「郷に入っては郷に従え」とはどんな意味?

処世術についてのことわざ、それが「郷に入っては郷に従え」です。
この言葉は人とうまく付き合っていくために知っておきたいことを教えてくれる言葉です。

しかし、そもそもこの言葉はどのような意味を持つのでしょうか?
ここでは「郷に入っては郷に従え」がどのような言葉なのか解説します。

「郷に入っては郷に従え」とは

ここでは「郷に入っては郷に従え」の意味を解説します。

「郷に入っては郷に従え」の意味

「郷に入っては郷に従え」は、その土地に住むためにはその土地の習慣や風習に従うべきであるということを例えたことわざです。

現代では特定の土地に限らず、会社や学校など特定の社会集団に入ったらその集団のルールやマナーに合った言動をとるべきであるということを意味します。

つまり「郷に入っては郷に従え」は世の中の処世術を表現したことわざなのです。

ポイントとなる「入っては」の読み方

「郷に入っては郷に従え」は「郷に入りては郷に従え」が音便化されたものです。

そのため、一般的に「ごうに“いっては”ごうにしたがえ」と読みます。
基本的に「ごうに“はいっては”ごうにしたがえ」とは読まないので注意しましょう。

漢字表記を「郷に行っては郷に従え」とするのも誤りとなります。
あくまでも正しくは「郷に入っては郷に従え」となると覚えておいてください。

「郷に入っては郷に従え」の由来

ここからは「郷に入っては郷に従え」の由来を解説します。

「童子教」から来たとする説

「郷に入っては郷に従え」は、中世日本の初等教育用書籍『童子教』が由来となっているという説があります。

実際に『童子教』には「郷に入っては郷に従え」の原型となった『入郷而従郷、入俗而随俗』との表記があります。

転じて「郷に入っては郷に従え」という言葉が広まったそうです。

「入郷随俗」から来たとする説

「郷に入っては郷に従え」は、古代中国のことわざ「入郷随俗」が由来となっているという説もあります。

中国禅宗の歴史書『五灯会元』には「且道入郷隨俗一句作麼生道」という言葉があり、この言葉が「郷に入っては郷に従え」の語源となったそうです。

さらに時代を遡ると荘子(荘周)の著書とされる『荘子外篇・山木』にも「入其俗従其令」という言葉があるとされており、これが由来となった説もあります。

「郷に入っては郷に従え」の類義語

ここからは「郷に入っては郷に従え」の類義語を紹介します。

所の法には矢は立たぬ

「所の法には矢は立たぬ」は、自分の意に沿わないことであってもその土地の習慣や風習には従わねばならないということを意味することわざです。

その土地で定められていることは仮に不条理だと思ってもそこにいる限りは従うしかないものだということも指します。

その点が「郷に入っては郷に従え」に似ているのではないでしょうか。

人の踊る時は踊れ

「人の踊る時は踊れ」は、その土地の習慣や風習には素直に従うべきであるということを例えたことわざです。

言葉自体は率先する必要こそないものの、みんなで何かをしようとする際には人に従うのが一番穏便に済むことを意味します。
要は人が踊っている時には自分も踊った方が良いということを指す言葉です。

その点が「郷に入っては郷に従え」に通ずるのではないでしょうか。

まとめ

「郷に入っては郷に従え」はその土地ではその土地の決まりに従うべきであるということを表現したことわざです。

例えば、外国に行くのなら外国の決まりを守らねばなりません。
海外で日本の決まりを押し付けたところで理解されません。
むしろトラブルになってしまうことでしょう。

逆に日本に外国人が来た場合は日本の決まりを守る必要があります。
このようにその土地を訪れるならその土地の決まりに従うべきであることを表現したのが「郷に入っては郷に従え」です。

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