【埼玉県所沢市】山本高之「どんなじごくへいくのかな」展開催。地獄を通じて自身を見つめ直す


角川文化振興財団は、「ところざわサクラタウン」内「角川武蔵野ミュージアム」の4Fにある「エディット アンド アートギャラリー」にて、2月8日(土)~5月6日(火)の期間、『山本高之「どんなじごくへいくのかな」展』を開催する。

©角川武蔵野ミュージアム

現代美術家・山本高之氏が、子どもたちの想像力とともにユニークな地獄をつくる取り組みだ。

小学校の教員免許を持つ山本氏


山本高之氏は、小学校の教員免許を持ち、その経験をもとに、子どもたちとワークショップ型の活動を行いながら「なにかを知る」という体験を探求する作家、現代美術家。

コチ=ムジリス・ビエンナーレ(インド、2016年)に参加し、国際芸術祭あいち(2022年)ではラーニング・キュレーターを務めた。

子どもたちが考えた「じごく」

同展は、子どもたちが考え、生みだした「じごく」を通じて、表現することの意味を考える内容だ。

「因果応報」という言葉は、すべての出来事は何らかの原因によって生じた結果であると考える仏教の教え(因果律)からきている。それゆえ死者が地獄へと堕ちるのも、現世での悪い行いの結果ということになるだろう。

山本高之氏の《どんなじごくへいくのかな》は、江戸時代に流行した「地獄絵《熊野観心十界曼荼羅》」の鑑賞を通して、子どもたちにそうした考え方を伝え、自分の周りにいる地獄へ行くべき人、そしてその人が行くべき地獄について考えさせることから生まれた作品。

12人の子どもたちが取り組んだ12の地獄の造形と、その地獄について子どもたち自身が語る映像で構成されている。

「えーっ、そんなことで地獄へ行っちゃうの?」と思わず笑ってしまいそうなユーモア溢れる作品としての側面も持っているが、大人から見ればたわいのない出来事が、子どもたちにとってはとても大きなことであることを体感し、子どもの世界への理解を促す作品でもある。

自分のネガティブな感情を見つめる

また、自分の中にあるどうしようもないネガティブな感情が、表現を通して昇華し、別のものへと変化していく「表現行為の意味」について考えさせてもくれる。

子どもたちは、山本高之氏との対話を通して、自分が抱いた不快感の原因を掘り下げ、堕ちるべき地獄の有り様を考えることを通し、自分自身の感情を別の次元へと飛躍させている。

自らの感情を出発点としながら、そこから創造のプロセスを経ることによって、感情が別のものへと生まれ変わる可能性を見せてくれる同作品は、現代社会における創造的表現の意味や価値について考えさせてくれるだろう。

地獄というあえてこわいものを通じて、自分自身を見直す。子どもにとっても、大人にとっても貴重な体験になりそうだ。

『山本高之「どんなじごくへいくのかな」展』開催概要
会場:角川武蔵野ミュージアム 4F「エディット アンド アートギャラリー」
住所:埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3 ところざわサクラタウン内
会期:2月8日(土)~5月6日(火)
休館日:火曜日(2月11日(火)、4月29日(火)、5月6日(火)は開館)
営業時間:10:00~18:00 ※最終入館は17:30
チケット料金:一般(大学生以上)1,400円、中高生1,200円、小学生1,000円、未就学児無料

展覧会公式サイト:https://kadcul.com/event/214
チケットオンライン購入:https://tix.kadcul.com/

※展示替えなどにより、日程によっては一部エリアに入場できない場合がある
※休館日・開館時間は変更となる場合がある
※展示内容は変更または中止になる場合がある

(鈴木 京)

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