連日38度超のパリ猛暑。景観保護でエアコン設置不可、フランス人が本気で実践する「濡れパジャマ」「濡れ靴下」の驚くべきローテク生存ハック

連日38度超のパリ猛暑。エアコンなき街の住人が本気で実践する「濡れパジャマ」「濡れ靴下」の驚くべきローテク生存ハック

「猛暑のフランスで死者続出」といったニュースが報じられました。日本に住んでいると「なぜエアコンをつけないの?」と不思議に思いますよね。この素朴な疑問に、パリ専門ジャーナリストが回答。さらに、パリの住人にインタビューを行い、彼らの猛暑対策と、日々の様子を教えてもらいました。

一つではない、フランスにエアコンがない理由

パリを旅行したことのある方は、メトロにエアコンがなくて驚いた経験をお持ちかもしれません。メトロだけでなく、カフェやレストラン、学校、市役所など、エアコンを完備しない施設が多いパリ。

そんなパリとフランス全土を、2026年6月17~30日の14日間熱波が襲い、うち6月22~25日の4日間は連日約38度以上を記録。フランスの人々がこれまで体験したことのなかった暑い毎日は、7月上旬にも到来し、死者、山火事、鉄道の大幅遅延等、数々の問題を引き起こしています。

「死者が出るほど暑いなら、さっさとエアコンをつければいいのに。なぜパリにはエアコンがないの?」

答えは1つではありません。絡み合う要因を大きく4つに分け、パリ専門ジャーナリストで『Passion Pierre : Histoires de restauration (石造りの町の修復の歴史)』『 L’Histoire secrète d’une élection capitale (パリ市長選挙の隠されたストーリー)』著者の、ベルトラン・グレコ(Bertrand Greco)氏にご解説いただきました。

ベルトラン・グレコ(Bertrand Greco)氏

ベルトラン・グレコ(Bertrand Greco)氏(撮影/Jacques Paquier )

【パリにエアコンがない要因4つ】
1. 歴史的(慣習的)要因
2. 文化遺産的要因
3. エコロジー的要因
4. 財政的要因

1. 歴史的(慣習的)要因:パリの緯度は樺太(からふと)とほぼいっしょ

「単純に、そもそも通常の夏の気温があまり高くなく、エアコンが必要ない環境でした。30度を超える日は1年間のごく数日で、大抵その暑いタイミングはバカンスです。つまり、一年で一番の真夏日に暑いオフィスで働いているわけではなく、それどころかバカンスを利用して避暑地で過ごしていている場合が多い。よってエアコンの必要性を感じない。フランスのエアコン普及率が低いことには、こんな背景があります。

かくいう私も、今年6月の熱波到来時はパリを離れ、ノルマンディー地方のセカンドハウスにいました。驚くことに、ノルマンディー地方の海辺は、セーターを着ないと歩けないほど肌寒かったのです。気温上昇による犠牲が報道されていた、その時にです」

真夏でも、涼しい日や地域があるフランス。緯度を見ると、パリは樺太(からふと)の近く。一方、東京は南仏マルセイユよりさらに南にあり、スペインのセビーリャに近いことがわかります。

「このような環境にある私たちフランス人が体験した最初の猛暑は、2003年8月です」

1947年から2026年7月の猛暑グラフ。気温の高さを丸の位置で、期間の長さを丸の大きさで図式している。現時点ですでに2003年の記録を更新

1947年から2026年7月の猛暑グラフ。気温の高さを丸の位置で、期間の長さを丸の大きさで図式している。現時点ですでに2003年の記録を更新(出典:Météo France)

「2003年当時、前代未聞の事態に政府の対応が遅れ、一人暮らしの老人や老人ホームの入居者が犠牲になったと報告されています。そしてこの時、南フランスではほとんど悲劇が発生せず、注目されました。日中は雨戸を閉めて熱い外気の侵入を防ぎ、明け方と夜の涼しい時間に活動し、換気も涼しい時間に行って、できるだけこまめに水を飲む。こういった暑い土地ならではの生活習慣が猛暑克服に有効だとわかり、それにならうようメディアを通じて盛んに呼びかけられたものです。これは、今年の猛暑でも同じです。

あれから23年が経過し、今また猛暑によるさまざまな被害が発生しているわけですから、行政側の準備不足が指摘されるのも当然でしょう。パリの屋根裏部屋にエアコン設置ができない規制についても、検討が急がれています」
その規制とは? 次の章で見ていきましょう。

街の様子

2026年7月。暑い日中は直射日光をさえぎり、熱い外気の侵入を防ぐために雨戸をおろす。写真の集合住宅は、夕方になっても雨戸を下ろしたままの住まいが目立つ。緑化やパラソルで工夫している住まいも(撮影/Keiko Sumino-Leblanc)

2. 文化遺産的要因:景観保護のためエアコン設置が許可されていない

「ABF (Architectes des bâtiments de France=フランス建築保護建築家)によって、フランスの文化遺産とその周辺の景観は保護されています。文化遺産の半径500mが対象になるため、パリの場合は市の面積の約97%が保護地域に該当すると言われています。そのおかげで、パリがパリらしく魅力的であり続けているわけですが、エアコンの室外機はもってのほか、雨戸ですら景観保護の理由から設置が許可されません。気候変動の今、これは考えものです」

日本では、自分の判断で購入し、業者に工事を依頼するだけで設置できるエアコン。パリの集合住宅に住んでいる人は、まず年1回のオーナー会議(大家との会議)で承認を得た後に、ABFにも許可申請を行わなければなりません。時間がかかる上に、報われる可能性がほとんどない道のりに思えます。このような状況下で、パリの人たちはこれからの猛暑の時代をどう生き抜くつもりなのでしょう?

「といっても、オスマニアン建築そのものには特に問題はありません。住居の正面側と裏側に窓があり、風が通り抜ける構造になっているため、猛暑でも比較的過ごしやすいのです。また石造りですから、熱をためやすいコンクリートの近代建築に比べると、室内温度はそれほど高くなりません。よって、19世紀のオスマニアン建築は、現代の環境にふさわしくないというわけではないのです。

問題は、『女中部屋』と呼ばれる屋根裏です。もともとが女中のための仮住まいでしたから、断熱が不十分な上に、ジンク(トタン)張りの通称『パリの屋根』の真下にあります。ジンクの屋根は、ひどい時には70度まで温度が上昇することがわかっています。傾斜した天井の天窓には雨戸がなく、一日中直射日光を遮ることもできません。内側から断熱するにも天井が低く狭いため、限界があります。なぜならその引き換えに、住空間が狭くなってしまうから。『女中部屋』は、パリらしいチャーミングな空間としてここ数年人気でしたが、猛暑の今、もっとも被害を受けている住空間の1つになってしまいました。

にもかかわらず、エアコンを設置できないばかりか雨戸もつけられず、ジンクの屋根を他の素材に変えることもできない。ABFの存在意義はあくまで保護ですから、譲歩の余地がないところが問題です」

応急処置として金と銀のエマージェンシーシート(救命シート)を窓の外側に貼り付け、熱射をしのいでいる病院や学校、住居。見ていて痛々しいですし、景観保護の観点からも、雨戸の方に軍配が上がります。雨戸設置が急務であることは、一目瞭然です。

集合住宅の最上階

2026年7月。集合住宅の最上階、ジンク張りの屋根裏にあるのが通称「女中部屋」。エマージェンシーシート(救命シート)やベッドシーツで覆われた窓が見られる(撮影/Keiko Sumino-Leblanc)

バスティーユのオペラ座となりの建物

2026年7月。バスティーユのオペラ座となりの建物は、屋根のリノベーション工事中。ジンク張りから、断熱性の高い素材に変更中か?(撮影/Keiko Sumino-Leblanc)

パリ市庁舎そばにある「アカデミー・デュ・クリマ」(環境に捧げられたサードプレイス)にて、スタートアップROOFSCAPESが行った実験によると、屋上や壁面、中庭を緑化することで、室内の温度を最大17度下げることができるのだそう。「対応する権利」を謳った彼らの取り組みがスタンダードになる未来は、案外近いかもしれません。

70度のジンク張り屋根を、木製板で覆うと45度、さらに植栽で35度に

70度のジンク張り屋根を、木製板で覆うと45度、さらに植栽で35度に(出典/ROOFSCAPES.Studio HP)

雨水の再利用や生物多様性など、暑さ対策以外のメリットも

雨水の再利用や生物多様性など、暑さ対策以外のメリットも(出典/ROOFSCAPES.Studio HP)

「パリ市は2001年のベルトラン・ドラノエ市長の時代から、環境対策に取り組んでいます。『涼みのアイランド』(ilots de fraîcheurs)と呼ばれる涼みスポットづくりが、その一例。緑化、歩道化、水飲み場やミスト機の設置などを行うことで、暑さ対策をしているのです。

アスファルトの地上が50度以上の時でも、そのすぐ隣の緑地は30度台ですから、実際に効果は大きいです。現市長のエマニュエル・グレゴワールさんもこの路線で、小学校の校庭を緑化し、教室の天井に扇風機を設置するなど、具体的に動いています。校舎を夜間に換気すると、日中涼しいこともわかっています。もっとも、今年6月の熱波直後には、エアコン1200台がパリ市内の保育園と小学校に支給されました」

「涼みのアイランド」の地図。水飲み場、ミスト機、緑地、プール、遊泳区域、図書館、教会など、涼めるスポットが一目瞭然

「涼みのアイランド」の地図。水飲み場、ミスト機、緑地、プール、遊泳区域、図書館、教会など、涼めるスポットが一目瞭然(出典/Paris.fr )

水飲み場兼ミスト機に集まる子どもたち

2026年7月。水飲み場兼ミスト機に集まる子どもたち(撮影/Keiko Sumino-Leblanc)

ミスト

原始的ではあるが、ミストを浴びると清涼感が得られる(撮影/Keiko Sumino-Leblanc)

エアコンは応急処置としては有効 としつつも、それに頼りきりにならず、環境を改善するローテクな努力がされていることがわかります。それはなぜなのでしょう?

3. エコロジー的要因:エネルギーを消費し、外気の気温を上昇させるエアコン設置よりも、まず断熱

「室内の温度を下げてくれる代わりに、屋外に熱を排出するエアコンが、本当の意味での解決策になるのか? 外で働く人たちに対して不平等ではないか? パリ市民からはこういった声も聞かれます。エアコンを否定するわけではなく、これまで気候変動対策を怠ってきた政治的指導者に対する、責任追及の意味で発せられています。エアコンは、病院や老人ホーム、保育園などには急遽必要。『女中部屋』や、リノベーションが間に合っていない低所得者住居にも必要でしょう。

しかしエアコンは長期的に見ると、外気の温度を上げ、エネルギーを消費し続け、CO2を発してさらに気候変動を加速し、負の連鎖から逃れられなくなることは明らかです。だからこそまず断熱です。建築基準がRT2012(※)からRE2020(※)に変わり、冬を意識した断熱に加えて夏の過ごしやすさも追求されるようになりました」

※RT2012=2013年1月1日以降適用された新築物件の環境基準。フランスの消費エネルギーの42%、温室効果ガス23%の原因である住居を、環境インパクトの少ない構造に変えることが目的であった。断熱や気密性を重視する内容。
※RE2020 =「RT2012」を更新し基準を高めたもの。2022年1月1日から段階を追って適用が始まった。使用電力を抑えるだけでなく発生するCO2量も抑え、さらに夏の快適さが盛り込まれている。例えば、住居の正面と裏側に窓を設置し、風が通り抜ける構造を義務付け。

「またパリ市には、ごみ焼却の熱で集合住宅の暖房を供給するシステムがあるように、セーヌ川の地下の冷気を使った冷気供給システムが存在します。フランス国民議会やルーブル美術館、ギャラリーラファイエット、ホテル、オフィスなど、パリ市内にある多くの施設がこの冷房システムを導入していることをご存知でしたか?

エアコンと違い屋外に熱を排出しませんし、CO2もほぼ排出しません。つまり、エアコンよりもはるかにエコです。しかしこの冷房システムも、今年2026年7月の猛暑では供給が間に合わなくなりましたが」

セーヌ川下から冷気を取り出し、配管を通じて市内の建物へと涼しい空気を届けるFraicheur de Parisのネットワーク図

セーヌ川下から冷気を取り出し、配管を通じて市内の建物へと涼しい空気を届けるFraîcheur de Parisのネットワーク図(出典:Fraîcheur de Paris)

「エアコンを設置する前にまず断熱」という考えは、これまで寒い冬に備え「暖房にお金をかけるよりもまず断熱」と努力した、ヨーロッパらしい堅実さの表れと言えそうです。日本でも、SUUMOジャーナルの下記記事からわかる通り、「冷房だけでは限界」と感じる人たちが増えています。

■関連記事:
「冷房だけでは限界」が約6割。東京都の意識調査から見えた、酷暑を乗り切る「断熱リフォーム」の必要性。助成制度も解説

ちなみに、筆者がパリで暮らしている集合住宅も、今年2026年7月のオーナー会議でついに外壁の断熱工事が決定されました。ついでに屋上の修理と緑化、集中暖房のリノベーションも行うことになり、コンクリート建築のうだるような暑い生活から脱出できる見通しです。

こういった工事は大きな費用を必要とするため、決心も実行も難しいのですが、断熱・省エネリノベーションは国家から、屋上緑化はパリ市から、補助金が支給されます。さらに希望者は無利子のエコローンが利用できるので、経済的余裕のない人ほど「今やっておかねば!」と思うお膳立てが整っていました。これは本当にありがたいこと。エアコン以前にまず、これらを押さえておかなければ無意味ですから、予算のない、いち生活者にとって絶好のチャンスでした。

そしてこの金銭面の負担も当然ながら、パリにエアコンが普及していない原因の1つなのです。

4. 財政的要因:公共サービスは慢性的予算不足。エアコン設置は優先順位の下方に

「公共施設の場合、公共サービスは慢性的に予算不足ですから、病院や老人ホームにエアコンを、と言っても急に工面することは困難です。メトロやバス、電車もしかり。公共サービスゆえ料金を上げることは難しく、設備投資は後回しになりがちです。

しかしエアコンよりもまずは、病院でもメトロでも、窓を開けられるつくりにすることが先でしょう。現代は、はめ殺しの窓が一般的になっていて、換気をしたくても窓を開けることができません。猛暑の日、窓の開かない室内や車内が不快なのは当然です」

確かにグレコさんが指摘する通り、窓が開けられない構造自体に問題があります。病院や学校も、風が抜ける窓があれば涼しいでしょうし、メトロやバスも窓を開ければ走行中に風が入ります。ひょっとすると、エアコンに頼る必要は特にないかもしれません。

はめ殺しの窓で覆われた高層ビル

はめ殺しの窓で覆われた高層ビル。今後はどう変わってゆくのか?(撮影/Keiko Sumino-Leblanc)

「なんでエアコンをつけないの?」と聞くのが日本人なら、「なんでそんなお金があるの?」と聞き返すのがフランス人、そんな気がします。

そして、もし予算があるなら、長い目で見て得をする方に使いたいのが人情です。財政不足でエアコン設置が間に合わないことは辛いですが、それがもし熟考のための時間になり、適切な判断につながるのであれば、悪いことばかりではないかもしれません。その試行錯誤が今、いろいろな場面で見られるのがパリ、そしてフランスだとも感じます。

とはいえ暑い時は暑い! パリの住人たちは、エアコンなしでこの猛暑をどう暮らしているのか? インタビューしました!

濡らしたパジャマを着ると涼しい?! 工夫いっぱいのパリ流猛暑対策

2026年8月6日現在、パリで記録された最高気温は6月24日の40.6度。夜間の気温が20度を下らない日もありました。

こういった中、パリの住人たちはどんな工夫をしながら毎日を過ごしているのか気になります。以下4名にインタビューしました。

① ベルトランさん
50代男性。100平米の近代建築アパートに家族4人暮らし
今回解説をしてくれたベルトラン・グレコさんも、モンマルトルの丘に暮らすパリの住人。まずは彼の猛暑対策から聞いてみました。

住まいの正面側と裏側に窓があり風が抜けるので、暑すぎて眠れないといった思いをしたことはない。比較的過ごしやすい住居だと思う。
ただし、風が抜けるとはいっても、気温38度の日の風は決して涼しくはない。それでも私は空気が動く方を選ぶが、妻は暑い外気を入れないために窓を閉め切っておく方を選び、どちらかが譲歩することになる。
エアコンはないが、扇風機を使用している。エアコンの必要性を感じたことは今のところない。
妻は、バスタオルを濡らし、シーツの上に敷いて寝ている。本人曰く快適らしいが、私はまだ試す気になれない。バスタオルは水で濡らした後に軽く絞ってから使っているようだ。ベッドへの被害はない。

② Pさん
30代女性。38平米の築1950年代のアパートに一人暮らし

断熱のされていないアパートだが、住まいの正面と裏側に窓があり、風が抜けるため過ごしやすい。
ただし、気温37度の日は風も37度。また、窓を開けると外の騒音がうるさい。風をとるか、静けさをとるか。暑い日は風をとることになる。
扇風機はあるが、つけっぱなしで寝るのは快適ではないので消している。
寝苦しい日は、濡らした靴下を履いて、濡らしたバスタオルを掛け布団の代わりにかけて寝ている。南仏マルセイユの友人から教えてもらったテクニックで、実際に効果があり快適。ベッドがびしょ濡れになる心配はない。朝起きると靴下もバスタオルも完全に乾ききっている。枕を冷凍室で冷やすのもいい。
日中は鎧戸と窓を閉めて、熱気が室内に入ることを防いでいる。朝と夜に鎧戸と窓を開けて、涼しい外気を室内に入れる。
毎日暗がりの中で暮らすのは残念だが、数日のことなので我慢している。

③ Cさん
30代男性。48平米のオスマニアン建築に一人暮らし

住まいの正面と裏側に窓があり、風が抜けるため過ごしやすい。エアコンはないが、家に帰ると涼しいと感じる。
扇風機すら持っていない。来年に備えて購入を考えている。
雨戸はない。日中はカーテンを閉めて遮光をしている。今のところこれで十分。
帰宅するとまず冷水のシャワーを浴びる。冷水シャワーは唯一の冷却法なので、暑いと感じるたびにこまめに浴びている。
こまめに水分補給をする。

④ Aさん
20代女性。37平米のオスマニアン建築に一人暮らし

雨戸がないので、エマージェンシーシートを使っている。とても効果があり、直射日光が長時間当たってもエマージェンシーシートの内側は熱くならない。窓の外側にガムテープで貼るのがポイントで、窓の内側に貼ってしまうと窓とシートの間に熱がこもり、窓が破裂すると聞いている。
さらに、直射日光が当たる窓は、カーテンを引いて遮光している。
住まいの正面と裏側に窓があり、風が抜けるため過ごしやすい。今年の猛暑よりも、去年の方が暑かったと個人的には感じる。
あまりにも暑い夜は、パジャマを濡らしてから着る。涼しくなり、よく眠れる。
扇風機を持っているが、不自然な風は好きになれず、あまり使用していない。
エアコンは持っていない。エアコンを持つ友人のほとんどが、最後の手段として使っている。赤ちゃんが寝付かないときなど。エアコンを設置する人たちを責めたくはない。個人個人、自分にできる方法で猛暑を乗り越えなくてはならない。
ただし、エアコンは大きな不公平になると思っている。自分のいる場所の温度を低くする代わりに、屋外の気温を上昇させてしまう。路上生活者や屋外労働者はどうなる?
猛暑は政治問題だ。気候変動に対して個人的努力でできることはするとしても、それで得られるインパクトには限界がある。政治的対策は必至。

以上、パリの住人の猛暑対策でした。パジャマやタオルを濡らして寝る、という方法がメジャーなことには驚きました。筆者も試したところ、確かに快適でしたが、湿度の高い日本には向かないかもしれません。そしてもう一つ印象的だったのが、「パリの街がエアコンの室外機で覆われてしまうのは残念」と、全員が口をそろえて言っていたことです。是が非でもエアコンが欲しいと思っていないことも、印象的でした。

人々の様子

(c)Guillaume Bontemps/Ville de Paris

これらのインタビューを終えた猛暑のパリの夕方。自転車で帰宅する道中に、噴水の広場でくつろぐ人たちを眺め、つくづく思いました。「この人たちは外で過ごすこの自由を、絶対に手放さないだろう」と。

エアコンの効いた室内の快適さもいいですが、テラスで夕涼みができる、そんな小さな喜びも暮らしには重要です。もしかするとパリにエアコンがないもう一つの理由は、「外で過ごす自由なライフスタイルが好きだから」かもしれません。そのためにも、緑化、歩道化、水飲み場やミスト機の設置、そしてセーヌ川遊泳化です!

もしパリが、エアコンなしでも快適に猛暑をしのげるモデルを示すことができたなら、世界中の都市がエアコンを減らし、ローテクソリューションに移行し始めるかもしれません(もちろん、湿度など気候条件が異なるので単純に真似はできませんが)。今、世界中の多くの都市が、車社会から自転車社会へ、歩行者社会へと移行していることからも、そう感じられるのでした。

カフェのテラスn人々の様子

2026年7月の夕涼み風景。猛暑でも夕方になり気温が下がった途端、公園のベンチやカフェのテラスに人が集まる(撮影/Keiko Sumino-Leblanc)

エマニュエル・グレゴワールパリ市長と、リュシー・カステットパリ12区区長

2026年7月4日セーヌ川開きにて、エマニュエル・グレゴワールパリ市長と、リュシー・カステットパリ12区区長(撮影/Keiko Sumino-Leblanc)

エマニュエル・グレゴワールパリ市長と、リュシー・カステットパリ12区区長

(撮影/Keiko Sumino-Leblanc)

●参考
Météo France
roofscapes studio
Paris.fr
Fraîcheur de Paris

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