我慢を美徳としない医療を。多忙な現代女性の不調に寄り添う多角的なアプローチ

夏季に多くの女性を悩ませるだるさや動悸といった体調不良。仕事や家庭を優先し、自身のケアを後回しにしがちな現代女性の健康課題に対し、多角的な視点からアプローチを試みるクリニックがある。循環器、総合内科、婦人科の専門性を融合させ、迅速な検査と全人的なサポートを実践する医師に、その熱き想いを伺った。
自身のケアを後回しにする現代女性の現実と「我慢」という社会的課題

夏季は気温や湿度の急激な変化により自律神経が乱れやすく、だるさや疲労感、動悸、めまいといった「なんとなくの不調」を訴える患者様が急増する。しかし現代女性は仕事や育児、介護などの多重な役割を担っており、自身の体調変化を自覚しながらも受診を後回しにする傾向が強い。
ある日、80代の母親の付き添いで来院された女性の事例が象徴的である。母親の通院を最優先にする一方で、自身の喘息治療薬が切れているにもかかわらず、自分のために病院へ行く時間が取れずに放置していた。医師がその場で異変に気づき、すぐに診察を行って薬を処方したが、このように「もう少し頑張れば何とかなる」と無理を重ねる患者様は少なくない。
女性の身体は生涯を通じてホルモン環境が大きく変動する。その繊細なバイオリズムに対し、社会的責任や家庭内の負担が重なることで、本人が気づかないうちに心身への負荷が深刻化する。健康を維持するためには、我慢を美徳とする従来の価値観を見直し、身体のサインに耳を傾ける姿勢が必要とされる。誰かを大切にするためにも、まずは自らの健康を守る意識の啓蒙が急務である。
単一の診療科にとどまらない多角的な視点による疾患リスクの早期見極め

更年期に伴う症状は多くの女性が経験する自然な変化であるが、それを単なる「年齢のせい」や「気のせい」と自己判断し、我慢を続けるのは医学的に適切ではない。動悸や倦怠感、息切れといった症状の背景には、女性ホルモンの減少だけでなく、貧血や甲状腺疾患、不整脈や心不全といった循環器疾患、生活習慣病が潜んでいる可能性があるからである。
インターネットの情報やサプリメントだけに頼り、受診のタイミングを逸することは疾患のリスクを高める結果につながる。同じ動悸であっても、その原因が更年期障害なのか心臓疾患なのかによって、選択すべき治療法は根本から異なる。
そこで重要となるのが、循環器専門医、総合内科専門医、あるいは婦人科診療という複数の視点を組み合わせた全身の評価である。「心臓に異常はないが更年期の影響が強い」あるいは「更年期と思われた症状が実は甲状腺の異常であった」というように、循環器・内科・婦人科を組み合わせた多角的なアプローチを行うことで、より確実な診断が可能となる。身体全体を包括的に診ることが、患者様の確かな安心を支える基盤となる。
迅速な検査体制とインナーケアの融合がもたらす安心感とかかりつけ医のビジョン
胸の違和感や動悸といった症状は、患者様にとって重大な心臓病ではないかという強い不安を伴う。医療が提供すべき価値は、病気の治療にとどまらず、こうした精神的負担を速やかに軽減することにある。
そのため、心電図や胸部レントゲン、心エコー検査、血管年齢検査(ABI)などを極力来院当日に実施し、その日のうちに結果を解析・説明できる迅速な検査体制の構築が不可欠である。原因究明を急ぐことは、異常の有無にかかわらず、次の適切な治療や生活改善へのステップを速やかに決定できるメリットを生む。
さらに、これからの地域医療に求められるのは、急性期の疾患対応だけでなく、栄養、運動、睡眠、インナーケアといった予防医学の視点を取り入れた全人的なサポートである。多忙な女性が無理なく通院を継続できるよう、駅からのアクセスの利便性を確保しつつ、体調不良時だけでなく「これからも元気でいたい」と思ったときにいつでも気軽に相談できる地域のかかりつけ医のあり方を目指している。
日々の生活に追われる中で、自己の健康状態へ客観的に目を向けることは容易ではない。しかし、睡眠や食事、心の状態といった日常の営みに現れる小さな違和感は、身体からの貴重なメッセージである。医療機関を頼ることは決して弱さではなく、大切な人々を守り、自分らしく輝き続けるための賢明な選択である。地域に根ざした多角的な医療が、現代女性の健康な未来を確固たるものとして支えていく。

■取材協力:
自由が丘ルミナスクリニック
総院長 早田 輝子
https://luminous-clinic.tokyo/
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