“考える防災”には「まず自分の住んでいる地域を好きになることが大切」ゲーム感覚で学べる体験型防災教育コンテンツ「HIRAQ(ヒラク)」

被災時の対応を自ら考え行動し、窮地を切り拓く力を身に着ける、体験型防災教育コンテンツ「HIRAQ(ヒラク)」。三井住友海上火災保険株式会社が提供する、ゲーム形式で防災を学べる内容となっています。

4月28日には、防災心理学や災害リスクコミュニケーションに関する専門家である京都大学 防災研究所 教授の矢守克也氏と、荒川区立南千住第二中学校 レスキュー部の生徒を招き、「HIRAQ」の体験会を開催。「自分がこの状況だったらどうする?」と考えながら、ベストアンサーを発表し合う貴重な機会となりました。

京都大学 防災研究所 教授の矢守克也氏は、「日本では、30年以内に70%の確率でマグニチュード7クラスの地震が発生するとされており、もし首都直下地震が起きた場合には、多くの死傷者や建物倒壊が発生することが想定されています。こうした事態に備えるべく、現在の防災・減災教育では、災害発生時に自分で判断できる力を養い、まさかの事態を想像してジブンゴト化すると共に、普段から防災を通して様々な事象を考えることが重要になります」と、「普段」と「まさか」の二刀流で自然災害に備える必要があると提言。

「特に今回参加している生徒たちが住む荒川区は、東京都内で地震時の総合危険度がワースト1位(地震に関する地域危険度測定調査)と評価されていて、荒川区で災害に遭うと想定されるリスクとしては、老朽化した建築物の倒壊、木造住宅の火災、狭い道路と建物の密集、液状化・地盤沈下、情報伝達の課題が挙げられています」としながらも、「ただ、そうやってただ悲観して暗い気持ちになるのではなくて、まず自分の住んでいる地域を好きになることが大切。そうすると、大切な地域を災害から守りたい、周りの人たちを守るにはどうしたらよいのかを考えるようになる。そのためにも地域のハザードマップは必ず確認して、日頃から災害に備えておいて欲しいのです」とメッセージを贈ります。

「HIRAQ(ヒラク)」は、実際の災害を参考に、起こりうる事態をシナリオ化した災害避難シミュレーション。参加者自身が「被災者」になったことを想定し、各地で起こる問題への対応策を考えていきます。

シナリオは全部で3種類。外出先で大きな地震に遭遇したときの帰宅方法を考える「帰宅困難」、学校の帰り道で大雨災害に遭い一時的な避難先での対処を考える「緊急避難」、そして、長期の避難所生活をより良くするための方法を考える「避難所生活」。専門家が監修した問いに向き合ううちに、自然と災害時の対処方法や行動の引き出しが増えていくようになっています。

レスキュー部の生徒たちが体験した被災シナリオは「緊急避難」。学校の帰り道で大雨災害に遭い、一時的な避難先での対処を考えていく内容とです。「HIRAQ」のページを開き、シナリオを読み進めていくと、緊急避難先で解決すべき問題が提示されていきます。最初の問題は「みんなの今夜の食べ物をどう確保するのか」。生徒たちは、避難所に集まった老若男女の人々に、その場にある食料をどう分け合えばよいのかをディスカッションし、ヒントページも参考にしながら考えをまとめていきます。

・アレルギーや宗教上の理由で食べられないものがある人がいる
・お年寄りに何を食べてもらうか

など、具体的な事例にそって考えていき、

Aチームは、「避難先で食料を分け合う際に、乾パンが硬くて食べられない避難者に対して、乾パンを水でふやかして提供するというアイデア」をベストアイデアに、Bチームは、「小麦アレルギーを持っている避難者にはアルパカ米とバナナ、野菜ジュースを提供するというアイデアがベストアイデアだった」と、避難者それぞれの事情を汲み取りながら食料を分け合うことの難しさを実感した様です。

「HIRAQ(ヒラク)」は今後、地域主催の防災イベントや中学校・高等学校での出張授業・ワークショップなどで展開していく予定。「考える防災」のきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

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藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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