【ライブレポ】さとうらら、盟友たちと繋いだ最後のマイクリレー── さとうららなりのラストワンマンライブ『Good Enough』

【ライブレポ】さとうらら、盟友たちと繋いだ最後のマイクリレー── さとうららなりのラストワンマンライブ『Good Enough』

「寂しいとか悲しいじゃなくて、なんて幸せなの!と思ったら涙が出てきた」

これはアンコールのMCで、さとうららが発した言葉だ。その言葉の通り、会場は一切寂しさを感じさせないほど、とにかく幸せなオーラに包まれていた。

10月29日、渋谷WWW。この日、元O’CHAWANZリーダーのさとうらら(a.k.a. しゅがーしゅらら)が、さとうららなりのラストワンマンライブ『Good Enough』を開催し、11年に及ぶアイドル活動にピリオドを打った。ライブにはO’CHAWANZをはじめ、彼女の仲間たちが次々と出演。マイクリレーのように楽曲を紡ぎ合う姿は、まさにさとうらら流のヒップホップの体現のようだった。

定刻になると、正面のスクリーンに映し出されたのは、どこかの山を登る、さとうららといちこにこの姿。この映像は、2022年3月25日に開催されたO’CHAWANZ 1st Generation現体制ラストライブ「No Time To Die」の最後に流れたものだ。ラストシーンでは、ふたりが見つめ合い手を合わせた瞬間、大爆発が起こるという衝撃的な結末を迎える(おそらくDaft Punkへのオマージュだろう)。それから3年──この日、物語はその“続きを描く”かのように再び幕を開けた。

ライブは、ららとSAKA-SAMAによる「朝日のようにさわやかに」でスタート。元気いっぱいに歌うSAKA-SAMAの3人の隣で、ららは笑顔で合いの手やコールを入れる。その姿は、まるで“終わり”を告げに来た人ではなく、“新しい朝”を迎える人のようだった。

【ライブレポ】さとうらら、盟友たちと繋いだ最後のマイクリレー── さとうららなりのラストワンマンライブ『Good Enough』

SAKA-SAMAがステージを後にすると、続いて盟友・いちこにこがふらりと登場。ふたりで“OSANPO”を、息の合ったコンビネーションで披露し、曲の終わりには「いちこちゃんが来て安心したー!」と、さとうらららしい自然体のテンションで会場を和ませた。その後、O’CHAWANZのサポーターズとして活動していた、りるひなこと新山ひながステージへ。彼女たちらしいメロウでゆるやかなラップで“Sweet Thing”を届けると、続いて2nd Generationで活動していたなかたかなも加わり、4人で“Computer Love”を披露。ららの歩んできた歴史を横断するような特別な共演に、胸が熱くなった。

続いてDJブースには、DJジェントルドレス(辻優衣)とDJナイトプール(前田鮎花)こと963のふたりがイン・ダ・ハウス。ステージ上ではDJナイトプールを軸に、とにかくわちゃわちゃとしたやりとりが繰り広げられ、その空気感が妙に微笑ましかった。このコーナーのラストは、ららとりるひなのふたりで「オツカレサマ」をパフォーマンス。曲の途中でりるひなが感情を抑えきれず泣き出してしまうシーンもあり、ふたりの間にある深い友情を感じさせた。

MCかにゃんぱす(なかたかな)、MCぴーぴる(前田鮎花 from 963)、MCめぽち(mepo from ダダダムス)によるWSPC 2Gが、ファンキーでダイナミックなパフォーマンスを披露したあとは「コラボ」コーナーへ。

まずは、らら・いちこ・ひなの3人で小沢健二&スチャダラパー「今夜はブギー・バック」をナイスかつスムースにカバー。途中から石田彰(3776プロデューサー)がギターで参加し、タイトなカッティングで花を添えると、今度は井出ちよの(3776)がステージへ。ここからはO’CHAWANZ × 3776のコラボで「ラブレターリターンズ」「暑中お見舞い申し上げます」「ゆうれい商店街」の3曲を披露。この組み合わせでこれらの曲がライブで演奏されるのはほとんど初めてであり、まさに“ここでしか見られない”スペシャルな時間が広がっていた。

【ライブレポ】さとうらら、盟友たちと繋いだ最後のマイクリレー── さとうららなりのラストワンマンライブ『Good Enough』

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続いては、SAKA-SAMAの3人。「寿司でぃないとふぃーばー」「わんわん」の2曲をキュートにパフォーマンス。ららは2017年に期間限定メンバーとして活動していたこともあり、その歴史の中でもSAKA-SAMAは欠かせない存在だ。会場中が手を振り、笑い、叫ぶ。この瞬間を共有できること自体が、本当に特別な体験だった。

ここからは再びO’CHAWANZのステージ。ギタリスト・絢屋順矢を加え、「MID NIGHT」「オチャファンク」でマッドなファンクネスを炸裂させると、「DADA」「SPARK」という比較的ハードなビートの楽曲へ。こうしたBPMの速い曲でもしっかりと魅せるスキルを持っているのがO’CHAWANZというグループであり、「DADA」の冒頭を間違えた際に「じゃあもう1回やろうか」とやり直すその軽やかさもO’CHAWANZというグループだった。

再び暗転すると、ステージにはらら、いちこ、そして963の辻優衣・前田鮎花の4人が登場。MIKA☆RIKAのセカンド・シングルとしてリリースされ、O’CHAWANZと963が大切に歌い継いできた名曲「ホシノフルマチ」を披露。これまでのコラボコーナーではしゃいでいたときとは全く違う、真剣な表情で美しく舞いながら、感動的な空間を作り出した。「一人になって寂しくしてたとき、963がいつも楽屋に遊びに来てくれた」というららの言葉には、この2組の確かな絆の強さがにじんでいた。

【ライブレポ】さとうらら、盟友たちと繋いだ最後のマイクリレー── さとうららなりのラストワンマンライブ『Good Enough』

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らら抜きO’CHAWANZとして、いちこ・ひな・かなというレアな編成でグルーヴを継続したあと、ステージが暗転。赤いドレスをまとったららが静かに中央に立ち、ひとりマイクを握る。「After the After Five」を歌うその砂糖菓子のようにスウィートな歌声は、彼女のアーティストとしての原点を静かに、しかし力強く映し出していた。

ライブはここからクライマックスへ。ステージには再びいちこ・ひな・かなも現れ、4人編成で「CAMERA CAMERA」「EARTH」へと続く。そこには、いつまでも続いてほしいと思えるような幸福な時間が流れていた。最後は会場全員を巻き込み、「O’CHAWANZでした! オッチャー!」というお決まりの挨拶で締めくくられた。

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アンコールでは、らら・いちこ・ひなの編成で「ハルカゼ」を披露。会場が再び湧き上がる中、ららの「せっかくだから、なんかもう1曲ぐらいやりたいな」という言葉から、「フューチャー」を熱唱。ここでは、この日出演したすべてのメンバーに加え、盟友たちも大集結。さとうららオールスターズがステージを埋め尽くすように並ぶ。その幸せな光景はまさしく、ららの人徳が作り上げたものだった。

仲間たちがステージを後にすると、ららは「私にはこういう素敵な仲間たちができたことが、11年間続けてきて一番よかったことなんですけど、私のお客さんたちも本当に私の誇りっていうか、“ヤバい人が一人もいなくて”、本当にこういう人たちが集まってくれてよかったなって思っています」と、さとうらら節全開のメッセージを届ける。

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そして最後にららは、DJブースにいたS.A.L.ことO’CHAWANZプロデューサーのムラヌシ氏へ「ムラヌシさん、11年間本当にお世話になりました」と言葉を添えてマイクを返した。さとうららがアイドルとして駆け抜けた歴史は、悔しいことも寂しいことも含め、さまざまな経験を重ねた時間だった。そしてその傍らには、いつもプロデューサーのムラヌシ氏がいた。そのシーンは、彼女がこれまで駆け抜けてきた全てを詰め込んだ、感謝と愛に満ちた瞬間だった。

渋谷WWWに響いた「オツカレサマ」の拍手は、いつまでも鳴り止まなかった。その余韻の中で、誰もが思ったはずだ。さとうららなりの『Good Enough』は、間違いなく“完璧な最後”だったのだと。

【ライブレポ】さとうらら、盟友たちと繋いだ最後のマイクリレー── さとうららなりのラストワンマンライブ『Good Enough』

取材&文:ニシダケン
撮影:バーバリアン谷川

ライブ情報

さとうららなりのラストワンマンライブ「Good Enough」セットリスト
2024年10月29日@渋谷WWW
【出演】さとうらら
【ゲスト】いちこにこ / りるひな / なかたかな / 3776 / SAKA-SAMA / 963 / WSPC 2G / O’CHAWANZ

1.朝日のようにさわやかに
2. OSANPO
3. Sweet Thing
4. Computer Love
5. イイタビ
6. Oh My Car
7. O’YASHIRAZ
8. Oh My Teddy Bear
9. UCHU ni MUCHU
10. オツカレサマ

【WSPCコーナー】
11. WSPCのテーマ
12. PUNCHMAN
13. How Ya Feelin

【コラボコーナー】
14. 今夜はブギーバック
15. ラブレターリターンズ(3776コラボ)
16. 暑中お見舞い申し上げます(3776コラボ)
17. ゆうれい商店街(3776コラボ)
18. 寿司でぃないとふぃーばー(SAKA-SAMAコラボ)
19. わんわん(SAKA-SAMAコラボ)

【O’CHAWANZコーナー】
20. MID NIGHT
21. オチャファンク
22. DADA
23. SPARK
24. ホシノフルマチ(963コラボ)

【らら抜きO’CHAWANZ】
25. Rest of The Girls
26. Winter Snow
27. Party Online

【ららソロ】
28. After the After Five

【O’CHAWANZコーナー】
29. CAMERA CAMERA
30. EARTH

【アンコール】
EN1. ハルカゼ
EN2. フューチャー

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