVE HIROSHIMA(広島)
2026年11月27日(金) 新潟LOTS(新潟)
2026年11月29日(日) Legacy Taipei(台北)
2026年12月5日(土) / 6日(日) SENDAI GIGS(宮城)

◾️Chevon ONE MAN TOUR 2027
2027年5月8日(土) 市川市文化会館(千葉)
2027年5月13日(木) Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール(愛知)
2027年5月15日(土) 本多の森 北電ホール(石川)
2027年5月20日(木) 広島文化学園HBGホール(広島)
2027年5月22日(土) 福岡サンパレス(福岡)
2027年6月3日(木) 札幌文化芸術劇場hitaru(北海道)
2027年6月6日(日) 仙台サンプラザホール(仙台)
2027年6月13日(日) フェスティバルホール(大阪)
2027年6月14日(月) フェスティバルホール(大阪)
2027年6月19日(土) 新潟県民会館(新潟)
2027年6月26日(土) レクザムホール (香川)
2027年9月23日(木) Kアリーナ横浜(神奈川)

インフォメーション

・公式サイト https://www.chevon.biz/
・公式X https://twitter.com/Chev0n
・公式Instagram https://www.instagram.com/chevon4472/
・公式TikTok https://www.tiktok.com/@chevon4472

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