いま見直したい、おうちのセキュリティ。住宅設備のプロ『LIXIL』が考える防犯対策を見に行ってみた[後編]
Photographed by Kaoru Mochida
住まいの防犯対策というと、まずは玄関の鍵を強化することを考える方が多いのではないでしょうか。でも意外なことに、住宅への侵入ルートの約5割は「窓」から。しかも「これで安心」と思い込んでいた設備が、実は役に立っていなかった!というケースも少なくないのです。
玄関ドアの防犯強化策をご紹介した前回に続き、今回は窓の対策に注目。最新の防犯アイテムについて、LIXIL HOUSING TECHNOLOGY サッシ・ドア事業部の柳通さんに、LIXILショールーム東京で詳しく解説していただきました。
いま見直したい、おうちのセキュリティ。住宅設備のプロ『LIXIL』が考える防犯対策を見に行ってみた[前編] – ROOMIE(ルーミー) |
「網入りガラス」じゃ防犯にならないの?
前編でお伝えしたように、住まいを狙う窃盗犯の5割以上は「窓」から侵入しています。とりわけ庭やベランダに通じる窓は侵入されやすいため、窓の防犯対策は必須です。
ところが柳通さんによると、窓の防犯に関しては“ある誤解”が多く見られるそう。
それは、「網入りガラス(ワイヤーガラス)は防犯機能がある」という思い込みです。確かに一見頑丈そうですが、あのワイヤーは切れやすく、破壊を防ぐほどの強度はないんです(柳通さん、以下同)
網入りガラスのワイヤーは、火災の熱でガラスが割れてしまう際に破片を飛び散らせないためのもの。ガラスの強度自体は普通のガラスと変わらないといいます。
都心部では防火地域の規制で、網入りガラスを使わなければならない場合もあります。でも、防犯対策としては、これでは不十分。窓の防犯性能を高めるには、ガラスを強化するか、窓そのものの防犯性能を上げるか。この2つの方法がまず挙げられます
衝撃テストで確認!「安全合わせガラス」の実力
柳通さんが最初に案内してくれたのは、防犯ガラスのコーナー。「安全合わせ複層ガラス」と呼ばれるガラスは、普通のガラスと見た目はそっくりなのに、性能はまったく違うのだそう。
2枚のガラスの間に耐久性の高い特殊なフィルムを挟むことで、衝撃にとても強くなっているのが特徴です。
展示されていたデモンストレーションで興味深かったのは、重いハンマーでの衝撃実験。
一般的な単板ガラスなら大きな穴が開いてしまうところ、防犯合わせ複層ガラスはヒビが入っただけ。フィルムが衝撃を分散してくれるので、強力な力を加えても貫通することはありません。
内窓か、取替窓か。2重ロックで防犯性能アップ
窓の防犯対策、もう一つの選択肢はガラスではなく窓そのものを強化する方法。内窓を付け足すか、窓を新しいものに取り替えるか、どちらかを選べます。
当社の内窓「内窓インプラス」は、今ある窓の内側にもう1枚窓を設置するシステムです。窓が2枚になることで、外から見ても抑止力になります。それに、外窓と内窓それぞれにロックが付くので、2重のセキュリティが確保できますよ
「内窓インプラス」は断熱・防音効果も優れています。ショールームのデモンストレーションでその性能を確認してみると、騒音がみるみる小さくなってびっくり! ※マイナス40dB(屋外の騒音を約半減させる)の防音性能があるそうです。
※遮音性能は、JISで定められた方法により実験室で測定した測定値です。実際の建築物の現場で測定したとき、実験とは音場が異なるので、それぞれの測定値に差異が生じます。
一方、窓を新しく取り替えるなら、古くなった窓を取り外し、既存の窓枠の上から新しく性能の高い窓を取り付けるかんたんリフォーム「取替窓リプラス」がおすすめだそう。
クレセント錠とサブロックを標準装備。2つのロックで、より確実な防犯性能を発揮します。「取替窓リプラス」は、目立たない位置に設置されることが多い浴室の窓にも使えます。古い窓枠を活かしながら断熱窓に取り替えられるので、工事もスピーディー。
一見、効果が薄いように思えるサブロックですが、玄関以上に狙われる窓だからこそ、メインの鍵を施錠し忘れてしまったときのリスクは大きなものに。サブロックのおかげで侵入を防げた、というパターンは想像以上に多いそうです。
注文が殺到する面格子、人気の理由は?
ここまで窓のリフォームについて見てきましたが、「今ある窓はそのままで防犯対策をしたい」という方も多いはず。
そんなときにぴったりなのが「面格子」。現在、この面格子が大人気で、2024年の注文数はなんと前年の2倍以上に! なかには生産が追いつかない商品も出ているといいます。
面格子は防犯対策の入門編として最適なんです。特に「壁付け面格子」なら、後付けで簡単に設置できます。最短60分で工事も完了。侵入までの時間が長くなるので、窃盗犯から狙われにくくなります
面格子はシャッターや雨戸のない小窓、浴室やトイレの窓にも適しています。
静音化で使いやすく進化した電動シャッター
続いて案内されたのは、窓の防犯性能をより高める「シャッター」のコーナー。その効果は絶大で、警察のデータによると、※シャッターが設置されている窓からの侵入は全体の0.02%にとどまるそうです。
※警察庁公表データ「18 侵入窃盗発生場所別 侵入口・侵入手段別 認知件数」より試算(令和元年~令和3年)
シャッターがあるだけで、窃盗犯はとても敬遠します。防犯性は非常に高い存在なのですが、以前は設置に関する課題もよく聞きました。理由は「ガラガラ」というあの大きな作動音。
朝早くシャッターを開けるとご近所迷惑になるとか、音を立てて開けたときに通行人と目が合うのが苦手、とおっしゃる方も
手動式のシャッターは下から押されて金属パーツ同士がぶつかるため大きな音が出ていました。しかし電動式なら、上部のモーターで巻き上げる仕組みなので、金属パーツのぶつかりが軽減され驚くほど静かです。
しかも最新型の採風タイプは光や風も上手に取り入れられる設計に。スラットと呼ばれる羽の角度を調整できるので、シャッターを閉めた状態でも室内の快適さを保つことができるんです。
設置されているだけで高い防犯性を発揮するシャッター。家と家との距離が近い都心部では最初から設置を諦めてしまいそうになりますが、こうした最新の技術によってデメリットを解消できると知れば、住まいを守るための選択肢に入ってくるはず。
スマホで24時間見守る、最新IoTの実力
防犯設備の最新トレンドとして、IoT技術の活用が注目を集めています。LIXILが展開する「Life Assist2」システムは、インターネット経由でアプリと対応した住宅設備とつなぐだけでスマートホームに変身。外出先からシャッターや照明を操作して、家に人がいるように見せることも可能です。
さらに、オプションシステムの「FamiLock Link」を導入すれば「Life Assist2」と玄関ドアを簡単につなげるため、玄関ドアの現在の施錠状態を確認でできたり、締め忘れた鍵を遠隔地から施錠したりすることができます。
FamiLock Linkはコンセントに差すだけで簡単に後付けでき、追加の電気工事も不要とのこと。子どもや高齢の方の外出・帰宅を確認でき、一時的に第三者がドアを開け閉めできる”ゲストキー機能”も便利。介護スタッフやベビーシッターに鍵を渡す必要がないので、防犯面でも安心です。
2025年4月には、300万画素の高性能防犯カメラも登場。従来の防犯カメラと比べて大きく進化し、人物追尾機能や夜間でもクリアな撮影が可能なナイトビジョン機能を搭載。画像データはリモートでスマートフォンにダウンロードできるので、SDカードの容量を気にする必要もありません。
カメラを通じて会話もできるので、離れた場所から来訪者に応対することも可能だそうです。
進化する防犯、これからの暮らし
単なる「備え」だった防犯設備は今、「快適な暮らしをつくるアイテムのひとつ」へと進化しています。面格子やシャッターといった物理的な防犯から、スマートフォンで操作できる便利な機能まで、選択肢は広がるばかりです。
自分らしい暮らしに合わせて、最適な防犯設備を選んでいく。それが、これからの防犯対策の新しいカタチなのかもしれません。
記事内の一部画像提供:株式会社LIXIL
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