大人気 旅系YouTuberしおねる、初の著書の裏側を語る【2/2話】
書くことへの悩みや葛藤。YouTubeに与えた影響とは
2025年8月19日、登録者13万人超の人気旅系YouTuber・しおねるさんの初著書『旅系YouTuberしおねるの鉄道探訪記』が発売されました。本格的に動画投稿を始めてわずか1年で登録者10万人を突破し、雑誌への寄稿やイベント出演、さらにはテレビの冠番組にも出演中。いま最も注目を集める旅系YouTuberです。
今回は、本書を担当した編集者がしおねるさんにインタビュー。企画のきっかけから発売までの裏話、そして今後の展望まで、2回に分けて、たっぷり語っていただきました。
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書名:旅系YouTuberしおねるの鉄道探訪記
著者:しおねる
定価:2,200円(本体2,000円+税10%)
発行:イカロス出版
書籍詳細:https://books.ikaros.jp/book/b10137335.html
自分の“好き”を表現することも大切に
――『旅系YouTuberしおねるの鉄道探訪記』のカバーは、「福井旅」「四国旅」で撮影した写真の中から候補を選びました。
デザイナーさんに数案を作っていただく際、私からお伝えしたイメージは『清涼飲料水の広告』。しおねるさんの“爽やかさ”や“甘酸っぱさ”を表現したくて、そんな雰囲気を意識してもらいました。
しおねるさんご自身は、この本をどんな一冊にしたいと考えていましたか?
しおねる 私もなんとなくですが「爽やかな感じ」がいいなと思っていました。やっぱり、自分の“好き”を表現することも大切にしたかったので、大好きな阪急電車の「阪急マルーン」を使いたいなとも考えたんです。
ただ、少し落ち着いた印象になってしまいそうだったので、カバーではなく本文のデザインの中に取り入れていただくことにしました。
そうした自分らしさを盛り込みつつ、視聴者の方からもよく言っていただける「爽やか」「明るい」というイメージが、そのまま伝わるような一冊にしたいと考えていました。
▲しおねるさん“推し”の阪急電車
――この本では、ご自身の内面や過去の出来事を、幼少期の写真とともに書き下ろされています。過去について書くうえで、苦労された点はありましたか?
しおねる やっぱり過去のことを改めて考えると、心が「うっ」となる瞬間があります。当時の気持ちを言葉にするのはかなり難しかったです。でも今まで振り返ることから逃げていたような気もするので、良い機会だなとは思いました。
あとは記憶が曖昧な部分もあるので、母に聞いたり、昔のビデオを見たりしながら書き進めていきました。
――逆に、書きやすかった部分などはありましたか?
しおねる どこの部分も難しかったのですが、女優を頑張っていた日々の出来事は他と比べると書きやすかったです。私の人生の中でかなり濃い期間なので、良いことも悪いことも、記憶がはっきりと残っていました。
――この本では、しおねるさんの負の感情についても書かれています。そうした気持ちを綴ることに、抵抗はありましたか?
しおねる 正直ありました。誰にも話していないことだったので。いざ文字にすると、本当に書いて大丈夫かな? と心配で……。原稿を書き進めながらも、最後の最後までその気持ちとずっと戦っていました。
ただ同時に、その部分に触れることの意味についても考えていて。
苦しい時間があったからこそ今の自分がいる。その背景も含めて描くことで、読んでくださる方によりリアルに伝わるんじゃないかな、と思いました。
「どんな気持ちでその瞬間を過ごしたのか」をもっと丁寧に表現したいと思うように
――YouTube動画の撮影・編集と並行しての執筆は、とても大変だったのではないかと思います。本を書くことで、YouTubeに向き合う気持ちに何か変化はありましたか?
しおねる 正直、撮影や編集と同時進行での執筆はとても大変でしたが、YouTubeに向き合う姿勢にも変化がありました。
動画は、どうしてもテンポや画面の華やかさを意識しがちですが、執筆では一つひとつの出来事や気持ちをじっくり掘り下げる必要があります。その作業を通して、YouTubeでも「ただ旅を紹介する」だけでなく、「どんな気持ちでその瞬間を過ごしたのか」をもっと丁寧に表現したいと思うようになりました。
――原稿を書き上げるまでに、どれくらいの時間がかかりましたか?
しおねる 2ヶ月くらいかなと思います。特にラストスパートは連日徹夜で書いていて、ゲシュタルト崩壊を起こすことも……(笑)。
――最後は取材中に電話で確認作業をお願いしましたね……。執筆にあたり、参考にされた本などはありますか?
しおねる さくらももこさんの本です。もともと好きで、読みながら「こんな表現いいな」とか、いろいろ参考にしていました。
行き詰まったら、くすくす笑いながら本を読んで、気持ち的にもリラックスできましたし、文の書き方などもたくさん勉強になりました。
――しおねるさんの「執筆のおとも」は何でしょうか。
しおねる あまりないです。お水はがぶ飲みしているかもしれません。書いてる時は食べ物とかは基本食べなくて、音楽もかけないですね。ちょっと音がするだけで気が散ってしまうので、静かな部屋で1人黙々と書き進めていました。
――本の帯にも「魂の一冊」と書かせていただきましたが、実際にこの本、発売前重版が決定しました。
しおねる 素直に嬉しかったです。そして何より感謝の気持ちが大きいです。私ひとりでは決して叶わなかったことで、支えてくださった方、手に取ってくださる方のおかげだと思っています。
これからもっともっとたくさんの方にこの本を読んでもらえるように頑張りたいですね。
――今後、もし2冊目を出すとしたら、どんな本を作ってみたいですか?
しおねる 自分の旅の総集編のような本を作ってみたいです。もっともっと全国各地を巡って、その土地でしか味わえない景色や出会いを写真と文章で残していけたら素敵だなと思います。
あとは、フォトエッセイにも憧れがあります。写真を中心に、旅先で感じた小さな気持ちや日常のひとコマを柔らかい言葉で綴るような一冊も、いつか形にしてみたいです。
▲しおねるのYouTube動画より。人気の寝台列車「サンライズ出雲」乗車中に車窓を眺める
――2冊目、3冊目と、夢がどんどん広がっていきますね。それでは最後に、執筆業に限らず、今後の目標を教えてください。
しおねる まずは、YouTubeを続けていきたい!旅の楽しさや鉄道の魅力を、自分らしく発信し続けることが一番の目標です。
そのうえで、鉄道会社さんのPRモデルなど、新しいことにも挑戦してみたい気持ちがあります。大好きな鉄道に関わるお仕事を通して、より多くの方に魅力を届けられたら嬉しいですね。
――では最後に、この本を読んだ方、そしてこれから読もうとしている方へメッセージをお願いします。
しおねる 本を手に取ってくださった皆様、いつも応援してくださる皆様、本当にありがとうございます。YouTubeではあまり話してこなかった私自身の内面や迷いも、正直な気持ちで書きました。そんな一冊を受け止めていただけたことが、とても心強く、感謝の気持ちでいっぱいです。本を通して、読んでくださる方自身の記憶や感情に重なる瞬間があれば嬉しく思います。
まだ読んでいない方には、ぜひ旅に出るような気持ちでページを開いていただきたいです。
人生は鉄道のようなもの。この本は私の人生という旅をたどる一冊ですが、巻末には実際の鉄道旅のルポも収録しています。人生の旅と、列車の旅。もし今、将来のことに悩んでいる方がいたら、その両方を通して、新しい線路を見つけてもらえたら嬉しいです。
(執筆者: イカロス出版)
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