SNSで話題のマンガ『お家、見せてもらっていいですか?』は実体験も! 憧れの”ご近所の気になるアノ家に突撃訪問”を疑似体験 佐久間薫先生インタビュー

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大人も真似したくなる自由研究!「お家、見せてもらっていいですか?」の作者にインタビュー

小学生男子の主人公がさまざまなお家を突撃訪問し、自由研究としてまとめる漫画『お家、見せてもらっていいですか?』(KADOKAWA刊、佐久間薫著)。SNSでもたびたび話題になっているこの作品、目にしたことがある人もいるはず。作者の佐久間薫先生に執筆のきっかけ、実際にモデルになった住まい、苦労話まで、裏側を聞いてみました。

街で見かける豪邸や気になる家を見せてもらうマンガ

小学生男子がお家を訪ね歩く漫画『お家、見せてもらっていいですか?』(写真撮影/片山貴博)

小学生男子がお家を訪ね歩く漫画『お家、見せてもらっていいですか?』(写真撮影/片山貴博)

散歩や通勤の途中、さまざまなお家や建物を眺めて、「この家の中はどうなっているんだろう」と妄想をすることはありませんか?リアルでは他人のお家に突撃訪問することはできませんが、そんな「やってみたい」をかなえたのが、『お家、見せてもらっていいですか?』という漫画です。

主人公は小学3年生の男の子・家村道生(いえむら・みちお)くん。母親と団地でふたり暮らしをしています。散歩が好き、家が好きで、いつかは一軒家に住んでみたいという夢を持ち、お菓子を片手にお家を訪問し、家を見せてもらうストーリーです。

『お家、見せてもらっていいですか?』(画像提供:佐久間薫KADOKAWA)

『お家、見せてもらっていいですか?』(画像提供:佐久間薫KADOKAWA)

『お家、見せてもらっていいですか?』(画像提供:佐久間薫KADOKAWA)

『お家、見せてもらっていいですか?』(画像提供:佐久間薫KADOKAWA)

『お家、見せてもらっていいですか?』(画像提供:佐久間薫KADOKAWA)

『お家、見せてもらっていいですか?』(画像提供:佐久間薫KADOKAWA)

『お家、見せてもらっていいですか?』(画像提供:佐久間薫KADOKAWA)

『お家、見せてもらっていいですか?』(画像提供:佐久間薫KADOKAWA)

『お家、見せてもらっていいですか?』(画像提供:佐久間薫KADOKAWA)

『お家、見せてもらっていいですか?』(画像提供:佐久間薫KADOKAWA)

『お家、見せてもらっていいですか?』(画像提供:佐久間薫KADOKAWA)

『お家、見せてもらっていいですか?』(画像提供:佐久間薫KADOKAWA)

※続きは記事末へ

全体にやさしいタッチながら、小学生が書いた間取図だったり、出されたお菓子だったりと細部は実にリアルで、「絶妙なありそう感」が魅力のひとつです。では、この物語、どのようにして誕生したのでしょうか?まずはその背景から伺ってみました。

「どんな人が住んでいるんだろう」を漫画にした佐久間先生(写真撮影/片山貴博)

「どんな人が住んでいるんだろう」を漫画にした佐久間先生(写真撮影/片山貴博)

「私が、ドキュメンタリー番組や映画が好きということ、散歩しながらお家を見たり、想像をふくらませるのが好きで。ごくごく普通の、一般の人こそ、話が進むうちに人間ドラマが垣間見えてきて、とてもおもしろいじゃないですか?いつか漫画として描けたらいいなと企画を温めていたんです。今回、新しい漫画を描くにあたり、編集さんにやりたい題材はないですか? と聞かれ、案をいくつか出したのですが、編集さんが『お家探訪』のがいいですね、と話がまとまりました」と話します。

なるほど、佐久間さん自身が、「お家を見たい」「どんな人が住んでいるんだろう」と妄想するところからスタートしているんですね。お話は、家を見ていくことを通して主人公がじんわり成長しつつ、最後に大団円でまとまっていく、いわば王道の展開です。全体としては絵本のようなファンタジーさもありつつ、あたたかな読後感に包まれます。

キャラクターよりも「家が先」。シェアハウスは実体験を基に

本書で登場する住まいはすべて一戸建てですが、そのバリエーションは実に豊富。日本家屋にツタの家、ミニマリストの家、ゴミ屋敷、アイドルの要塞、お城のような豪邸、増築しすぎなシェアハウス、小屋などが登場し、この10年の住まいのトレンドを網羅しています。どのお家も絶妙に「見たい!」となるラインナップですが、取り上げるお家はどのようにして決めたのでしょうか?

「実はキャラクターよりも先に、取り上げる家を決めたんです。住んでいる町で散歩をしているなかで見つけた、豪邸、要塞のようなお家、ツタのある家など取り上げる家を先に決め、その後、どんな人が住んでいるんだろう、とキャラクターとして造形していきました。そういう意味で家にすべてモデルがあるんです。ただ、実際に直撃取材できたらよかったんですが、リアルではなかなか難しく、作画も大変でした」

なるほど、家に説得力があるのはそういうワケなんですね。また、シェアハウスは、佐久間先生自身が若いころ暮らしていた経験などを織り込んでいるそう。

「高円寺(東京都杉並区)に住んでいた若いころ、とても個性的な人たちに囲まれていたんですね。実際にルームシェアをしていたこともありましたので、割と実体験に基づいています(笑)」

実体験も入っていて、“あるある”と思えるのも魅力です(写真撮影/片山貴博)

実体験も入っていて、“あるある”と思えるのも魅力です(写真撮影/片山貴博)

また、佐久間先生自身、「増築しすぎな家」「九龍城」など、住人が自作をしていて、なんだかごちゃごちゃしている建築物がお好きだそう。完全無欠な家よりも、ちょっといびつで愛らしい、そんな絶妙な家、確かに魅力的ですよね。ちなみに、作中には「手造りの山小屋」も出てきていますが、この家だけは実際に取材しているそう。こうしてみると手間と愛情がつまっています。

「全編に家が登場するので、建築家の先生に監修に入ってもらい、資料などから作画し架空の家にしているのですが、これが本当に大変で。内観と外観の整合性をもたせるとか、小窓がここにあるのにあそこにないとヘンなど、矛盾なく絵に落とし込むのはとても大変でした。紙面が出来上がったら建築家の先生に見てもらってまた修正して、の繰り返しです」とのこと。

建築家の先生も本業があるなかでの作画の確認、修正を繰り返し、ほぼ1年をかけて1冊が完成しました。

リアル道生くんもいる! 実はみんな隣の家が気になっている!

実際の反響はいかがでしょう。
「日本家屋など、Webで一部物語を公開していること、また、想像以上にたくさんの方が読んで下さって、いろんな反響が寄せられました。一番印象に残っているのは、『自分も子どものころ、道生のように、よそのお家に突撃したことがあります!』という声です。しかも一人じゃなくて、ちらほらいるので、実際に突撃する人がいるとは…!とその行動力に驚きましたね」

リアルにピンポンしちゃう人っているんですね! 今ではなかなかできないかもしれませんが、その行動力は尊敬です。現在でもYouTubeでは「ルームツアー」も人気コンテンツですし、やはりみなさん、気になる隣のお家があるようです。

もうひとつ、反響が大きかったのは「おばあちゃんのゴミ屋敷」で、いわゆる片付けられない実家のお話です。

「お家、見せてもらっていいですか?」片付けられないお家も登場します(画像提供:佐久間薫KADOKAWA)

「お家、見せてもらっていいですか?」片付けられないお家も登場します(画像提供:佐久間薫KADOKAWA)

カギを握っているのは、小学生・道生くんの行動。普段、「捨てろ」と言われても絶対に捨てないおばあちゃんが、道生がほしいというと、あっさりとモノをあげてしまうという驚きの展開。筆者の実家も母がモノを捨てられない性格で、長年の悩みのタネとなっていますが、このお話を読んで、「え、こんなことってありなの?」とびっくりしました。

「実は私の実家はゴミ屋敷とまではいかないですが、母が片付けが苦手で。以前、片付けをしに帰ったときに実際にあった母とのやりとりを参考にしました」と佐久間先生。

この「ゴミ屋敷」、娘のほろ苦い思い出などもさらりと織り込まれていて、モノと人、家と人について考えさせられます。

(画像提供:佐久間薫KADOKAWA)

(画像提供:佐久間薫KADOKAWA)

家と人はリンクする。マンガ片手に街歩きを楽しんで

主人公の道生くんが住んでいるのは、団地です。今では貴重ともいえる団地住まい、筆者からみると羨ましいのですが、道生くんは一戸建てにあこがれ、一軒家を訪れています。

「道生くん親子が住んでいるのは、当初、アパートという設定だったんですが、編集さんから団地のほうがいいのでは?とアドバイスをもらいました。そういえば私が育った町にも大きな団地があり、同級生もたくさん住んでいました。そこに住む道生を想像したら、なるほどしっくりきて」(佐久間先生)

こうした細部の積み重ねが、お話にリアリティーをもたらしているのだなと実感します。また、どのお話も、人と家が同期しているというか、やはり「家は人なり」ではないですが、その人そのものを表しているのだなと思いましたが、佐久間先生も同様に思っていたそう。

家と人はつながっている。そう聞くと、納得します(写真撮影/片山貴博)

家と人はつながっている。そう聞くと、納得します(写真撮影/片山貴博)

「やっぱり家も人も結びついているなと思います。きらびやかな家にはきらびやかな人が住んでいて、やっぱりシンプルな家にはシンプルな人が住んでいる。もちろん、例外もあると思いますけど、何となくイメージがつくというか。どんな人が住んでいるのか、家ににじみでてくるような気がします」

そう聞くとがぜん、毎日の散策や家の観察が楽しくなりそうです。

「読者からも『この本を読んでから、家を見るのが楽しくなった』と言ってもらえたんです。私自身、何気ないものを楽しむのが好きですし、この本を読んで、そういう人が一人でも増えてくれたらいいなって思いますね。特別にお金もかからないし(笑)、散歩して、お家を見て、たまにコーヒーなんかを飲んで、中には入れないけど、楽しく過ごせる手助けになったらうれしいです」

家に関心を持つことは、家や住んでいる人、まちへの愛着のはじまりだなと思います。庭木の様子、車、ゴミなど、普段は見落としがちな小さな変化に気づくこともあるでしょう。遠くへの旅行もいいですが、近所を見てまわり、どんな家があって、その中には空間が広がっているのか、どんな暮らしがあるのか。そんな大人の夏休み、大人の自由研究があってもいいかもしれません。

■第1話「小説家の大きな日本家屋」のつづき

(画像提供:佐久間薫KADOKAWA)

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(画像提供:佐久間薫KADOKAWA)

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●取材協力
佐久間薫(さくま・かおる)さん
パートナー、猫2匹と東京暮らし。
『猫ニャッ記』『ねこ書店』『そこらへんのおじさん物語』『カバーいらないですよね』『本屋の堀ちゃん』などの著作あり。
X(旧Twitter)
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