【オフィシャルレポ】ビバラッシュ、TVアニメ『多数欠』連動のツアーを初めてのホール公演で締めくくる
「皇帝の言うことは……? / 絶対!!!!」を合言葉に、“アゲみ集団・エンターテインメントグループ”を称するビバラッシュが自らの本質を見せるべく、本領を発揮したと言っても過言ではない今回のワンマンツアー。最新シングル「エンペラータイム」がアニメ『多数欠』のオープニングテーマを飾ったことを受けて、作品の内容を基に考案したオリジナル企画をふんだんに交えて回ってきた今回のツアーは、彼らにとって初のホールワンマンという形で締めくくられた。
メンバーが威勢よくステージへ登場すると、るいまるが「『EMPEROR × JUDGMENT』ツアーファイナル、派手に行ってみようか!」と閃光のごとく叫びあげたのも束の間、一変してキャッチーに「ヤッホー!ビバラッシュのライブへようこそ!アゲていこうぜっ♪」と「じょうずに〇〇できるかな」からのスタート。まずは準備運動といった具合に、“ヴィジュアル系のライブとは”という部分をレクリエーション感覚で体感させていく。 会場が朗らかな空気の中に包まれるも、“みんなで作ろう一体感 ライブは超絶楽しいね”と曲中の一節を歌い替えたところがまさしく核心をついていたように、このツアーで目指していたライブの形に対するアティチュードもしっかりと網羅していた。オーディエンスの楽しさを惜しみなく引き出すライブこそビバラッシュの本質であるが、今回のツアーで目指していたのは、さらにワンランク上のライブ感。Dreamer(ファンの総称)はもちろん、“欠民”と呼んでいたアニメをきっかけに興味を持った人など、会場に集まったすべての人と共に一体感を帯びながら楽しさを共有することこそツアーを通して作り上げようとしていた理想の形であった。そのための秘策が、先にも触れた“オリジナル企画”である。
「FAKE OUT」から、足並みを揃えるように突入したのは「エンペラータイム」。心なしかメンバーの表情も引き締まった様子で、ここぞとばかりにロックバンドとしてのワイルドなアプローチを爆発させていった。まさに「エンペラータイム」がオープニングテーマといわんばかりにプレイされたのち、「時間になりました。多数欠を採ります」という今ツアーではお馴染みとなっていたアナウンスが流れだす。これが、“企画”が発動する合図だ。 しかも、各地に表れていた皇帝は偽物で、この日アナウンスをしている者こそが“本物の皇帝”だという。こうして行われた“多数欠”は少数派が勝利するというアニメ「多数欠」のルールにのっとって進行し、《東京都に住んでいるYES or NO》という二択の内NOが少数派により勝利。この結果に従って、東京都に住んでいない人は多数派により敗者となり、「有頂天ラリアット」の演奏中にずっとスクワットを行うという過酷な時間を過ごすことになったのである……。
ビバラッシュの面白味は楽曲でも発揮され、「メン類が大好き」では“麺”から連想されるフリ付けで盛り上がり、“イケメンが…”と繰り返すところでメンバー4人を指さしサインし、“大好き”とユーモアたっぷりに披露。さらに、大阪をモチーフにした「なにしてんねん」ではグリコのポーズも飛び出し、こうした一見ファニーな楽曲でも、実はロックテイストを強烈に繰り出すというギャップも持ち合わせているのが彼ららしいところ。 冬也のベースインが口火を切った「タピってチマチョゴリ」では頭の上で丸を作って飛び跳ねる“タピジャンプ”、さらにメンバー全員がヘッドセットマイクを装着していることを活かして歌声を交えた「シェキラBANG-BANG!!」ではピストルと、楽曲に準えたモチーフをライブのノリに反映させる研ぎ澄まされたセンスで観客をハイテンションへと導いていく。しかし、「ONE」で届けた“大切なもの”に焦点を当てたメッセージや、「俺の気持ち、みんなに届ける」と抜群のコンディションで「キミが好きだ」といった歌ものも欠かすことなくセットリストに組み込んで、感受性豊かな表情を活かしたプレイで魅了するスキルもさすがといえるワンシーンだった。
ここで、入場時に配布された“特権利封筒”に入っている5つの権利の中から、次に演奏される曲の振付を決めることができる《振付権》を発動させ、指定された“挙ヘドバン”でサビを盛り上げた「恋せよシュビドゥバ」では、るいまる自らフロアを練り歩きながら歌う場面も。さらに、「あれれ~?」とステージセット内にあった“特権利封筒”を開けてみると、そこには今までにはなかった《命令権》が! さっそくこの権利を使ってるいまるが座席表から4名を選出してステージに上げるという、もはや普通のライブでは想定できない展開に。 その4名は「踊らされた人生」の冒頭で巨大クラッカーを噴出する特効を任されることとなったのだが、ここからはまさしく「死ぬまで暴れ狂おうぜ!」という言葉のごとくキラーチューンのオンパレードでラストスパートをかける。豪快な音の渦に強靭な一体感でぶつかり合った「神ノミゾ知ル」を通し、ラストは「闇カワ#アゲみゾーン」。 「このステージに俺たちを連れてきてくれて、ありがとうございました!」と、あらゆるきっかけで出会ってくれたことに対する感謝を伝え、その人々をあますことなく「連れってやるよ、アゲみの世界へ!」と意気込み通りに白熱させていった。“哀”の感情など微塵もないのに、目の前に広がる灼熱ぶりになぜかグッと来たのは、“アゲみ”というビバラッシュの専売特許といえる道を極めて辿り着いたサクセスストーリーに感じた感慨深さがあってのことだったのかもしれない。
アンコールでは、とっておきのサプライズとして「多数欠」の原作者・宮川大河先生が登場! さらに、本編中の“本物の皇帝”の正体は宮川先生だったことも判明した。こうして、アンコール1曲目に“特権利封筒”から《選曲権》を駆使して「喰ワズ嫌イ。」で白熱し、「いつだって、君が楽しいと思ったときが青春だ!」と「シワくちゃバンギャルうぇぽん」といったハートフルな楽曲を畳みかけていく。そして、Dreamerたちの幸せを願いながら、まさしくアンセムとも言える「等身大Dreamer」がエンディングを飾ったのだった。 このとき言葉にして伝えていた、人生や世の中の理不尽さの中で生きている人へのエールとなるエンターテインメントをビバラッシュは与え続けていくという決意。これからも幸せを与え、そして与えられ、共存しながら進化の道を辿っていくことだろう。
文:平井綾子
写真:さかもと
ライヴ情報
ビバラッシュ SUMMER ONEMAN TOUR 2024
『EMPEROR×JUDGMENT』ツアーファイナル公演
2024年9月29日(日)TOKYO FMホール
〈セットリスト〉
1. じょうずに〇〇できるかな
2. FAKE OUT
3. エンペラータイム
4. 有頂天ラリアット
5. メン類が大好き
6. なにしてんねん
7. タピってチマチョゴリ
8. シェキラBANG-BANG!!
9. ONE
10. キミが好きだ
11. 恋せよシュビドゥバ
12. 踊らされた人生
13. 神ノミゾ知ル
14. 闇カワ#アゲみゾーン
EN1. 喰ワズ嫌イ。
EN2. シワくちゃバンギャルうぇぽん
EN3. 等身大Dreamer
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