映画『ネムルバカ』久保史緒里(乃木坂46)&平祐奈インタビュー「運命的な出会いに感謝しています」

人気漫画家:石黒正数による傑作青春漫画「ネムルバカ」が実写映画化。メガホンをとるのは『ベイビーわるきゅーれ』シリーズで知られる今最も勢いのある監督、阪元裕吾。本作の主人公は、大学の女子寮の同じ部屋に住む2人。後輩・入巣柚実役を久保史緒里(乃木坂46)が、先輩・鯨井ルカ役を平祐奈が演じる。本作で2人は初共演、W主演となります。
20日に遂に公開となり「今年ベスト入り確定」「最後のあのシーンの瞬間、震えるほど号泣してしまった…」「脳みそが溶けると弾けるを同時に体験した!」と 鑑賞後の涙腺崩壊報告など絶賛の声が鳴りやまず、Filmarksの初日満足度ランキング1位となった映画本作。久保さんと平さんに撮影で印象的だったこと、リアル“入巣&ルカ”な仲良しエピソードなど、お話を伺いました!


――本作とても楽しく拝見させていただきました!私は原作ファンなのですがすごく嬉しいキャスティングで。
久保:嬉しいです!
平:大丈夫でしたか?そう言っていただけてありがたいです。
――お2人は原作をお読みになってどんな魅力を感じましたか?
久保:なんかどこにでもありそうなのに、どこにもない関係性がとても素敵だなと思いました。先輩後輩だけの関係ではなくて、かといって友達とか恋人とかどれも当てはまらないんですよ。その2人が過ごしている日常って、大学生あるあるというか、みんなが経験したことある様な時間で。その、どこにでもありそうな日常とどこにも無い関係性の掛け合わせが魅力的だなと思います。
平:2008年に出版された漫画なのに、今読んでも時間が経ったことを感じさせない作品だなと思います。本作もそうですけれど、世代問わず、男女問わず読めて刺さるメッセージがあると思います。ルカは音楽業界に身を置きますが、他のジャンルで頑張っている人でも通る道が描かれていて。入巣とルカと同世代の方はもちろん、人生の先輩たちも振り返って、あの時の甘酸っぱい記憶が蘇るのでは無いかなと思います。そして、2人の何気ない日常がすごく会話らしくて。キャラクターがリンクしている『響子と父さん』も読んだのですが、本当にキャラクターが魅力的だなと思います。

――お2人がすごく仲良しで、入巣とルカが目の前にいるみたいなのですが、初対面からすぐ仲良くなれたのですか?
久保:(平さんを見ながら)言ってもいいですか? 本読みが初めましてだったんですけど、平ちゃんの距離感に驚いてしまって…(笑)。私が着ていた服を見ていきなり「これどこの?」って肩をさわりながら言われまして、「私、仲良くなれないかもしれない」って思っていました(笑)。
平:(笑)。いきなり距離をグイっと詰めていったからね。本読みの日、控室に入るまでの間、「どうやってコミュニケーションとろうかな」ってめっちゃ考えていて。すでに先輩モードだったから「これ出川さんのパーカー? すごいかわいいね」みたいな(笑)。作品以外で会っていたら私もそんなにグイグイ行ってない(笑)。たぶんルカが、そうさせていたと思います。
久保:私が人見知りなのもあって、すごく話しかけてくれたんですよ。
平:現場に入ったら、しーちゃんが入巣を想像以上に作り上げてきてくれていたので、そこからはずっと先輩後輩みたいな関係になれて。撮影が進むにつれて、第一印象とはだいぶ違って、しーちゃんもお話好きだったし、たくさんおしゃべりしていました。
久保:現場でたいちゃんを見て「あ、先輩だ」って思った瞬間に、不安が全部なくなって入巣として対峙するのが、楽しくなったんです。
――出演が決まった時のお気持ちを改めてお聞きしても良いですか。
久保:阪元監督の作品が好きだったので、監督とご一緒できることが嬉しかったです。原作を読んだら、このマンガを阪元監督が映画にするということに、ものすごく興奮しました。 入巣役が自分じゃなかったとしても、劇場に観に行っていただろうなと思うぐらい、とてもワクワクしました。
平:私も阪元監督の作品に出たいと思っていたんです。しかもルカが、「こういう役を私はやりたいんだよな」と思った、今までに演じたことがないキャラクターだったので、もう絶対出演したいと思いました。
久保:阪元監督の『ベイビーわるきゅーれ』の魅力って、もちろん殺陣とかアクションもそうだとは思うんですけど、私は、主人公2人が殺し屋なのに、どこにでもいる女の子たちの会話をしているところだと思うんですね。日常生活のなかでの会話から生まれる空気感みたいなものが唯一無二だなと思っていて、この映画でも、それが生まれるんじゃないか、とにかく楽しみでした。
平:まさに『ベビわる』のちさととまひろがそうなんですけど、阪元監督の作品って、セリフっぽくない言い回しで、キャラクターがしゃべるじゃないですか。 私は他の出演作品ではハキハキしゃべる系の役が多いから、阪元監督作品の空気感を味わえることを楽しみにしていました。
――本当に、台本があるんだよね?と考えてしまうほどリアルな空気感が素敵でした。
平:監督が共同で脚本も書かれているので、台本を作る前から集まって、私たちが言いやすいようにセリフを変えてくださったんです。冒頭の天丼を食べているシーンなんてもう何十回と言い方を変えています。 ライブハウスでの待ち時間、バンドメンバーが言うセリフは、本読みのときに、「なんか最近面白いことありました?」とか「バイト時代の経験談とかあります?」って監督が聞いていて、彼らの実体験をセリフにしているんですよ。
だからセリフがすごくリアルで、私たちも現場でも会話しやすかった。その上で段取りもちゃんと細かく丁寧にやってくださるので、すごく安心出来る現場なんです。キャストもスタッフさんも、みんなで一緒に良いものを目指して、物作りしているっていう感覚がありました。
久保:監督ご自身が本当に楽しそうにされるんですよ。カットをかける、もうその声が笑っている。細かい指示というより、感覚的なお話をされるんですけど、それが分かりやすいんです。こちらも演じていてめちゃくちゃ楽しかったですし、どれだけ監督を楽しませられるか、笑わせられるか、みたいな気持ちにもなりましたね。
――ご自身が演じた役柄への印象はいかがですか?
平:ルカと入巣って正反対な性格だったりするけど、共通して自分に自信が無いんですよね。入巣は、やりたいことが見つからなくて必死にもがいているけど、すごく母性がある。ルカも入巣をすごく信頼しているし、心の拠り所にしていて、どこかしらお母さんみたいに包み込んでくれる安心感みたいなものを感じていると思う。入巣の魅力は母性ですね!そしてしーちゃん自身も母性があるから、それが入巣に反映されていると思います。
久保:入巣は将来について迷っているけど、先輩はちゃんと自分の中にプロミュージシャンになるという大きい夢があって、それに向けて努力している。 ルカ先輩の姿を女子寮の部屋で見ている感覚が、たいちゃんが撮影中に「今日この後、歌の練習しなきゃいけないんだよね」って言っている姿とすごく重なって見えました。入巣に無いものを先輩は全部持っていて、そして私に無いものもたいちゃんが全部持っていたので、相乗効果で、そこがすごく魅力的だなと思って見つめていました。
平:歌やギターの練習は苦労だらけでした。「今日スタジオ入って練習します」とか、本当にバンドマンみたいなことを言って、撮影に入る1カ月前から、ギターの練習をしたりレコーディングしたり、金髪にするのも全部初めての挑戦で。 ギターも触ったことないし、コードも読めないし、手から血が出るし、もう分かんないよ!って思いながらも、がむしゃらに取り組んでいました。
久保:原作で入巣が先輩のライブを見て、「なんか遠い」って言うんですけど、ライブシーンを撮っているとき、まさにその感覚でした。たいちゃんが、カッコ良すぎて…。
平:完成した作品を観たら楽曲『脳内ノイズ』をとても長く使ってくださっていて驚きました。ぜひ映画館の音響で、あの音楽を楽しんでいただきたいです。
――入巣とルカになれた瞬間、みたいなものはありますか?
久保:女子寮のシーンを頭に一気に撮ったのですが、それが大きかったと思います。
平:あの狭い空間にいたら仲良くなる(笑)。セッティング中も、2人でずっとベッドにいてね。
久保:体育座りしてずっと会話していたね。最初の頃は「好きなアーティストとかいるんですか?」みたいな会話だったのに、途中からお互いのヨレヨレの靴下で遊び出して (笑)。
平:そこで生まれた空気感があったから、アドリブみたいなものがいっぱいあります。現場で起こったハプニングがそのまま映画本編で使われていたりします。2人で雑誌を見ているとき、私がシェイクを飲んでいるんですけど、それを倒しちゃって中身をぶちまけちゃったんです。とっさにしーちゃんが「何やってんすか? 先輩」ってうまくフォローしてくれて。
久保:私がふきんを取り行ってね。その時はなぜか焦りがなかったんですよ。もう入巣としていられたので、そのままの感情で続けられましたね。
平:ちゃんと入巣とルカでいられたんだよね。で、終わった後に、「すいません!」って2人で美術さんに謝って(笑)。あと酔っ払っているシーンは、一応、台本上のセリフはあるけど、それは実際の2割くらいなんです。予告でも使われていると2人で歩いているバックショットとか、吐いているシーンとか。酔っ払いシーンは、ほぼ台本はないです。
久保:段取り確認でメニューを見て「何頼みますか?」から始まって。本当に居酒屋に飲みに来ている感じで。
平:私は「え、しーちゃんすごい酔うじゃん。」って思って見ていて(笑)。ほっぺも赤くなってくるし、その姿が可愛くて可愛くて。入巣が酔ったらこんな感じなんだろうなってリアルに感じましたね。
久保:私も完成した作品を観て本当に酔ってたのかな?ってぐらい(笑)。すごく楽しかった。
――お2人は10代からお仕事をされているので、本作の様なだらっとしたモラトリアム期間は無かったと思うのですが、演じられていかがでしたか?
久保:大学生活の経験がないので、お休みのたびに地元に帰って、大学生の友達と一緒にカラオケへ行ってみたり、どんな心境なのか聞いてみたり、自分が経験できなかったことを補うようにしてみました。 一番仲のいい地元の友達が本当に入巣みたいで、就職活動とかで履歴書を送るときも「私ってどんな人? 自分では分かんないから教えて」みたいに聞いてくれるんです。撮影前は、その子と長い時間を過ごして役作りの参考にしていました。
平:私もこういうだらっとした時間は経験が無いのですが、ルカの気持ちは分かりますし、この業界にいたらみんな分かると思うんです。“駄サイクル”の話とか。ルカがもがいていることも、自分でセリフを言いながらも自分にも刺さるし。撮影までにギターの練習の時間があったからこそ、上手く出来ない焦りとか、よりルカの気持ちに寄り添って演じられていたと思います。


――素敵なお話をありがとうございます。お2人にとって、入巣とルカの様な唯一無二な存在っていらっしゃいますか?
平・久保:(お互いを見ながら)
平:なになに?
久保:もしかして一緒かもしれない? 私はたいちゃんです。インタビューだから言っているとかではなくて、本当に。
平:私も!そして入巣とルカの役柄だったからこんなに一気に仲良くなれたんだと思う。
久保:運命的な出会いだったと思っていて、感謝しています。
平:普段からよく会っていて、多分もう撮影日数を超えているよね?クランクアップして何時間後かに「会いたい」って。
久保:寂しすぎて無理だった…。
――物語の続きがどうなっていくかは私もすごく気になっているところではあるのですが、久保さんと平さんがいてくれることで、この世界線の入巣とルカが存在している感覚になって嬉しいです。
久保:嬉しいです。
平:そうですよね、この2人の入巣とルカはずっと続いていきますから。
――本当に素敵な作品とお話をありがとうございました!
撮影/MOTOISHIDUKA
平さん/スタイリスト:Lim Lean Lee ヘアメイク:池上豪(NICOLASHKA)
久保さん/スタイリスト:鬼束香奈子 ヘアメイク: 宇藤梨沙
『ネムルバカ』
新宿ピカデリーほか全国公開中
監督:阪元裕吾
出演:久保史緒里(乃木坂46)、平祐奈
綱啓永、樋口幸平/兎(ロングコートダディ)
儀間陽柄(the dadadadys)、高尾悠希、長谷川大
志田こはく、伊能昌幸、山下徳久/水澤紳吾
吉沢悠
配給:ポニーキャニオン
©石黒正数・徳間書店/映画『ネムルバカ』製作委員会

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