【宮城県旧本吉町(気仙沼市)】土砂降りの雨に遭うこともある
日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、宮城県旧本吉町(気仙沼市)を写真とともに紹介する。
Vol.330/宮城県旧本吉町(気仙沼市)
南三陸町を抜けて気仙沼市に入った。現在の気仙沼市は旧本吉町、気仙沼市、旧唐桑町と3つのまちが合併している。そして、南三陸町との境界線で「気仙沼市」という看板があったわけだけれど、そこで原付を停めて合羽も着た。見るからに怪しい雲が近づいていたからだ。
といいつつ、なんとかなるんじゃないか、もしかしたら降らないんじゃないか、と期待する気持ちもあった。
旧本吉町の市街地に入る前、大きな橋の上でカブを停める。橋の下は巨大な防波堤ができていた。その頃には小雨も降り始めた。
そして、橋の上を歩くお父さんがいて、少しだけ話をした。
「この橋も(津波が)乗ったんだ」
お父さんはサッとそう教えてくれて、そのまま歩いて行った。橋は十分な高さだと思っていた。ここまで津波がきたのかと。
その後、本吉市街地へ入ったタイミングで、ものすんごい雨が降った。それはもう、雨が意志を持つかのごとく、強く、嵐の中の嵐であった。すでに合羽は着ていたので、合羽で雨を浴びながら歩く。
バイクも屋根のないところに停めていたので、土砂降りが続くなか「道の駅 大谷海岸」へ移動した。そして、道の駅に着くと雨が止んで、嵐が過ぎ去ったのであった。道の駅の目の前には海岸があり、長靴だったので浅瀬まで入ってみる。いつもと視点が異なって楽しい。裸足じゃなくても長靴なら海に入れるんだ、と妙な気づきを得ることもできた。雨のおかげで。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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