老後資金の準備不足に対応できる?リースバックとリバースモーゲージの違いを解説

老後資金の準備不足に対応できる?リースバックとリバースモーゲージの違いを解説

And Do ホールディングスが、50歳以上で持ち家(787人)、賃貸(169人)に居住している人を対象に、老後の不安や住居、老後資金対策などに関する「第3回老後の住まいとお金に関する調査」を実施した。老後の生活資金に対する不安も高いようだが、自宅をキャッシュ化できる「リースバック」や「リバースモーゲージ」の認知度はおおむね2割程度という結果だった。詳しく見ていこう。

【今週の住活トピック】
「第3回老後の住まいとお金に関する調査」結果を公表/And Doホールディングス

「老後に不安あり」は、持ち家層79.2%、賃貸層85.8%

まず、「老後に不安を感じる(感じた)か」を聞いたところ、持ち家層の79.2%、賃貸層の85.8%(不安を感じる+少し不安を感じるの合計)が老後に不安を感じていた。賃貸層の方が不安を感じる人が多いという結果だ。

さらに、老後に不安を感じる人を対象に、「どのようなことに不安を感じるか」を聞くと、「自身の健康面」(持ち家77.2%・賃貸75.2%)、「老後の生活資金」(持ち家71.4%・賃貸84.8%)、「介護の心配」(持ち家59.9%・賃貸46.9%)が上位に挙がった。ただし、賃貸層では、「老後に生活する場所・地域」(44.1%)についても、不安を感じるという回答が多い。

あなたの老後について、どのようなことに不安を感じますか

出典:And Do ホールディングス「第3回老後の住まいとお金に関する調査」(2024年9月調査)

老後資金はいくらあればいい?準備不足が目立つ結果に

次に、「一人あたりの老後資金はいくらぐらいあれば大丈夫だと思うか」を聞いたところ、持ち家層は2000万円台が23.8%で最多、賃貸層は1000万円台が18.9%で最多(「分からない」を除く)だった。これに対して、「現在、準備できている一人あたりの老後資金」を聞くと、持ち家層も賃貸層も、「1000万円未満」が最多となった。つまり、想定している老後資金の準備がまだできていないという実態がうかがえる結果だ。

一人あたりの老後資金はいくらぐらいあれば大丈夫だと思うか

出典:And Do ホールディングス「第3回老後の住まいとお金に関する調査」(2024年9月調査)

持ち家層の認知度は「リースバック」22.1%、「リバースモーゲージ」20.0%

そして、全員に「老後資金の対策(老後資金づくり)として知っているもの」を聞いたところ、「貯蓄」(持ち家75.8%・賃貸58.6%)、「投資・資産運用」、(持ち家53.3%・賃貸45.0%)「退職金」(持ち家50.1%・賃貸33.1%)が上位に挙がった。いずれも、賃貸層よりも持ち家層の方が認知度は高かった。

「リースバック」と「リバースモーゲージ」については、「リースバック」(持ち家22.1%・賃貸14.2%)、「リバースモーゲージ」(持ち家20.0%・賃貸13.0%)となり、自宅をキャッシュ化できる仕組みについては、やはり持ち家層の方が高い結果となった。

ただし、同じ持ち家層でも、東京都と大阪府では、認知度に違いが見られる。東京都の認知度は「リースバック」47.6%、「リバースモーゲージ」45.8%、大阪府の認知度は「リースバック」52.2%、「リバースモーゲージ」は57.9%と、どちらも持ち家の全国平均を大きく上回っている。

老後資金の対策(老後資金づくり)として知っているもの

出典:And Do ホールディングス「第3回老後の住まいとお金に関する調査」(2024年9月調査)

これについて、And Do ホールディングスでは、「総じて住宅・土地の流動性が高い」ことから自宅の活用を検討したり、プロモーション活動が進んだりしたことで「認知度が高まったことが推測される」と見ている。

では、リースバックやリバースモーゲージとはどういった仕組みなのか、説明していこう。

「リースバック」とは? メリット・デメリットは?

リースバックとは、正式には“sale and leaseback”、つまり賃貸借契約付き売却のことをいう。対象を持ち家に限定すると、リースバックは、所有する自宅を第三者(不動産会社や投資家など)に売却し、売却先と賃貸借契約を結んで、そのまま自宅に住み続ける仕組みとなる。

また、リースバックした自宅については「住み続ける」場合のほかにも、一定期間賃借人として住み続けた後で「退去する」場合、現在または将来に「買い戻す」場合もある。なお、売却先によっては、「買い戻す」ことができないケースもあるので、事前に確認が必要だ。

リースバックのメリットは、「売却代金としてまとまった額を手にできる」、「売却しても自宅に住み続けられる」、「売却活動がないので、売却したことを近隣に知られない」などがある。その半面、自宅ではなく賃貸となるので、賃料を払う、修繕の際に大家の許諾を得るなどの「賃貸ルールを守る」必要がある。

注意したいのは、信頼できる売却先ときちんとした契約を交わすことだ。売却先が将来立ち退きを求めたり、別の第三者に転売してしまったりして、「話が違う」ということのないように、あらかじめ細かい点まで書面で確認が必要だ。

また、売却先も収益が目的となるからには、「普通に売るよりは売却額は低く」、「普通に借りるよりは賃料は高く」、「買い戻し額は売却額より高く」なる可能性が高いことも留意したい。

「リバースモーゲージ」とは?メリット・デメリットは?

リバースモーゲージを直訳すると、「逆抵当融資」となる。持ち家を担保にお金を借りる(=抵当融資)点は、通常の住宅ローンと同じだが、お金を一括して受け取って利息だけを返し続けたり、お金を年金のように分割して受け取ったりして、最終的には死亡時に持ち家を売却して完済するのが、リバースモーゲージだ。

リバースモーゲージのメリットは、持ち家を相続で残すことはできないが、持ち家を所有し続けることができることだ。ただし、リバースモーゲージには3つのリスクがある。「金利上昇」、「不動産価格の下落」、「長生き」の3つだ。

借りている間に金利が上昇したり、不動産価格が下落したり、借りた人が想定以上に長生きしたりすると、死亡時に売却した代金よりローンの残債のほうが多くなる可能性が生じる。この場合に、相続人が残債を一括返済する「リコース型」と、売却代金で清算されて相続人に請求が生じない「ノンリコース型」がある。どちらか選べる場合と選べない場合があるので、こうした点にも留意したい。

なお、途中で借りた額を一括返済して契約を終了させることもできるので、一時的にまとまった額が必要という場合も選択肢になる。

それぞれの仕組みは、どんな場合に向いている?

さて、確実に、自宅に長く住み続けたいのなら「リバースモーゲージ」がよいだろう。「リースバック」で住み続けられると言っても、一般的には「定期借家」による賃貸借契約になるので、定めた期間が来たら賃貸借契約は終了するのが原則だ。契約終了時に定期借家を再契約することは可能なので、希望する期間だけ再契約を繰り返すことで住み続けられる場合もあるが、この点は契約内容による。

したがって、「リースバック」を老後資金に活用するなら、高齢者施設に入居するまでの間で、入居金の準備として売却し、実際に入居するまでは自宅に住み続け、施設への入居時に自宅を退去するといった方法が効果的かもしれない。

また、「リバースモーゲージ」は、死亡時などに相続人がローンを一括返済する仕組みなので、60歳以上などシニア層に限定して自宅を現金化するために利用されることが多い。対象となる自宅の条件もかなり厳しく、マンションでは対象にならないケースも多い。

一方、「リースバック」は、売却してしまうので、年齢制限なども特にない。住宅ローンが残っている場合は、金融機関の抵当権がはずせるように、売却代金が住宅ローンの残高を上回ることが必要だが、住宅に厳しい条件はない。

いずれの場合も持ち家に住みながら現金を手にできる方法だが、どんな住宅でも利用できるわけではない。取り扱う機関もまだ少なく、サービスの内容もそれぞれで異なるため、利用する際には契約条件などを細かく調べる必要がある。

とはいえ、不安を感じる老後の生活資金として、自宅を活用して現金化できる方法があるということは、覚えておくとよいだろう。

●関連サイト
And Doホールディングス「第3回老後の住まいとお金に関する調査」

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