車になれなかった素材が“傷が味”のファッションアイテムに 豊島株式会社・トヨタ・アーバンリサーチが連携
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創業天保12年。繊維のスペシャリストとして原料から製品まで取り扱い、培った商材知識を基にしたビジネス展開&オリジナルブランド開発を行う「豊島株式会社」が、展示会「2025AWトヨコレ」を開催。第6回「サステナブルファッションセミナー」を行いました。
豊島株式会社、トヨタ自動車株式会社、株式会社アーバンリサーチが連携し、業種を超えてアップサイクルの普及に取り組んでいます。
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トヨタ自動車株式会社新事業企画部事業開発室主幹・中村慶至氏は、トヨタアップサイクルの取り組みについて「車の製造過程では傷やシワがある本革の端材、部品など、車を目指したが車になれなかった素材が必ず出てきてしまいます。それらが廃棄されCO2を排出しているのが現状です。廃棄物を少しでも循環させていくために、ものづくりの業界と連携し、価値あるものに変えていきたい」と説明。
「いつ・どのくらい・どんなサイズが出てくるかわからない素材を回収し、モノづくりできるまで整える非効率との戦いと、2廃材を使って消費者が魅力を感じてくださるような商品を生み出すデザイン力が難しい点です。今後はコラボレーションを増やして、業界を超えて広げていきたいです」と中村氏。
株式会社アーバンリサーチの執行役員・萩原直樹氏は、Clothing Innovation(衣料資源の有効活用)・Clean Earth(地球環境負荷の軽減)・Community Building(コミュニティの形成)の“3C”を掲げ、廃棄衣料アップサイクル「commpost」を開始。衣料品の廃棄と就労困難者の雇用問題を同時に解決することを目指しています。
店舗で衣料品を回収または生産過程で販売できない衣料品を収集。廃棄衣料は複数の色が混在しているため、就労困難者の施設で色分けを行います。デザインは株式会社アーバンリサーチが担当。主力商品の「MULTIPURPOSE BAG」はいまだに好評です。EXPO 2025 大阪・関西万博で物販の店舗を出店します。
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トヨタ自動車が全体コンセプトの企画と素材の提供し、製作基盤を豊島株式会社が整え、デザインを株式会社アーバンリサーチが担当しているアイテムも紹介。これまでの協働では、アパレルで自動車業界の廃材が使われていることに注目度が高かったとのこと。異業種連携のメリットについて問われると「自分たちでは出てこない視点に気が付くことができます。レクサス等で使われている本革の端材を使ったペンケースには傷やシワがついていますが、その傷やシワを個性として受け入れられています」と中村氏。
サステナブルでカッコいいアイテムがどんどん増えていきそうで期待が高まります。
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