先生が学ぶちょっと不思議なプロジェクト? コノセルが「先生の駆け込み塾」をスタート

「学習塾板のユニクロ」を目指して「個別指導 コノ塾」を展開するコノセルが、4月1日より学校の先生を対象にした「先生の駆け込み塾プロジェクト」をスタートした。教鞭をとる立場から一転、先生が学ぶ立場に? なんとも不思議なプロジェクトだが、何を目的としたプロジェクトなのか。現役の先生7人が参加して開催された体験会に参加してきた。

過酷な労働環境と人材不足が顕著となっている日本の教育現場では、現在、「個別最適な学び」の実現が求められている。
コノセルが小中学校の先生を対象に行った「小中学における子どもたちへの個別最適な学びの提供に関する意識・実態調査」では、「個別最適な学び」を知っている、聞いたことがあると90.1%が回答しており、言葉自体の認知は進んでいるようだ。
一方、勤務している学校で「個別最適な学び」が実践できていないという回答は57.6%と約6割を占めている。その理由として「教員に取り組める時間がない」「教員の知識不足」「個別最適化された学習指導の方法が分からない」という回答が上位にランクイン。実践したくとも実践できない現状が浮き彫りとなった。

そうした状況にあって、「個別最適な学び」に関して学校外の有識者・専門家から知見を得たいという先生は87.6%に上るなど、先生も学びの場を求めていることがうかがえる。
今回、コノセルが「先生の駆け込み塾プロジェクト」を発足させた理由はまさにここ。
これまでコノ塾では、独自のデジタル教材と生徒の学習データを活用した伴走型指導でノウハウを得てきた。これを学校の先生と共有し、学校の教育現場で「個別最適な学び」を実現するためのテクノロジーやデータの活用方法などのヒントにしてもらおうというわけだ。
「個別最適な学び」に必要な3つのステップ

「体験会」は座学からスタート。コンテンツ開発責任者の吉田幸弘氏は、コノセルが考える「個別最適な学び」とは何か、デジタルと人の掛け合わせるコノ塾の「個別最適な学び」をレクチャーしていく。

コノセルが考える「個別最適な学び」とは、生徒一人ひとりのレベルに合わせて問題を出題するのではなく、その手前の学び方の改善だという。この点について吉田氏は、「どのように生徒が学んでいて、その学び方で引っかかっているポイントはどこなのか。そこに対して人が介入し、正しい学習行動がとれるようにすることが個別最適化」であるとまず解説。
そして、個別最適化のためには生徒の学習行動をリアルタイムで把握する「察知」、察知した学習行動を元につまずいているところを特定する「診断」、特定したつまずきポイントが正しい方向に進むようサポートする「処方」の3ステップが重要だと続けた。
ただ、「察知」を人力で行うのは極めて難しいため、コノセルはアプリやシステムなどを自社開発してテクノロジー化した。例えば、コノ塾が授業で使う動画を見たかどうかのデータは全てサーバー上に記録。途中で動画を飛ばしていないかなどのトラッキングも自動的にできるようになっているという。

「『察知』に必要なデータを取る仕組みにはテクノロジーを活用し、『診断』や『処方』における人のつまずきの発見や、生徒への声がけなどのコーチングについては人が介入する。全てをテクノロジー化するのでなく、人と場とテクノロジーを掛け合わせた学習環境を作ることで、コノ塾では効率的に『個別最適な学び』を提供しています」と話すと、先生たちも大きく頷いていた。

座学を終えると、先生たちはコノ塾 江古田駅前教室へ移動。実際に授業を見学ながら、時には生徒から直接話を聞くなどして、コノ塾で実践される「個別最適な学び」への理解を深めていった。

コノ塾の先生が生徒にどんな「処方」を行っているか、思わず覗き込む姿も。

先生たちの疑問に対して吉田氏は現場でもレクチャー。「どのように授業内容を絞っているのか?」「離脱させないためにとっている工夫は?」といった授業の内容に関する質問にも答えていた。

気になった点を直接生徒からヒアリングする先生。

先生同士で情報を共有している姿も見られた。
塾と学校の垣根を越えた意見交換の場に
授業見学後は、先生たちからコノセルへの質疑応答タイム。次々と先生の手が上がり、活発な意見交換が行われた。

予定時間を過ぎても質問が続く。教育に真摯に向き合っているいい先生たちだ。

先生たちからの鋭い質問に、コノセル担当者の表情にも思わず笑みがこぼれる。
体験会終了後、参加した先生に今回の感想を聞くと、「テクノロジー化で効率を求めて機械的に教育を進めるのではなく、子どもを支える支点としてちゃんと大人がいる教育観はすごく素敵だと思いました」「『個別最適な学び』の実現には専門性よりも一人ひとりに寄り添う力が大切だということに気づきました。あらためて先生の役割について、すごく考えさせられる有意義な時間でした」といった声が聞かれた。
「先生の駆け込み塾プロジェクト」のこれからについて吉田氏に尋ねると、「始まったばかりの企画で、私たちも学校の先生がどういう形でコラボレーションできるのかを探っている段階です。やはり学校現場の先生の声も聞きたいし、私たちがどんなことに取り組んでいるのかも知ってもらいたい。その中で、学校と塾の垣根を越えて何か共通点が見つけられたらいいし、回を重ねるごとにそれを見出していきたいと思います」とのことだった。
学校と塾の架け橋の役割が期待される「先生の駆け込み塾プロジェクト」。先生や子どもたちのより良い教育環境の実現に向け、今後の展開に期待したい。
「先生の駆け込み塾」プロジェクト 概要
募集期間:2025年4月1日(火)〜4月30日(水)
実施日:(1)2025年5月16日(金)、(2)5月23日(金)、(3)5月30日(金)の計3日間19時30分〜実施
実施場所:(1)氷川台教室、(2)東高円寺教室、(3)西馬込教室
対象:小学校・中学校の学校教員
内容:「個別最適な学び」を実現させる「コノ塾」の授業について説明、教室説明、教室での授業見学
募集フォーム:https://forms.gle/UynJx4DmdCA6CJbq8
備考:各回、定員に達し次第募集終了
▼「コノ塾」が実現している「学びの個別最適化」について/「先生の駆け込み塾」プロジェクト
https://www.slideshare.net/slideshow/ss-b4c6/277225546
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