今までの熱中症対策では不十分!?専門家が警鐘を鳴らす「雨季化熱中症」の実態と対策とは

猛暑が続く近年の日本の夏。雨も多く、まるで熱帯の雨季のような気候になっています。このような環境では今までの「暑さ」だけを意識した熱中症対策では不十分。高温多湿の環境では「雨季化熱中症」への対策も必要となってきます。今回はその対策方法などについて専門家の方にお話を伺っています。
熱中症に関するアンケート
株式会社ネオマーケティングが全国の2000人を対象に実施した調査では、熱中症対策として「水分補給」を意識する人が多い一方で、近年の気候変化に対応した熱中症対策については十分に認識されていないことが明らかになりました。
調査結果では「のどが渇いてから飲んでいた」、「一度にまとめて飲んでいた」という回答もあり、熱中症対策として不十分な認識を一定数の人が持っていることもわかりました。

この結果に対して、熱中症対策に詳しい医師の谷口英喜先生は、「十分な水分補給をこまめにしていても、熱中症になってしまう人は一定数います。また、まとめて水分を摂る、のどが渇いてから補給するといった“したつもり水分補給”は危険です。水分はこまめに補給するだけでなく、体内に水分を保持することが大切です」とコメントしています。
専門家による「雨季化熱中症」の解説
雨が多い今年の夏は「雨季化熱中症」への新しい予防対策が大切。今回は医師の谷口先生にお話を聞いています。
谷口先生は「雨季化熱中症」について以下のように話しています。
人間は体内の熱を汗をかいたり皮膚の血管を拡張させたりして体の外へ逃がしています。しかし、暑熱環境では発汗が続くことで水分が不足し、十分に熱を逃がせなくなります。その結果、熱が体内に蓄積して様々な障害を引き起こすのが熱中症です。

雨季化熱中症とは雨が多く蒸し暑い気候で起こりやすい熱中症です。熱中症の危険度の目安となる暑さ指数※は「気温」「湿度」「輻射熱」の3つのから算出され、その影響は気温が約1割、湿度が約7割、輻射熱が約2割と、湿度が大きく関係しています。高温と高湿度が重なると熱中症の危険性は一段と高まるため、雨季化熱中症では気温だけでなく湿度にも注意した対策が必要です。

熱中症で意識したいのは、体の表面の体温ではなく臓器の温度である「深部体温」です。熱中症の初期は脱水症状が主体なので血流不足を補うために体表面の血管が収縮してしまうので、深部体温が高くなっていても表面体温が低くなることがあるので注意が必要です。
さらに、「熱中症の重症化と炎症」の関係については以下のように語ります。
熱中症の重症化は、全身性炎症が起こり多臓器不全へ進行すると考えられています。熱中症では重症になってから炎症が始まるのではなく、軽度の段階から体内で炎症反応が起こっています。

軽度から中等度までは炎症を抑える物質により、過剰な炎症は抑制されていますが、熱中症が進行して深部体温の上昇や細胞障害が強くなると、抑制機能が追いつかなくなり炎症性物質が放出されます。その結果、炎症が全身で加速的に拡大します。免疫の暴走による炎症の加速的拡大を避けるためにも日頃から免疫のバランスを整えることが重要です。

水分補給だけでなく「水分保持」を意識
谷口先生は雨季化熱中症対策には「水分保持」が大切だと語ります。
雨季化熱中症対策には水分補給だけではなく血液中の水分保持という意識が大切です。水分保持は主に血液中の血漿成分であるタンパク質、アルブミンが行っています。
アルブミンが不足すると血管内の水分が漏れやすくなり、血液量が減少して体温調節機能が低下し、熱中症のリスクが高まります。乳製品に含まれるタンパク質はアルブミンの材料になるため、日頃から乳製品を摂り、アルブミン量を正常に保つことが熱中症予防につながります。
(※熱中症を発症した際は、乳製品の摂取は控えてください)
ヨーグルトは熱中症に負けない体づくりを支える食品の一つ。乳タンパク質はアルブミンの材料となるほか、筋肉の維持にも欠かせません。筋肉は「水分の貯蔵庫」ともいわれ、筋肉量を保つことは脱水対策にもつながります。
ヨーグルトに含まれる乳酸菌は免疫細胞に働きかけるため、炎症をコントロールしやすい体づくりにも役立ちます。また、免疫細胞の約7割は腸に存在するとされており、腸内環境を良好に保つことは免疫バランスを整えるために有効です。

暑さ対策に「ヨーグルトかき氷」
猛暑日には食欲が低下しやすく十分な栄養が摂れないことも。そんな時はキンキンに冷えた氷を削り、そこにヨーグルトを用いたソースをかけた「ヨーグルトかき氷」でタンパク質や乳酸菌を補給するのがおすすめ。日中の外出で暑さにさらされた時は、かき氷などを活用して深部体温を上げないようにすることを対策の1つです。
また、暑い場所で活動する前に体をあらかじめ冷やす「プレクーリング」として、ヨーグルトかき氷を取り入れるのも1つの方法。日本一暑い街として知られる熊谷市にはブランドかき氷「雪くま」がありますが、暑さ対策としてヨーグルトソースを使った雪くまを展開しており、市が取り組む「ヨーグルトで水分保持 チャレンジプロジェクト」の一環として市内14店舗で提供されています。
まだまだ続く高温多湿の環境。「雨季化熱中症」への意識を高め、健康に過ごしていきましょう。
※暑さ指数:Wet Bulb Globe Temperature)は、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標です。暑さ指数(WBGT)は人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい ①湿度、 ②日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、 ③気温の3つを取り入れた指標です。
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