稲田クール・ジャパン担当相、児ポ法改正で「『表現の自由』不当制限、あってはいけない」
クール・ジャパン戦略を担う稲田朋美内閣府特命担当大臣は2013年6月18日午前の閣議後会見で、児童ポルノ禁止法改正案についてのniconicoユーザーからの質問(七尾功代読)に対し、「表現の自由を不当に制限することはあってはいけない」と述べ、各界からの指摘を踏まえて慎重に検討していくべきとの考えを示した。
稲田大臣は現内閣でクール・ジャパン戦略担当相を務めている。クール・ジャパンは、クリエイティブ産業の育成や国内外への発信などの施策を業種横断的に進めるプロジェクトだ。日本のファッションや映画に加え、マンガやアニメなどの輸出を強く推進している。
質問にあがった児童ポルノ禁止法改正案は、国会に5月29日提出。実在する児童が被写体になっていないマンガやアニメについても規制を検討する文言が含まれており、日本文芸家協会や日本漫画家協会、コミックマーケット準備会などから反対の声明が相次いでいた。
稲田大臣の回答に対してニコニコ生放送を視聴していたniconicoユーザーからは、「日本成長の重要なツールと仰るか。いいね」「漫画、アニメは国で守っていかないと」と政府のクール・ジャパン政策を応援するコメントが寄せられた。一方で、「グレーゾーンが広過ぎないようにしてね!」など懸念を示す声もあがっていた。
■稲田大臣とniconicoとのやりとり全文書き起こし
niconico:児童ポルノ禁止法改正案による、クール・ジャパンへの影響についてお伺いしたい。
日本のアニメは世界のスタンダードとして各国から広く受け入れられている状況にあるが、現在、自民・公明・維新から出されている児童ポルノ禁止法改正案が施行されれば、クール・ジャパンという世界に誇る重要なコンテンツを自ら毀損することになりかねない。
また、この法案については、野党から著しい人権侵害、あるいは表現の自由の侵害であるという意見が出されている。こうしたことをクール・ジャパン担当大臣としてどう考えるか。
稲田大臣:日本の誇るアニメ・マンガ、そういうものはどんどんと発信していく。日本再生の戦略の重要なツールだと認識している。
一方で、表現の自由は憲法の中でも、いわば民主主義の過程における、投票箱での民主主義を図る上において非常に重要な位置づけがされていると思う。
ただ、表現の自由と言っても、無制限ではない。その兼ね合いは慎重に検討していくべきではないかと思っている。
niconico:この問題については、アニメファンやネットだけが騒いでいるわけではなく、日弁連(日本弁護士連合会)の会長からも13日付で声明が出されている。この法案の附則第2条に関連して、クール・ジャパンのコンテンツになるマンガ・アニメの制限、そして根源には表現の自由を規制する問題であるという危機感がある。
世界的に人気のあるドラえもんで、お風呂のシーンが一部カットされるなど、日本の文化・作品がありのままに伝わらない状況が考えられる。世界に誇るクール・ジャパンを守ってほしいという大臣への期待は大きいが、どう考えるか。
稲田大臣:私も表現の自由を制限する、不当に制限することはあってはいけないと思う。日弁連会長からの声明はまだ読んでいないので、そういう各界からのご指摘なども踏まえて、不当な制限にはならないようにするべきだと、クール・ジャパン戦略担当大臣としては思う。
◇ 関連サイト
・[ニコニコ動画]稲田朋美 内閣府特命担当大臣の閣議後会見(6/18)
http://www.nicovideo.jp/watch/1371525132
・[ニコニコ生放送]稲田大臣によるniconicoユーザーの質問への回答から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv141876594?po=newsgetnews&ref=news#25:58
ウェブサイト: http://news.nicovideo.jp/
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