<ライブレポート>Creepy Nuts 1MC1DJ、生身のスキルで老若男女を歌い踊らせた【ロッキン】ひたちなか
Creepy Nutsが、9月23日に茨城・国営ひたち海浜公園にて開催された【ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA】(以下、RIJF)に出演した。
これまでもフェス常連アーティストとして、RIJFをはじめ全国各地のフェス会場を沸かせまくってきたCreepy Nuts。2023年末からはその規模を国外にも広げ、さらに2024年頭には「Bling-Bang-Bang-Born」が爆発的大ヒット……とパワーアップが止まらないふたりだが、ひたちなか〈GRASS STAGE〉への出演は今回が初めて。マイク1本とターンテーブル1台、この日の出演者としては最小の編成で、見渡す限りの観客を歌い踊らせたパワフルなステージだった。
R-指定、DJ松永のふたりがステージ上に揃うと、聴こえてきたのは「ビリケン」のタイトで速いビート。R-指定の「ROCK IN JAPAN、声出せるー!?」との力強い煽りから、湧き上がるようなコールとともに観客が飛び跳ねる。さらに、この日はDJ松永の音抜きがひと際冴えていて、R-指定の超絶技巧のラップがよりはっきり聴こえてくると同時に、原曲とはまた一味違うグルーヴが生まれていた。
定番のコール&レスポンスが大きな声で響き渡った「堕天」、観客の全力ジャンプに煽られてか、R-指定の歌声もいっそう太く聴こえた「2way nice guy」ショートバージョンとキラーチューンを重ね、ここで「改めましてCreepy Nutsです、よろしくお願いします!」と挨拶。そして「豪華なセットもどでかいバンドも背負うことなく、マイクとターンテーブル、この超シンプルな形でやってまいりました。というか、俺たちはどんな会場でもこれだけでずっとやってきました」とR-指定が不敵に笑うと、「サビとか大合唱とかいう場所はあるようでないねん。お前らが気持ちいいと感じた瞬間がフックやし、盛り上がりどころ」と宣言し、流れるような振りで「顔役」へ。曲後半にかけてR-指定のがなりもどんどん増し、それに呼応するように会場のボルテージも加速度的に上がっていく。
そこから息つく間もなくDJ松永のターンテーブル・ルーティンで沸かせると、繰り出されたのは「Bling-Bang-Bang-Born」。〈マジで? “アレ”おま…全部生身で?〉と歌詞を変えてDJ松永を指差し、彼の世界一の技術を讃えるR-指定。今年3月から6月にかけて開催されたワンマンツアーでも行われていたパフォーマンスだが、“誰も口を挟ませない”レベルのふたりのスキルだからこそ光るこの歌詞に、会場も大興奮。たたみ掛けるようなコール&レスポンスも大音量で決まり、それには「俺らのライブを初めて観る人もいっぱいいると思うんです。なのにこの、みなさんの“歌える度”半端ない!」「やってる本人がね、いちばん楽しいんですわ……みなさんがめちゃくちゃ楽しんでくれてるのが伝わってる。それを観て、俺ももっと楽しくなってる」と笑顔が隠せない様子だ。
「いろんなところでライブをしていると、ふと、自分が物心ついた頃から聴いていたようなアーティストと同じステージに立てる日がやってくるわけです。中学校のとき、ラップやりたい!と思ってやり始めた自分に、この光景を見せたいですよ」と、この日共演したサザンオールスターズへの敬愛を語るR-指定を、会場中からのあたたかい拍手が包む。続いた「のびしろ」「かつて天才だった俺たちへ」も、なんだかいつもより熱さを持って伝わってきた。
ここまで駆け抜けるようだったセットリストが一旦途切れる。その沈黙を破って「みんな、まだ……疲れてないよな?」とR-指定が煽ると、彼の声に負けない大きさの歓声が返る。「フェス終わって帰ってからも、余韻引きずったまま、今日は思いっきり“よふかし”してください」と告げて始まったのはもちろん、「よふかしのうた」。そして“よふかし”の後は……とラストは「二度寝」で締めくくり、最後の最後まで〈GRASS STAGE〉中を踊らせ、ステージを去っていった。
ステージ全体を振り返って特に印象に残ったのは、セットリストの中で「Bling-Bang-Bang-Born」だけが盛り上がりのピークにはならなかったこと。初めて観る人も、その舌先と指先、時に話術でぐいぐい引き込んでいき、いつの間にか知らない曲でも踊らせてしまう。Creepy Nutsの“生身”の凄みを実感できたステージだった。
Text:Maiko Murata
Photo:ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA
◎公演情報
【ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA】
2024年9月14日(土)、15日(日)、21日(土)、22日(日・祝)、23日(月・振休)
茨城・国営ひたち海浜公園
<セットリスト(Creepy Nuts)>
1. ビリケン
2. 堕天
3. 2way nice guy (short)
4. 顔役
5. Bling-Bang-Bang-Born
6. のびしろ
7. かつて天才だった俺たちへ
8. よふかしのうた
9. 二度寝
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国内唯一の総合シングルチャート“JAPAN HOT100”を発表。国内外のオリジナルエンタメニュースやアーティストインタビューをお届け中!
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