<ライブレポート>フレデリックとPerfumeが音楽愛でつながった一夜 「オドループ」コラボも

 フレデリックによる3か月連続イベントの第2弾【UMIMOYASU 2024 MOVE -MAKE A MOVE-】が、10月20日 東京・Zepp Hanedaにて開催された。

 9月にメジャーデビュー10周年を迎えたフレデリック。今回の対バンゲストは、同じく9月にメジャーデビュー20周年を迎えたばかりのPerfumeだ。これまでフェスなどで共演経験はあったものの、対バン形式は今回が初めて。ジャンルは違えど、同じ「ダンスミュージック」を武器にしてきた2組による初のツーマンライブは、音楽とダンスを通じて、愛とリスペクトに溢れた一夜となった。

 先攻のPerfumeは、先行配信中の最新アルバムにも収録されている「ラヴ・クラウド」からライブスタート。ピンク、水色、黄色の照明がキックに合わせて華やかにステージを彩る。セクションが終わるたびにフロアからは興奮交じりの歓声が上がり、その光景を見たメンバーたちも自信に満ちた笑顔を見せた。続く「レーザービーム」では、直線的でキレのあるダンスに合わせ、レーザーライトが会場中を飛び交う。ライブ定番曲「FAKE IT」では、エッジの効いたサウンドが否応なしにバウンスの波を生み出した。

 この日はPerfumeにとって7年ぶりとなるZeppのステージ。「フレデリックが呼んでくれたけん、7年ぶりに立てました!」(あ~ちゃん)と話すと、2Fのバルコニーでライブを見ていたフレデリックのメンバーがお辞儀をし、それに対してPerfumeとファンがお礼を言うというハートフルな場面も。さらに、Zepp名物のドリンクホルダーの話題から「喉が渇くくらい今日は踊らせたいんですけど、みなさん踊る準備できてますか!?」と煽り、「今日はフレデリック仕様に踊らせるセットリストできたので、楽しんで帰りたいと思います!」と意気込んだ。

 ライブ初披露の「IMA IMA IMA」では、シアトリカルな振り付けで摩訶不思議な世界観を表現。「TOKYO GIRL」では、青を基調としたライティングとピンク色の衣装に身を包んだ3人が、水槽とその中にいる魚のようで、しなやかなダンスとともに神秘的な印象をもたらした。そして「マカロニ」は、オレンジ色の照明があたたかな雰囲気を演出するなか、スタンドマイクを用いてパフォーマンス。中盤戦はPerfumeのさまざまな魅力が楽しめるパートとなった。

 ライブ恒例の「P.T.A.のコーナー」では、Zepp Hanedaが平和島ボートレース場の近くということから、ボートレースのCMソングに起用されていたフレデリックの「スパークルダンサー」のダンスを披露。フレデリックファンの心もがっちり掴んだところで、そのまま「Party Maker」へ突入。Perfume屈指のダンス・チューンで、フロアのテンションをさらにブチ上げた。ラストの「チョコレイト・ディスコ」では、オーディエンス全員で「ディスコ!」の大合唱。ステージもフロアも歌って踊って、最高のムードでこの日のライブを締めくくった。ライブ後、あ~ちゃんは「音楽ってこうやってつながれるから楽しいですよね。好きと好きがつながって、好きが二乗になっていったら、ものすごい大きな輪になる。今日は音楽でつながれて嬉しかったです!」と、オーディエンスへ感謝の気持ちを伝えた。

 Perfumeから熱々のバトンを受け取ったフレデリックは、たくさんの“ミュージック・ジャンキー”が集まるであろうこの日のオープニングに「ジャンキー」をセレクト。温まりきったフロアにぴったりなダンサブルな一曲に、会場はワンマンさながらの盛り上がりを見せる。三原健司(Vo.&Gt.)が「あ~ちゃんも言ってましたね。今日を楽しむか最高にするか最低にするかはあなた次第です!」とPerfumeのMCを引用して客席を煽ると、オーディエンスは心赴くまま大歓声とダンスで応えた。

 続いて、クラブ・ミュージックのようにシームレスに楽曲を畳みかけていく<FRDC Remix>パートへ。「フレデリックのダンスミュージックを追求する」をテーマに、フレデリックの楽曲の中でもディスコやハウス寄りのナンバーが立て続けに披露された。緊張感溢れるアレンジに進化した「ナイトステップ」から、ファンキーなカッティングときらびやかシンセがこじゃれた雰囲気を醸し出す「midnight creative drive」へ。アウトロでテンポアップしたかと思えば、Perfumeの「だいじょばない」が挟まれたり、「LIGHT」と「正偽」の間で「チョコレイト・ディスコ」のフレーズがリフレインしたりと、粋な演出もあり。フレデリックらしい形でPerfumeへのリスペクトが表現された。

 クラブライクに攻めた序盤から、今度は「シンセンス」「スパークルダンサー」とバンドサウンドで踊らせる。「スパークルダンサー」のサビは、いつものフレデリックのライブでは左右に手を振りウェーブを作るところ、この日はさきほどP.T.A.のコーナーでPerfumeが披露した、MV準拠の扇ぐように手を前後に振るパターンに。こういった光景の変化も、対バンイベントならではだ。

 「このダンスフロア最高すぎませんか」(健司)という言葉に、じっくりと頷くメンバーたち。続けて、Perfumeが7年ぶりのZeppに対して「(お客さんが)近いね~!」と盛り上がっていたことに対し、「バンド界の常識を教えます。Zeppは近くないです」と断言し、客席からは笑い声が上がった。そして、それほどライブハウス規模で見られるのがレアなPerfumeが、今回自分たちのイベントに出演してくれたことに改めて感謝の気持ちを伝え、「俺たちは俺たちのライブハウスでの音楽の見せ方、楽しませ方があると思ってます」と、自分たちなりの手法でこの日のライブを最高のものにすることを約束した。

 ストレートなロックナンバー「TOGENKYO」と、瑞々しい疾走感が気持ちいい「CYAN」でロックバンドとしてのタフさを提示。一転して「NEON PICNIC」では、シックなミドルテンポのナンバーでゆったりと踊らせ、「ペパーミントガム」では、グルーヴィーなリズムとリバーブたっぷりのボーカルがユニークな浮遊感を生み出した。

 この日二度目のMCでは、三原康司(Ba./Cho.)が芸術大生時代、Perfumeの「マカロニ」をよく聴いていたため、今回リクエストさせてもらったことを告白した。当時からPerfumeのクリエイティブに感銘を受けており、「自分もいつか芸術に関わる仕事でPerfumeと一緒に仕事がしたい」と思っていたそうで、「今日が実現できて本当に嬉しい。みなさんのおかげです」と、感慨深げに話した。また、赤頭隆児(Gt.)はPerfumeファンがメンバーの自己紹介の際に『Perfumeです』を一緒に言うことに「ファンのみんなも含めてPerfumeなんだ」と感動したと言い、「(フレデリックのファンも)自分もフレデリックだと思っていい。みんなメンバーやから。加入おめでと!」と、笑いを誘った。

 終盤戦は「Wake Me Up」でドライブをかけ、高橋武(Dr.)のダイナミックなタムの躍動から「銀河の果てに連れ去って!」へと転がり込む。ストロボの激しい点滅が、フロアのテンションをバチバチに上げていく。その勢いのまま、最新曲「Happiness」で本編はフィニッシュ。不穏さと開放感が合わさった唯一無二のナンバーで、ラストスパートを駆け抜けた。

 アンコールの声援に誘われステージに戻ってきたメンバーたちは、再びPerfumeと対バンできたことの喜びを噛みしめながら「(今日ここにいる全員が)同じものを好きでよかった」(健司)と、音楽への愛を語った。「やる側と聴く側が分かれているだけで、音楽に刺激をもらっていることは同じ。この世の中、面白いものがたくさんあるなかで、今日を共有できたことが嬉しい。自分の人生、音楽を選べてよかったなと思っています」と伝えると、客席からは長い拍手が巻き起こった。

 アンコールは、まだ見ぬ未来への期待を込めて「FUTURE ICE CREAM」と、メジャーデビュー曲である不朽のキラーチューン「オドループ」を投下。最高の盛り上がりに健司も思わず「音楽、最高やんけ!」と叫んだ。間奏で赤頭のギターソロが炸裂し、いよいよラストのサビへ……と思いきや、「本日の主役はフレデリックとあなただけじゃないですよね!?」と、Perfumeの三人がステージに再登場。下手、中央、上手のお立ち台にそれぞれメンバーが立ち、おなじみのダンスをシュールな表情まで完コピした。まさかのコラボレーションに、フロアはこの日一番の爆湧き。<踊ってない夜を知らない 踊ってない夜が気に入らない>の合唱とともに、大興奮に包まれたままライブは終了した。

 フレデリックは、11月20日に最新アルバム『CITRUS CURIO CITY』をリリース。30日には【UMIMOYASU 2024 MOVE】の第3弾も開催される。

Photo:西槇太一

◎公演情報
【UMIMOYASU 2024 MOVE -MAKE A MOVE-】
2024年10月20日(日)
東京・Zepp Haneda(TOKYO)

<セットリスト>
■Perfume
01. ラヴ・クラウド
02. レーザービーム(Album ver.)
03. FAKE IT
04. IMA IMA IMA
05. TOKYO GIRL
06. マカロニ
-P.T.A.のコーナー-
07. Party Maker
08. チョコレイト・ディスコ

■フレデリック
01. ジャンキー
02. FRDC Remix
03. TOGENKYO
04. CYAN
05. NEON PICNIC
06. ペパーミントガム
07. Wake Me Up
08. 銀河の果てに連れ去って!
09. Happiness
《アンコール》
01. FUTURE ICE CREAM
02. オドループ

セットリストプレイリスト(フレデリック):
https://a-sketch-inc.lnk.to/frederic_umimoyasu_make_a_move

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