「不易流行」とはどんな意味?その由来には俳句が関係している!?その用い方や「温故知新」との違いとは

俳句の心得を表現した言葉、それが「不易流行」です。
しかし、現代ではこの四字熟語は別の意味で使用されています。

今回はそんな「不易流行」の意味を解説します。

「不易流行」とは

ここでは「不易流行」の意味を解説します。

不易流行の意味

「不易流行」とは古くから伝わる伝統を重んじつつも新しい概念を取り入れることが重要であるという意味の四字熟語です。

「不易流行」と書いて「ふえきりゅうこう」と読みます。
これはもともと松尾芭蕉の俳諧の理念だった言葉です。

彼は「常に変わらない本質的なものを忘れない中にも、新しく変わっていくことを取り入れることは大切だ」と考えていたとされています。

また、そこには新しさを求めて変化を重ねていく流行性こそが不易の本質であるという意味も含まれていたといわれています。

これは現代において俳句や短歌に限らず、あらゆる芸術に通ずる概念でもあるといえるでしょう。

ただし、この理念の解釈には諸説あるので注意が必要です。

不易流行の用い方・例文

「不易流行」は俳諧でも他のことでも「変わらないものを基本にしつつ状況に応じて柔軟に変わっていくべきだ」という戒めとして使用されます。

・例文1:俳句や短歌では不易流行を意識しておきたい
・例文2:仕事も勉強も不易流行を忘れないようにしたい
・例文3:不易流行の精神で何事にもチャレンジすべき

このように「不易流行」は1つのマインドとして使用されます。
特に、変わらないものの中にも変わるものを取り入れていくことが必要であるというニュアンスで使用します。

原則「不易流行」は変わらないものと変わるものの両方を意味する言葉です。

しかし、場面によってはどちらか片方の意味で使用されることもあります。

その点は注意が必要となってくるでしょう。

「温故知新」との違い

「不易流行」は「温故知新」とよく似た表現のように思えます。

確かに「不易流行」も「温故知新」も古いものと新しいもの、その両方が必要であるという考え方となります。

ただし「不易流行」が古いものとは別に新しいものを取り入れることに重きを置いているのに対し、「温故知新」は古いもの中から新しいものを得ることに重きを置いているのです。

両者は一見すると似ていますが、微妙に意味合いが異なるので注意が必要となるでしょう。

「不易流行」の成り立ち

ここからは「不易流行」の成り立ちを解説します。

その由来は「松尾芭蕉」にあり?!

「不易流行」は歌人として知られる松尾芭蕉が説き始めた概念とされます。

1689年の冬頃から説き始めたとされ、今でも俳諧の理念として定着しています。

こうした松尾芭蕉の俳諧の理念は「蕉風俳諧」と呼ばれ、多数の門流にまで浸透しているのが特徴です。

ただし、実際に松尾芭蕉が説いたという例は見つかっていません。
そのため、あくまでもこの考え方は松尾芭蕉本人ではなくその門徒たちによって広められたものと解釈することもできるでしょう。

どちらにせよ「不易流行」は松尾芭蕉に関する四字熟語であることは確かといえそうです。

「不易」と「流行」があらわすもの

では「不易」と「流行」はそれぞれ何を意味するのでしょうか。

不易とは

「不易」はいつまでも変わらないものを意味します。

変わりゆく時代の中にも変わらないものがあります。
それを表現したのが「不易」という熟語です。

流行とは

「流行」は時代などによって変わることを意味します。

変わらない物事の中にも変わってゆくことはあります。
それを表現したのが「流行」という熟語です。

「不易流行」の対義語

ここからは「不易流行」の対義語を紹介します。

一時流行

「一時流行」は社会に応じて変わることを意味する四字熟語です。

「一時流行」と書いて「いちじりゅうこう」と読みます。

これはもともと俳諧の言葉で常に新しさを求め、世の移り変わりに応じて変化を重ねていくことを意味していた言葉です。

その点が「不易流行」とは相反する言葉といえるでしょう。

万代不易

「万代不易」は永遠に変わらないことを意味する四字熟語です。

「万代不易」と書いて「ばんだいふえき」と読みます。

これは「永久不変」「万世不易」とも表現することができ、どれも永遠に変わらないことを意味します。

その点が「不易流行」とは別物といえるのではないでしょうか。

まとめ

「不易流行」は古いものを残しながらも新しいものを取り入れていくべきだという考え方を意味する言葉です。

俳句の世界では新しさを求めて変化を重ねていく流行性こそが不易の本質であるという意味の言葉としても使用されます。

どちらの意味も現代にとって大切なことを教えてくれるので、ぜひ覚えておいてはいかがでしょうか。

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