「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2026」レポート:メインストリームとは異なる魅力を持った珠玉のインディーゲームたちを紹介
東京・吉祥寺から発信するインディーゲームの祭典「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2026(以下、TIGS 2026)」が開催された! インディーゲームはその存在感を年々増しており、最近はインディーゲームのイベントも増えている。
そんな中で「TIGS 2026」の特徴は、地域密着型であること。吉祥寺の街全体とコラボレートした企画を用意しており、単なるインディーゲーム展示イベントに留まらない、お祭り的な空気感が魅力だ。今回の会場は高円寺の施設「IMAGINUS(イマジナス)」で、3月20日(金・祝)(ビジネスデー)、3月21日(土)(一般公開日)の2日間にわたって開催された。
筆者が取材に訪れたのは3月20日(金)。現場で出会った「これは!」というインディーゲームを紹介したい。
インディーゲームの魅力! それは市販のゲームではプレイできないセンスとの出会い
まず、インディーゲームの魅力とはなんだろうか? もちろん、人それぞれ魅力に感じる部分は異なるのだろうが、筆者は「メインストリームのゲームでは味わえない、独特なセンス」だと思っている。「メインストリームとは異なる感性」という意味では、サブカルチャーの魅力とも近いように思う。
そう考えると今回の舞台、イマジナスが存在する高円寺は、うってつけの場所ではないだろうか? そもそも吉祥寺自体がサブカルチャーの中心地的なイメージを持っているが、とりわけ高円寺は、1980年代にナゴムレコードというインディーズレーベルが立ち上がった地!
さらにイマジナスは廃校をリノベーションした施設。建物から漂う学校の空気感によって、イベントからも文化祭のような「自主制作」感を強く受けた。この雰囲気は、他のインディーゲームイベントにはない「TIGS 2026」ならではの魅力にもなったと思う。
そこで、今回紹介するインディーゲームたちも、こうした「メインストリームとは異なる感性」を軸として紹介しようと思う。
ウンコを便器へ導け! 『ウンコテクニカ』
まず紹介したいのは、『ウンコテクニカ』! 尻から排泄したウンコを、ゴール地点である便器へと導くアクションゲームだ。
「いきなりウンコだなんて、汚いな……」と思わせたかもしれない。しかしこのゲーム、レトロネオン調のグラフィック&クールなサウンドによって演出されており、非常にスタイリッシュ。しかも、操作感もキビキビしていて手触りがよく、色んな意味でスッキリ爽快なゲームなのだ。
この発想、あきらかにメインストリームではない。
笑う門に福が来るなら、笑顔が絶えたときに待つのは不幸!? 『DON’T STOP SMILING』
『DON’T STOP SMILING』は、「笑いを止めるな」というタイトルの通り、常に笑ってなければならないというホラーゲーム。ゲームプレイ前にWEBカメラを用いて自分の笑顔、真顔、目を瞑った顔の3通りを撮影してプレイ開始。プレイ中はずっと笑顔でなければならず、笑顔が崩れたと判定されたらゲームオーバーになってしまう。
もちろんゲームには、こちらの笑顔を崩すための様々なギミックが用意されている。このギミックがなんとも絶妙で、ニクい。笑顔が崩れてゲームオーバーになった後、思わず「そりゃあ、笑ってはいられないだろう!」と別の意味で笑ってしまうゲームなのだ。
4つの数字を組み合わせて10を作れ! 『IZEA:10puzzle Rogue-Lite RPG!』
『IZEA:10puzzle Rogue-Lite RPG!』は、4つの数字と演算記号を組み合わせて10を作るというパズル系のローグライトRPG。たとえば「7+9-3*2」のように、4つの数字を組み合わせて10を作り出す。パズルRPGなので、最終目的は10を作り出すことで敵を攻撃し、倒すことだ。
ルールそのものは非常にシンプルだが、実際にプレイすると意外に難しく、悩んでしまう。紙の切符世代の人は、切符に書かれた数字を使って同じような遊びをしたことがあるかもしれない。このため、パズルRPGとしてみてもおもしろいが、世代によってはさらに懐かしさも味わえる、独特なゲームだ。
ジグソーパズルを組み合わせて最大の効果を引き出す! 『ジグソーローグ』
『ジグソーローグ』は、ジグソーパズルの要素をフィーチャーしたローグライクRPG。攻撃回数や攻撃力、バフといった戦闘用効果が記載されたピースを組み合わせて敵と戦う。もちろん、ジグソーパズルのピースなので、使いたい効果の書かれたピース同士が必ずしもつながるとは限らない。
つなげることが可能なピースの中で、いかに最大の効果を引き出すか? それに加えて、効果を育成するのか、ピースをつながりやすくするのか……という育成戦略もおもしろい。極めてユニークな戦略性とパズル性を持ったゲームなのだ。
デッキビルドを重視したオートバトル型ローグライクRPG! 『Mimix』
『Mimix』は、相棒のミミックと共にダンジョンを探索するオートバトル型ローグライクRPG。ローグライクと言えば、インディーゲームの中でも高い人気を誇るジャンルで、リリースされている作品数も少なくない。そうした中で本作は、「デッキビルド」という準備段階に強くフォーカスしているのが特徴だ。
本作の戦闘は完全オートで、プレイヤーの選択の入り込む余地はない。勝つためには、準備の段階で、限られた行動回数の中、最適な装備構成を整えること! ビジュアルもシンプルで、デッキビルドの楽しさをガッツリ集中的に楽しめるゲームなのだ。
カウンセラーとして囚人たちの悩みに向き合う対話型アドベンチャー! 『囚人カウンセリング』
『囚人カウンセリング』は、刑務所が舞台のアドベンチャーゲーム。舞台となるのは刑務所。プレイヤーは精神科医として、罪を犯した囚人たちのカウンセリングを行うこととなる。
症例書を参考に適切な相槌を選び、場合によってはアイテムを使うなどして囚人との間に信頼を構築。しかし、選択によっては囚人たちが心を閉ざすこともあるし、場合によっては恋愛関係になってしまうこともあるという。そして、こうしたメインストーリーの裏側には、「何か」がある模様。
ユニークな設定とミステリアスな雰囲気が魅力の一作だ。
レトロなグラフィックと電話による演出が魅力のノベル系アドベンチャーゲーム! 『蛙電話 Frog Telephone』
『蛙電話 Frog Telephone』は、岐阜県下呂市を舞台にした現代民俗アドベンチャーゲーム。主人公は、記憶の一部を失った旅行会社のオペレーター。周囲で「蛙」にまつわる奇妙な出来事が発生し、彼は故郷である岐阜県下呂市への帰郷を決める……。
本作は、タイトルの通り「蛙」と「電話」といった要素にフォーカス。基本的なゲームシステムは選択肢を選んでゲームを進める、アドベンチャーゲームとしてオーソドックスなスタイルなのだが、重要なシーンでは電話のボタンをプッシュするギミックが挿入される。本作のクリエイターは元映画監督だったとのことで、レトロかつクールなビジュアル演出も魅力だ。
その団地の警備ルールは必ず守ってください……! 『柘榴団地』
『柘榴団地』は、団地の日勤警備員となって様々なトラブルに対応するホラーアドベンチャーゲーム。もちろん、この団地は普通の団地ではなく、いわくつき。守らなければならないルールは「住人には必ず挨拶すること」、「来客には必ず来客リストに本名を記載してもらうこと」、「15時には必ずアパート内を巡回すること」と一見普通だが、4つめのルールとして「白装束の女には絶対に声をかけないこと」という不穏なものが存在している。
昨今のモキュメンタリー・ホラーファンであれば、もうこのシチュエーションの時点で興味を引かれることだろう。そして、設定だけではなく、「モノトーン+彩度の低い赤」で統一された手描きアートが不気味な空気感を増幅。この独特な気味悪さは、体験する価値アリといえるだろう。
自分の推しゲーを見つけること! それがインディーゲームの楽しさ
今回の「TIGS 2026」で筆者が紹介するゲームは以上だ。もちろん、ここで紹介した以外にも魅力的なゲームは沢山あった。実際に参加した人であれば、「えっ、あのゲームは遊ばなかったの?」と思ったかもしれない。
そんな「どんなゲームを魅力的に感じるのかが、人によって異なる」こともまた、インディーゲームの魅力のひとつ。つまりインディーゲームとは、推しゲーが人によって大きく違うのだ。
メインストリームでリリースされるAAAタイトルは、逆だ。AAAタイトルは、数千万本という大規模なヒットを目指して作られる。ということは、必然的に「誰がプレイしても傑作となる神ゲー」を目指さざるを得ない。
「誰にとっても完成度の高い傑作」……これこそが、メインストリームのゲームの魅力だろう。しかしインディーゲームの魅力は、違う。
ある人にとっては神ゲーだが、ある人にとってはまったく興味が湧かない……そんなクセのある魅力こそ、インディーゲームの持ち味なのだ。つまり、読者であるあなたにとっての神ゲーは、あなたにしかわからない。……といっても、遊んでみないことには、神ゲーかどうか判断できない。じゃあ、どうすればいいのか?
答えはカンタン、「TIGS 2026」のようなインディーゲームイベントに参加すればいいのだ! この記事を見てインディーゲームに興味を持った人は、次回の「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT」に、ぜひ参加して欲しい。
(文:田中一広)
(執筆者: ガジェ通ゲーム班)
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