ブラザー・コーン「人生の総仕上げとしての一冊」 著書『WON’T BE LONG ~バブルと泳いだ人生~』インタビュー

「WON‘T BE LONG」のミリオンヒットで一世を風靡したバブルガム・ブラザーズのブラザー・コーンさんが、自伝となる『WON’T BE LONG』を刊行しました。
ミリオンヒットで音楽シーンを席巻した“六本木の父”ブラザー・コーンさん。熱狂のディスコ・クラブ、札束が舞う六本木の夜、眩いネオン街で出会ったとんねるずやRIKACO、矢沢永吉など、ともに時代を歩んだ芸能人とのエピソードも盛りたくさんで、バブルに浮かれたニッポンを走り抜けた、エネルギーに満ちあふれた自伝となっています。
この秋にはバブルガム・ブラザーズとして40th記念ツアーも開催決定しているブラザー・コーンさん。自著に込めた想いなどを聞きました。
——自著『WON’T BE LONG』を出されましたが、心境はいかがですか?
実は病気もあっていろいろな経験をして、命のことを考えるようになったんです。終活ってわけじゃないけれど、人生の総仕上げとして、自分のことをまとめておいたほうがいいかなと思ったんです。自分の終活と自爆本、反省本みたいな感じです。普通の自伝というより、本当に自爆本って感じで、自分で自分を暴露するような内容なんです。
——コーンさんと言えば夜の六本木のイメージもありますが、もっともギラギラした時代を駆け抜けて来られましたよね。
お金の価値観で言えば「お金の価値って何だ?」と思わされるくらい、先輩たちが1万円札を紙みたいに配っている姿を見ちゃっていました。でも「すげぇな」というより「みんなどうしちゃったんだ?」って冷静に見ていましたよ。
——そうなんですね。失礼ながら、てっきり配っている側かと思っていました。
いや本当、冷静でしたよ(笑)。でも、そんな時代に身を任していた自分を客観視して見つめていることは、何だか面白かったですね。自分は自分なんだけれど、自分は今どういうポジションで、何をしているんだろうってね。一般人であった頃に比べれば、とんでもない世界にいるんだなという自覚はありました。バブルの時代ですね。

――タイトルにもなっている大ヒット曲「WON’T BE LONG」は、一世を風靡しましたよね。
僕らは当時“お茶の間ファンク”と呼んでいたけれど、「WON’T BE LONG」みたいな曲は、まだ当時のシーンにはなかったんですよね。これは日本人が踊れるブラックミュージックみたいな曲で、それが見事にちょっとヒットした時期があって。そしたら小室のてっちゃんやTRF、安室奈美恵ちゃん、みんな一気に出だして。すごいなっていう時代はありました。
――すでに今回の書籍にまつわるインタビューを拝見したのですが、やり残したことがあるとおっしゃっていて、それは具体的には何でしょうか?
いっぱいあるんですよ(笑)。やり残したまま70歳になっちゃって、その後どうやってクリアしていこうかなって。たとえば孫のこととや家族のことももちろんなんだけれど、そのほかで自分がやりたかったこと、自分の思っていた夢ですよね。夢がまったく叶っていないとかじゃないけれど、 もうちょっとやりたいことがあるなって。
レコードショップ、CDショップ、それこそTSUTAYAさんみたいなのの、ちょっと小さい版みたいなお店で、そこでちょっとみんなで集まって美味しいコーヒーを飲もうとか、そういった夢はいっぱいあったんで、そういうことがやり残していることですかね。
病気をして、余計にそういう気持ちが高まったんだと思います。それまでそんなに思わなかったんですが、病気をすると「あと何年生きられるんだろう?」っていう。恐怖じゃなくて心配ですかね。恐怖は別にないんです。死ぬことに関しては、別にもういいなとは思っているんですよ。
――今年はバブルガム・ブラザーズ40周年のツアーも始まるとうかがいました。
そうですね。去年のライブは体の調子が悪かったんですけど、抗がん剤で何とかできたので結果オーライでした。バンドの人間は4~5 人くらい亡くなってしまったので、そういう意味で言えば、俺とトムは図太くやっていますが、準備は万全ではないですね。2人とももう歳ですから。
みなさんよくカッコこよくステージで最後は倒れたいって言うんですけど、俺はどこで倒れてもその時が最後だと思ってやっています(笑)。

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プロローグ/第1章 中学からディスコ通い/第2章 人生を変えた新宿ルイード/第3章 とんねるずのおかげです/第4章 「一晩200万」六本木の夜/第5章 余命3ヵ月/第6章 70歳でプロボウラー/エピローグ
■書籍情報
書誌名:『WON‘T BE LONG ~バブルと泳いだ人生~』
ISBN:9784065381403
著者:ブラザー コーン
価格(税込):1,650円
発売日:2025年5月21日(水)
(執筆者: ときたたかし)

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