石川県七尾市、AIを活用した介護保険施設・病院送迎サービスの実証を終えて本格導入へ
社会医療法人の董仙会は、スペア・テクノロジーソリューションズと共に、石川県七尾市および周辺地域において、2024年9月よりAIオンデマンド乗合交通ソリューション「Spare Platform」を活用した介護送迎サービスの実証実験を実施。
その結果を受け、介護送迎業務の改善、運用統合による業務効率化の仕組みを、3月より本格導入した。
実証実験を実施した背景
石川県七尾市では、高齢化・過疎化に加え、2024年1月に発生した能登半島地震の影響で介護保険施設の統廃合が進み、介護保険施設における送迎業務が複雑化していた。
董仙会 理事長 神野正博氏によると、支援を必要とする在宅高齢者は増加する一方で、病院への通院や通所介護における送迎サービスの運転手は不足し、高齢化も進んでいるという。そのため、需要の増加と供給の不足を解決するために新しい送迎サービスの検討・実施が必要となってきた。
国は、介護保険施設ごとの送迎サービスから、他事業所と協働・契約する送迎サービスについて規制を緩和。しかし、介護送迎計画では利用者が身体能力、認知能力により、乗車できる車両が限定されるなどの複雑な要因があり、従来アナログで検討しなければならないという課題があった。
そこで、複数事業所の個別性を持つ利用者を同乗させるルートと車両を最適で効率的に運用する計画作成のために、アナログからAI技術を利用したシステム構築は必須課題だったという。
AI技術による業務効率化の可能性を確認
実証実験では、AI技術による業務効率化の可能性を検証。深刻な人手不足のなか、介護職員リソースの有効活用やコスト削減につながる可能性を確認した。
同実証では、従来の手作業では、必ずしも効率的とは言えない状態となっていた送迎ルート作成業務の自動化や、各施設で実施されていた送迎関連業務を特定の部門に集約するといった運用改善を図ることで、職員の工数低減や車両台数の削減に成功している。
今後の展開
今後はAI技術の更なる活用を目指し、スマートフォンアプリを活用した予約制の送迎サービス「楽のり君」を提供予定。地域住民が、介護・医療サービスをより利用しやすい環境の実現を目指す。
また、人だけではなく物も一体的に運ぶことも模索する方針。さらに、地震でストップしている医療の送迎サービスについても、地域ニーズも合せて、課題に取り組んでいくとしている。
董仙会とスペア・テクノロジーソリューションズ
董仙会は、急性期病院である「恵寿総合病院」を中核に、能登地域を中心に事業展開を行う医療・介護・福祉の複合体グループ。
スペア・テクノロジーソリューションズは、2019年に三菱商事とカナダSpare Labs社の共同出資により設立。今後も、AI技術を活用した移動最適化ソリューションの提供を通じて、地域社会の課題解決に寄与していく構えだ。
地域の介護・医療の送迎サービスにおける業務を効率化する取り組みの今後にも注目したい。
(Higuchi)
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