【青森県旧常盤村(藤崎町)】小さな暮らしを訪れよう

日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。

今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。

「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。

今回は、青森県旧常盤村(藤崎町)を写真とともに紹介する。

Vol.387/青森県旧常盤村(藤崎町)

青森市の旧浪岡町から、藤崎町の旧常盤村へ向かう。といっても、津軽平野の南東部に位置する旧浪岡町は旧常盤村寄りに市街地があるため、互いの距離は非常に近い。道なりに進んでいくと、スッと旧常盤村へ入った。

市街地へ入るまでは、やはり田んぼの景色が続き、田んぼの間に建物が建っている。いつの間にか、青々とした稲も背を高く伸ばしていることにも気付かされる。

その後、常磐出張所のある市街地へ入ると、静かながらも住宅地のまちなみが現れた。車はあちこちで停まっているが、出歩いている人とはさほどすれ違わない。ひっそり流れる時間の中に、急にお邪魔させてもらったような気持ちになった。

おそらく米などを保管する組合倉庫には、うっすらと「常盤村」の文字が残っていた。現在は藤崎町であり、そのアイデンティティの度合いを知ることはできないものの、常磐という茨城方面に多い地名が青森にあることも不思議に感じられる。

北常盤駅の前には、ひまわりが花を咲かせていた。北国の短い夏だとしても、目一杯の生き方を全うすることを、植物は決して忘れていない。

そして、西の方角には岩木山が姿を見せてくれた。淡い光でぼんやりした山影だが、遠くからでもはっきりと迫力があり、山と目が合っているかのように感じられる。一日一日変化する岩木山も見てみたいなあ、と体が自然に喜んでいるのであった。

（仁科勝介）