気温28℃が分岐点!秋土用の過ごし方で冬バテを防ぐ体調管理術を
■土用(季節の変わり目)は気温の寒暖差が激しい時期 病気予防には秋土用の過ごし方が大切
日本には、四季があります。四季折々の景色が楽しめる美しい国です。その一方で、気候の変わり目は気温の寒暖差があるため、体調管理に気を付けなければならない国でもあります。
東洋思想では、季節の変わり目を土用(どよう)と言います。土用は、立春、立夏、立秋、立冬の前18日間のことです。年4回ある土用は、それぞれ、春土用、夏土用、秋土用、冬土用と言います。
2025(令和7)年の暦で言うと
春土用は 立夏(5月5日)の前18日間(4月17日~5月4日)
夏土用は 立秋(8月7日)の前18日間(7月20日~8月6日)
秋土用は 立冬(11月7日)の前18日間(10月20日~11月6日)
冬土用は 立春(2月3日)の前18日間(1月15日~2月2日)
になります。東洋医学では、春は肝臓、夏は心臓、秋は肺蔵、冬は腎臓が旺盛に働きます。土用の時期は脾臓が働くと考えられています。見方を変えると、これらの臓器に負担がかかり、不摂生をするとその臓器機能が低下しやすい時期とも言えます。
特に、気温がどんどん上昇する春土用と気温がどんどん低下する秋土用の過ごし方は重要です。土用の過ごし方いかんによっては、来るべき夏や冬に、夏バテや冬バテを引き起こします。みなさんは、土用の過ごし方を意識していますでしょうか?2025年11月19日発売の『知らないうちに寿命を縮める危ない生活習慣24』(清野充典著・小学館)にも、土用の時期の過ごし方やふだんの生活でやめるべき習慣を紹介していますので、ご一読ください。
■最高気温が28℃を下回ったら最低気温に目を向ける
秋土用の時期は、最高気温が28℃を下回るようになります。10月上旬は、28℃を超える日もある時期ですので、まだまだ暑い日が続く、まだそんなに寒くならないだろうという気持ちで過ごす人が多いと思います。
最高気温が28℃を下回るようになるときは、最低気温に目を向ける必要があります。からだが寒さに順化するには2~3週間を要します。その間は、ことさら真冬の格好をして、からだの芯が冷えないようにすることが大切です。
10月になると、夕方は少しずつ日暮れが早くなる時期です。外気温が20℃を下回るとき、秋の装いでいると、からだが冷えます。それが数日続くと、咳、くしゃみ、鼻水や鼻づまりの症状が出てきます。お彼岸を過ぎた9月下旬から10月中旬に冷たい物を過剰摂取している人は、咳がひどく出てとまらなくなります。肺に基礎疾患を持っている人は、気管支喘息、気管支炎を誘発します。また、インフルエンザなどのウイルスに感染発症することもあります。寒い部屋で生活していると血圧が高くなりますので、肺以外に基礎疾患をお持ちの人にも、秋土用の過ごし方は大切です。
秋土用は、最低気温に目を向けて、服装、寝具や室温に注意する時期です。最高気温が25℃を下回ると、もはや夏ではありません。いわゆる衣替えの時期です。早めに洋服を冬支度にすることが望ましいと言えます。
秋土用の対策は、
1.半袖から長袖にする
2.暖房をする
3.室内にいるとき靴下をはく
4.寝間着を厚手にする
5.寝具を多めにする
6.食べ過ぎに注意する
7.22時以降の食事を控える
などがあげられます。
土用の時期は、胃の働きに支障をきたしやすいので、飲食には注意が必要です。特に、秋土用は「実りの秋」の時期ですので、旬の食べ物がたくさんあります。食べる量に気を配り、からだを冷やす果物の取り過ぎにも意識を向けていただきたく思います。
秋土用の時期に暖房をせず、対策を講じないでいると、立冬を過ぎたころから、頭が重たい、首の後ろや背中が痛い、脚がつりやすい、夜中に脚がつる、耳鳴りがする、生理痛がひどいなどの症状が出始めます。また、突発性難聴、膀胱炎、急性腎炎を発症する人もいます。症状を放置して長期化すると、春になり花粉症を発症するからだになりやすいので、秋土用の過ごし方は大切です。
ご興味がある人は、JIJICO内にあるコラムをご参照願います。
9月に体調がおかしくなるのはなぜ?夏場の冷えが呼吸器疾患の発症につながる?
■最高気温が18℃を下回ったら暖房しましょう
2023年から夏の暑さが厳しくなってきました。2024年も前年を上回る暑さでしたが、2025年はさらに暑い日が続きました。9月下旬になり、例年は涼しくなるお彼岸を過ぎても暑い日は続いていましたが、10月になり、突然気温が低くなりました。一年間で最も過ごしやすいともいえる10月に、秋の気配をさほど感じないまま、秋を飛び越えて冬を感じときもある気候でした。暖房を使い始めた人もいるのではないでしょうか。
このタイミングが、寒さ対策を始めるときです。秋土用は、18日間ですが、からだが気候に順応するためには約3週間必要ですので、10月中旬あたりから対策を始めるのが理想的です。
秋土用の時期は、咳、くしゃみや鼻づまりなどの呼吸器疾患、胃腸の不調、腰痛や膝痛などの関節痛を主訴として来院する人が急増します。その人たちに暖房使用の有無を聞くと、ほとんどの人が「暖房をしていない」と答えます。その理由を尋ねると、「寒くないから」という答えが圧倒的です。ところがおからだを拝見すると、ほとんどの人の手や足は冷たい状態にあります。お腹、腰、お尻や太ももも冷たい人が多く、どこを触っても全身暖かくありません。
スマートウエルネス住宅等推進調査委員会では、寒い環境なのに寒さを感じない要因について調査しています。
(住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する全国調査第7回報告会~国土交通省スマートウエルネス住宅等推進事業調査に基づく「生活環境病」予防の医学的エビデンス~)
報告会では、室温が18℃を下回る寒い環境で暮らしていても、「寒さを認識できていない」「寒くない」「むしろ心地よい」と感じている人が多いという結果が出ています。
部屋別でみると、平均室温は、下記のとおりです。
居間17.7℃
寝室13.1℃
脱衣所 14.5℃
このうち、居間で3割、寝室で6割、脱衣所で1割の人が寒さを感じていないようです。
寒さを感じていない人の理由として、
1.高齢者や肥満等循環器疾患のハイリスク者
2.こたつ利用者
3.温暖地域に住む人
を上げています。上記の人は、寒くても「寒くない」と思いやすいとしています。
長年の臨床経験からこのデータに個人的意見を加味すると、
4.薬を長期服用している人
5.ホットカーペットや電気掛毛布などの利用者
を追加として挙げられます。
また、寝室の室温が低いと、過活動膀胱になるため、夜間尿の回数が多くなり、睡眠障害にもつながることが報告されています。
推進調査委員会では「感覚的な寒さはあてにならず、室温を図って把握することが大切」と言っています。私も、毎日温度計を置いて、自分が生活している場所の室温を計測してみるように提案しています。エアコンの温度設定はあてになりません。住居環境で室温は変わりますので、床上から1メートルくらいの室温が何度かを気にするように言っています。私が患者様に提案している冬期の室温は以下のとおりです。
安静時 26℃~28℃ (居間でリラックスしているとき)
食事時 22℃~25℃ (食堂で飲食しているとき)
活動時 19℃~21℃ (家事、育児や作業をしているとき)
就寝時 18℃ (寝室で就寝するとき)
寒さは、サイレントキラーになりますので、最高気温が18℃を下回ったら室温に留意して暖房することを推奨します。
寒さ対策にご興味がある人は、JIJICO内にあるコラム
18℃未満の室温で生活すると危険!?寒い部屋は死亡率が増加!!
をご参照願います。
■気温の寒暖差による体調不良に鍼灸治療や瘀血治療は最適です
秋土用の時期に適切な対策を講じることが出来ず、気温の寒暖差による体調不良でお悩みの人は、是非鍼灸治療(内外科治療)をお試しいただきたく思います。からだが冷えている人には、お灸治療が最適です。冷え性でお悩みの人には、最善の治療法です。薬物治療(内科治療)や外科手術(外科治療)をした後に体調不良を感じている人は、身体の外側から内臓機能に働きかけることが可能な鍼灸治療(内外科治療)が有効ですので、お近くの鍼灸院または鍼灸師が勤務している医療提供施設にご相談ください。
清野が呼称する養正(ようせい)治療は、日常の適正な生活です。詳しくお知りになりたい人は、清野鍼灸整骨院ホームページ「くらしと養生」をご参照願います。
体調管理や健康増進には、運動法や呼吸法が有効です。ヨガ(YOGA)療法をご希望の人は、清野メディカルヨーガもしくはお近くのヨガ教室にご相談いただきたく思います。
2025(令和7)年11月19日(水)に小学館から発売される『知らないうちに寿命を縮める危ない生活習慣24』(清野充典著・小学館)の内容は、JIJICOに掲載された1~70本目のコラムを24に再編集した内容です。この本のために書いたコラムもあります。清野が提唱する「養正治療」の内容が満載です。ぜひご覧いただき、東洋医学に基づく養生法を実践いただきたく思います。
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